ライブラリー

参議院本会議決議本文

第4回国会

昭和23年12月22日 
参議院本会議 

予防接種に因る災禍事件に関する決議

 最近、不良医薬剤等による災禍事件が続出しつつあることは、国民厚生上由々敷き問題であるが、特に予防接種法施行にあたり、ヂフテリア予防接種の施行に伴つて京都市に発生した事件は、爾後日を追うてその災禍を増し、去る十一月四、五日の両日に亘つて、その接種をうけた者一万五千余名の中、十二月十九日現在において、
  死亡者五八名、重症状者一二五名、中度症状者二〇四名、軽症状者四六〇名
合計八四七名に及ぶ可憐なる犠牲者を生ずるに至り、更に島根、栃木、各県下においても同様の集団罹患者の発生を見つつあることはまことに痛嘆すべき悲惨事件であつて国政上遺憾に堪えない。
 よつて政府は、本事件の重大性にかんがみ、速かに左記各項に従つて適切なる措置を講じ、かかる不祥事の絶滅を期し、もつて国民をして国法施行に対する信頼を増強し、安んじて公衆衛生並びに福祉増進に協力し得らるる様、格段の施策を講じ、その結果を昭和二十四年三月三十一日迄に本院に報告すべきである。
      記
一、本事件に関する一切の関係事項を究明して、その責任の所在を明かにし厳重な措置をとること。
二、被害者に対しては国の責任において補償、賠償の方法を講ずること。
三、予防接種法に基いて強制接種する予防液の国家検定制度を改善し、これが施行を厳密に行うこと。
四、予防液製造所を整備し資材の配給を確保し以て優秀品の頒布を図ること。
 右決議する。