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参議院本会議決議本文

第5回(特別)国会

昭和24年5月16日 
参議院本会議 

水力電源開発に関する決議

 経済九原則の示す如く我が国経済の再建は、貿易の振興が成るか否かにかかつている。このためには、国をあげて産業の興隆即ち、生産を一段と増強しなければならない。特にエネルギー源として、海外からの援助を期待し得ない所の電力こそすべてに優先して増強すべきである。
 現下の電力事情は、戦後国内生産の最高水準を誇つているにも拘らず、尚かつ甚だしい不足を告げ、産業の再建に重大なる支障を与えている。
 幸に我が国は、豊かな水力に恵まれている。要は国の生産計画に即応して開発するかしないかにあるのであつて、今日までその具体的施策の展開を見なかつたことは、まことに遺憾と言わなければならない。水力電源の開発は、一朝にしてなるものではない。
 電力事業の健全なる経営を図るとともに豊富なる資金、資材の優先的割当と長い工事期間とを要するのである。政府は、電源の開発及び電力事業の発達のために、左の各項に対して、早急に必要なる施策を講じ、その結果を本院に報告することを要求する。
 一、総合エネルギー源の中核として、既設電力設備の改良と新水力電源の開発とを強力に推進するために開発計画の具体化、資金、資材の手当等を緊急に措置すること。
 一、電気事業の経済的基礎を確立して、自立再生産力を保持せしめるために、電力料金の合理的決定、企業の能率的運営、並びに労働意欲の昂揚に対して必要なる措置を講ずること。
 一、電力事業の主体性を確立してその発展を図るため経営責任の所在を明確にすることとし、必要なる措置を講ずること。
 一、電力の効率的利用及び電力配分の適正化について有効なる措置を講ずること。
 一、電力行政運営につき諮問機関として民主的審議機関を設置すること。
 右決議する。