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参議院本会議決議本文

第2回国会

昭和23年6月23日 
参議院本会議 

地方出先機関整理に関する決議

 新憲法の精神に則り地方自治の趣旨を徹底するため、中央各省の行政事務を大幅に地方公共団体に移譲又は委任することの必要なるは今更多言を要しない。然るに政府が行政事務の統一処理にしや口して、夫々直轄の特別行政機関を設置し、ために機構の複雑化を来し、地方行政の民主化を阻害しつつあることは、甚だ遺憾とする処である。昨年地方自治法を改正して、出先機関の設置について、国会の承認を要することに改めた所以のものは、ひつきようこれら出先機関の濫設が、地方自治の伸展と行政の運用上少なからぬ弊害があるために、これを是正せんとしたものに外ならない。
 今や、全国の与論は、一日も速かに、その徹底的整理の断行を要望し、政府またその必要を痛感して、度々これが実現を声明するに拘らず、遷延今に至るもその具体案を国会に提出せざるのみならず、今期国会に提出せる国家行政組織法案及び各省設置法案等によれば、政府に既存の出先機関に関し何等整理の誠意の認むべきものがない。政府は宜しく英断を以て、出先機関の整理方針を再検討し、速かに国会にその徹底的整理案を提出すべきである。
 右決議する。