第141回(臨時)国会
平成9年12月3日
参議院本会議
我が国は、来たるべき二十一世紀に世界に例のない高齢社会を迎えると予測されている。
このような高齢化が進む中で、高齢者介護の問題は、国民の老後生活における最大の不安要因であると言って過言ではなく、個人の人生にとどまらず、家族、さらには我が国社会全体にとっても極めて重要な課題である。
介護が必要になっても、高齢者が自らの有する能力を最大限活かし、自らが望む環境で、人生を尊厳を持って過ごすことができるような長寿社会の実現は、人類共通の願いである。
このような重要な介護問題の解決に向け、今後進むべき方向を明らかにし、着実に施策を講じていくことは、本院に課せられた責務であり、政府は、特に次の事項について万全の対策を期するべきである。
一、「保険あって介護なし」とならないよう、介護保険法施行までに介護サービスに関する人材、施設等の基盤整備を着実に進めるとともに、地域間格差の解消に努めること。また、法施行後も高齢者の増加に対応して引き続き介護サービスの基盤整備の推進に努めること。
一、市町村が制度を安定的に運営できるよう、その意向を十分反映した各般の支援に万全を期すとともに、広域化の取り組みを支援すること。
一、介護を要する状態の認定については、公平、公正に留意するとともに、迅速な判定を行えるよう必要な措置を講ずること。
一、全ての国民が適切に介護サービスを利用することができるよう、低所得者に対する必要な措置を講ずること。
右決議する。