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参議院本会議決議本文

第7回国会

昭和25年5月2日 
参議院本会議 

未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査等を国際連合を通じて行うことを懇請する決議

 日本国民は、終戦以来「ポツダム」宣言を忠実に履行して今日に至つた。しかるに終戦以来五箇年に垂んとする今日、なお約三十万余名の日本人がソ連並びにソ連の勢力下にある地域(シベリヤ、樺太、北鮮、大連並びに中共地域を含む。)に残留せしめられ、生死不明の状況にある。政府は、総司令部を通じ、ソ連に対してしばしば正式の報告を求めたにもかかわらず、ソ連より何ら正式の報告がないので、いまや留守宅家族は勿論、全日本国民の心痛はその極に達している。
 本院は、ここに院議をもつてわが国民のこの気持を代表し、連合国最高司令官に対し、国際連合を通じて世界の正義と与論に訴え、本件の速やかなる解決のため、あらゆる援助を与えられんことを要請するとともに特に左の点の実現について御配慮の懇請をする。
 一 ソ連並びにソ連勢力下にある地域(シベリヤ、樺太、北鮮、大連並びに中共地域を含む。)の残留者全員を一日も速やかに帰還せしめられたい。
 二 ソ連並びにソ連勢力下の地域に抑留中死亡したもの並びに戦犯関係として抑留されている者、一般受刑者及び病気のため残留している者等の氏名を速やかに発表せしめられたい。
 三 ソ連並びにソ連の勢力下にある地域に残留せしめられた日本人の生死及び動静を調査するため、国際連合又は中立の機関若しくは人道的機関より速やかに調査団を派遣せしめられたい。
 右決議する。