第5回(特別)国会
昭和24年4月6日
参議院本会議
わが国は、連合国の同情ある理解により、今や戦争の荒廃から脱脚して平和と自由及び民主主義の高遠な原則の具現を目指す新しい生活に乗り出している。
米国は、主たる占領国として占領政策の設定と実施に当つて主導的な役割を果して来ており、わが国民としては、米国政府及び米国民がわが国の恢復及び復興のために与えた多大な援助に対し深甚なる感謝の念を抱くものである。
よつて本院は、政府に対し次のように措置するよう要請する。
一、わが国は、昭和二十年四月一日発生した米国海軍艦艇による阿波丸撃沈事件に基くすべての請求権を、自発的に且つ無条件に放棄すること
二、政府は、速かに、連合国最高司令官のあつせんを得て、米国政府と商議を開始し、前記請求権の放棄を基礎として、本事件を円滑に解決すること
三、政府は国内措置として、本事件の犠牲者を慰藉するため適当な手段を講ずること
四、政府は、本決議に基いて執つた措置の結果を、速かに本院に報告すること
右決議する。