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参議院本会議決議本文

第47回(臨時)国会

昭和39年12月18日 
参議院本会議 

中小企業の危機打開に関する決議

 中小企業の倒産が最近件数、負債金額ともに毎月記録更新を続ける実情にあり、一種の危機感をもつていることはわが国経済にとつてゆゆしき問題であるのみならず、深刻な社会問題にも発展しようとしている。
 よつて政府は、この事態を打開するために積極的努力を傾注すべきであり、特に左の事項につき緊急に検討を加え、速やかに遺漏なき措置を講ずべきである。
一、金融対策として次の措置を講ずること。
 イ 中小企業向け財政投融資を大幅に増額し、特に関連倒産の防止に必要な金融措置を講ずること。
 ロ 一般金融機関の中小企業向け融資の増大につき強力な指導を行なうとともに、歩積み両建て等による不当な拘束預金については実効性ある規制措置を講ずること。
 ハ 中小企業金融機関の資金源の充実を図るとともに、それが不当にコール等に運用されることを防ぐこと。
 ニ 小規模事業に対する金融の円滑化を図るため信用補完制度を拡充強化し、小口保険制度の改善充実を図ること。
二、倒産予防のため、中小企業に適切なる相談機構を整備充実すること。
三、必要に応じ、税の徴収猶予及び延分納措置を徹底する等税制上の措置を講ずること。
四、下請関係につき、代金の支払いを始め、取引条件の適正化を図るとともに、下請事業者に対し受注あつせん機関を設けること。
五、協業化、協同化を推進し、構造的基盤の強化に努めること。
六、近代化、合理化の資金を強化し、貸付条件を緩和すること。
七、求人難を打開するため、中小企業に対する職業紹介、職業訓練等の制度を強化するとともに、労働福祉制度を充実すること。
八、小規模事業者の相互扶助の制度を推進すること。
九、倒産の実情を調査し、その原因を究明して将来の対策を講ずること。
  右決議する。