国際会議 WTOに関する議員会議:参議院
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  4. 結果概要

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○WTOに関する議員会議・ブリュッセル会合派遣報告

 「WTOに関する議員会議・ブリュッセル会合」は、2004年11月24日(水)から26日(金)までの3日間、ベルギー王国ブリュッセルの欧州議会の構内において開催された。会議は、IPU(列国議会同盟)及び欧州議会の共催で行われ、78か国、3つの国際議会から約500名(うち議員225名)が参加した。

 本院からは、若林正俊議員(団長)及び平野達男議員が参議院代表団として派遣された。なお、衆議院から、谷津義男議員(団長)、赤城徳彦議員、金田誠一議員、一川保夫議員及び池坊保子議員が衆議院代表団として派遣され、松岡利勝議員が個人の資格で代表団に参加した。
 両議員団は、ブリュッセル会合において、日本国会代表団(谷津団長、若林副団長)(以下、「代表団」という。)として行動を共にした。

 ブリュッセル会合の目的は、1)「WTOに関する議員会議(2003年2月)」及び「WTOに関する議員会議・カンクン会合(2003年9月)」のフォローアップを行うこと、2)WTO(世界貿易機関)に関する最新情報をもとに、多角的貿易交渉において可能な議会の貢献について検討すること、3)他国議員との意見交換、交渉過程に関与している政府高官との交流及び市民社会の代表との対話の場を提供することにあった。

 会議の成果として、議会をWTOの活動に密接に関与させることによりWTOの透明性を強化させること等を内容とする宣言が採択された(決議の全文は別添参照)。

 IPUは、2001年6月に「国際貿易に関するIPU会議(ジュネーブ)」を開催してから、各国政府の貿易政策の監視、議会の側面の付与の在り方について討議を行ってきた。同年11月に「第4回WTO閣僚会議の際の議会人会合(ドーハ)」を開催し、貿易問題に関する会議を開くための「運営委員会」の設置を決定した。その後、この運営委員会の検討に基づき、「WTOに関する議員会議」の開催が決定された。(我が国は運営委員会の構成国メンバーとなっている。)

 2003年2月17日及び18日の2日間、初めての「WTOに関する議員会議(ジュネーブ)」が開催された(IPU及び欧州議会共催)。会議では、定期的な議員会議の開催、同年9月のWTO第5回閣僚会議の際の会合の開催等が決定された。(本院からは、若林正俊議員(団長)及び榛葉賀津也議員が派遣された。)
 また、2003年9月9日及び12日の2日間、「WTOに関する議員会議・カンクン会合」が開催された(IPU及び欧州議会共催)。会議では、WTOに関する議員会議を「定期的に、当初は年1回及びWTO閣僚会議の折に開催する」ことが確認された。(本院からは、若林正俊議員(団長)及び江本孟紀議員が派遣され、金田勝年議員が個人の資格で代表団に参加した。)
 今回のブリュッセル会合は、この一連の流れを受けたもので3回目となる。本院では、この会議がWTO一般理事会で決定された7月枠組み合意のフォローアップを行うものであること、日本の主張を反映させるためには継続的な参加が必要なこと等を考慮し、カンクン会合に引き続き、代表団の公式派遣を行うことが決定されたものである。

 なお、代表団は、会議に臨むに当たり、外務省、農林水産省及び経済産業省からWTO交渉の状況についてブリーフィングを聴取するとともに、会議で報告する討議文書の作成や宣言草案に対する検討を行うなど入念な準備作業を行った。

 本報告書では、代表団の活動を中心に、その概要を報告する。

1.会議の日程

○11月24日(水)
 運営委員会 9時~12時30分
 開会式   15時~15時30分
 全体会合  15時30分~18時30分
  議事日程の採択及びその他組織に関する問題
  WTO交渉担当首脳の参加を得た対話型パネル討議
  (ドーハ・ラウンドの将来に関する2004年7月31日のWTO一般理事会決定の重要性)

○11月25日(木)
 全体会合(継続) 9時~12時30分
  実質的テーマ(a)農業
 全体会合(継続) 15時~18時
  実質的テーマ(b)開発の視点からのサービス貿易
 起草委員会 18時30分~22時

○11月26日(金)
 全体会合(継続) 9時~12時30分
  WTOに関する議員会議・手続規則案の採択
  スパチャイWTO事務局長の参加を得た対話型セッション
  成果文書の採択
 会議の閉会

2.運営委員会及び起草委員会の概要

(1)概要

 運営委員会(運営委員である若林正俊副団長及び松岡利勝議員が出席)では、議事日程の採択と成果文書(宣言案)(24日の全体会合に配付)の協議が行われた。
 また、起草委員会(谷津義男団長、若林正俊副団長及び平野達男議員が出席)では、26日の全体会合に配付する最終宣言案の作成が行われた。両委員会の名称は異なるものの、構成国メンバーは同じで、実質的には同一の委員会であった。

(2)宣言案の作成

 会議の成果文書である「宣言」の採択は会議の中心議題である。議会人の意見をWTO閣僚会議の宣言に反映させることを目指すとともに、WTOに関する議員会議の意思を世界に示すものである。
 まず、11月11日にIPU事務局から運営委員会メンバーに宣言草案が示された(WTO交渉に対する議会の評価、農業、サービス貿易、WTOの活動に対する議会の貢献の4部構成)。
 代表団は、この草案に対し、会議に先立って、次の修正提案を文書で通知した。

1)  WTO交渉の成功に向けた取組のパラグラフについて、「輸出国と輸入国、先進国と途上国との間の不公平・不公正を是正し、」との文言を追加すること。

 これは、WTO交渉は、加盟各国全体の相互利益の確保が重要であることを明確に示すためである。

 2)  WTO農業交渉の各段階における取組に関するパラグラフについて、「多面的機能、地理的表示、食品の安全、国土保全、農村地域の再生、農村の雇用、非貿易的関心事項及び漁業の問題」との文言を、「各国の多様な農業が共存しうるよう、食料安全保障、国土保全、農村地域の再生、農村の雇用などの多面的機能、地理的表示、食品の安全などの非貿易的関心事項及び持続可能な林業・漁業の問題」と修正すること。

 これは、21世紀における食料・貧困等の問題解決のためには各国の農業が維持されることが不可欠であることに鑑み、非貿易的関心事項に取り組む目的がこの多様な農業の共存を図ることにあることを明確に示し、また、農業における多面的機能の役割や林業の問題の重要性を明らかにするためである。

 3)  草案では、「全WTO加盟国に対し、香港における第6回WTO閣僚会議への公式代表団に議会人を含めることを要求」しているが、各国の議会体制はそれぞれ異なり、各国の判断にゆだねるべきであることから、この要求部分を削除すること。

運営委員会では、各メンバーから事前に提出された修正案を基に宣言案の作成作業が行われた。
 まず、代表団提出の1)の修正案については各メンバーの支持を得た。
 2)は各メンバーの関心を呼び、多面的機能と非貿易的関心事項の取扱いに議論が集中したが、「地理的表示」だけを削除する整理が行われた。
 3)については、代表団が示した制度的懸念事項も考慮した上で、他の修正事項とともに、議長において整理されることとなった。

 この運営委員会で作成された宣言案は、24日の全体会合の際に各国に配付され、翌日の正午までに修正意見を出すことが求められた。
 その後の起草委員会において、最終宣言案作成のため、各国提出の修正案の検討が行われた。
 代表団提出の1)の修正案に関する部分は、代表団の趣旨を維持した上での文言整理が行われた。
 2)の修正案に関する部分の取扱いが検討作業の中心を占めた。複数国から、この該当部分をすべて削除する修正案が提出されるとともに、起草委員会において、改めて、非貿易的関心事項の概念だけを残し、具体的項目の列挙部分をすべて削除すべきであるとの強い意見が述べられた。代表団は、大事な項目であり削除するわけにはいかないと強硬に主張した結果、「多面的機能」の言葉だけを記述せず、非貿易的関心事項の具体的項目として、食料安全保障、国土保全、農村地域の再生、農村の雇用の項目を列挙する整理が行われた。
 3)に関する部分について、代表団は、制度的懸念を払拭するため「各国のルール」に従うことを明確にする修正案を提出したが、IPU事務局から「公式代表団への議会人参加の要求は、議会人が公式代表団の一員となれず、WTO閣僚会議の会議場にすら立ち入ることができなかった国があったため、会議場への入場を確保することをまず意図したものである。」との説明があり、日本は従来どおりの対応で問題はないとのことから、原案の趣旨を了承することとした。

3.全体会合の概要

(1)開会式

 J・ボレル欧州議会議長、L・J・ブリンクホルスト蘭経済大臣・現EU理事会議長国代表、大島正太郎WTO担当日本政府代表部大使・WTO一般理事会議長及びS・パエスIPU議長が演説を行った。

(2)対話型パネル討議

 本セッションは、2004年7月31日のWTO一般理事会の枠組み合意に貢献したG5の各国政府代表者(欧州委員会、豪州、ブラジル、インド及び米国)から、ドーハ・ラウンドに関する考え方、今後の交渉方針等に関する報告を聞いた後、質疑応答の対話形式で進められた。
 代表団からは、赤城議員が、各国の農業が共存できる体制作りと食料輸入国のセンシティビティへの配慮、農産物輸出国間の公正な貿易ルールの確立などについて質問を行った。

(3)実質的テーマ(a)農業

 実質的テーマでは、事前に指名された討議者が報告を行った後、各国代表が発言し、討議者が会場の発言を受けてまとめを行う形で進められた。
 農業セッションでは、ニジェール、欧州議会、日本及びチリから討議報告が行われた。
 日本からは、若林副団長が代表団を代表して、農業交渉の成功のためにはドーハ開発ラウンド閣僚宣言の理念を念頭に置くこと、また、今次交渉では、ウルグアイ・ラウンド合意による先進食料輸出国と先進食料輸入国・開発途上国との間の不公正・不公平の是正を前提とすることが必要であるとの認識の下、
 1) 先進食料輸出国に対して、貿易歪曲性の強い政策の削減・輸出奨励措置の撤廃等の規律を求めること、
 2) 農業の多様性を尊重すること、
 3) 農業の有する多面的機能に配慮すること、
 4) 環境保護や森林・林業の持続可能性について配慮すること、
 5) 開発途上国に対し特別の配慮をすること
の5点を主張する討議報告を行った。


 このセッションでは、非貿易的関心事項(多面的機能、食品安全、地理的表示等)、貿易歪曲的な農業補助金の削減・撤廃、WTOとミレニアム開発目標とのリンク等について発言があった。

 また、代表団から金田議員が、食料自給率に関する我が国の状況と主張、非貿易的関心事項に対する配慮等について発言した。

 討議者のまとめとして、若林副団長から、1)多様な農業の共存に関する基本理念について多くの共感を得ることができたこと、2)WTOは、開発途上国における農業技術の開発、基盤整備に対し、他の国際機関と連携して対応する必要があること、3)食料輸出国と食料輸入国とでは国内助成の性格が全く異なることの3点について発言を行った。

(4)実質的テーマ(b)開発の視点からのサービス貿易

 本セッションでは、カナダ、インド、ナイジェリア及び英国から討議報告が行われた。
 このセッションでは、モード4(人の移動)の自由化と課題、質の高い改訂オファーの提供、公共サービス民営化の是非等について発言があった。
 また、代表団から池坊議員が、サービス貿易の重要性と開発途上国への貢献、交渉におけるNGO等を含めた議論の必要性等について発言した。

(5)対話型セッション

 本セッションは、スパチャイWTO事務局長から、ドーハ・ラウンドの交渉状況及び将来展望についての報告があった後、対話形式で進められた。

 代表団から平野議員が、日本は世界最大の食料純輸入国であり農産物貿易の拡大に寄与してきたこと、ウルグアイ・ラウンド合意を踏まえた農業改革に努力を重ねてきており今後とも継続していく意思があることを説明し、各国の農業についての相互理解を深めること、農業交渉における公正・公平な貿易ルールの確立、食料輸入国における農業の存続基盤の維持への特別の配慮等を主張するとともに、21世紀における人口、環境、飢餓、貧困等の諸問題の解決には、特定国に農業を集中させるのではなく、各国における様々な形態の農業を共存させることが必要であることを強調し、スパチャイ事務局長に対して、「多様な農業の共存」に関する評価・見解をただした。

(6)WTOに関する議員会議・手続規則案の採択

 規則は、会議の目的、参加機関・議員の役割、議事手続等を明確にするためのものである。カンクン会合での手続規則制定の決定を受け、第6回運営委員会(2004年3月)で案が作成された。
 26日の全体会合において、趣旨説明及び質疑の後、手続規則案は採択された(手続規則の全文は別添参照)。

(7)宣言の採択

 26日の全体会合において、趣旨説明及び質疑の後、宣言案は、起草委員会提出の最終宣言案のとおりの内容で採択された(決議の全文は別添参照))。
 宣言はスパチャイWTO事務局長に手交された。

4.所感

 代表団は、会議を通じ、多様な農業の共存の実現や多面的機能への配慮、また、開発途上国に対する農業やサービス分野での技術・資金協力の積極的支援等の主張を行い、これらが宣言に盛り込まれるよう努めた。
 宣言に、「多面的機能」の文言自体を記述できなかったことは残念であったが、代表団の主張はおおむね宣言に盛り込まれており、特に、WTO交渉の前提として、輸出国と輸入国、先進国と途上国との間の公平かつ公正な関係を確保すること、そして、非貿易的関心事項を主張する目的として、「多様な農業の共存」を明記できたことは、大きな前進、成果であると思う。
 なお、来年12月に「WTOに関する議員会議・香港会合」を開催することが決定されたが、我が国の継続的な参加が必要であると思われる。

5.その他

 日本国会代表団は、24日、欧州議会内において、ヤルツェンボウスキー欧州議会対日交流議員団長を訪問した。同氏は、日本・EU議員会議に長期にわたり貢献されている方である。この懇談において、WTO農業交渉・サービス交渉、観光・文化交流等について意見交換を行った。


【別添】

WTOに関する議員会議・手続規則
(2004年11月26日採択)


 外交政策、更に具体的には貿易政策が、行政部門の専属的な領域であった時代は終了した。WTOは急速に貿易機構を超える存在となりつつあり、国内政策や市民生活にますます大きな影響を与えている。  IPUと欧州議会は、それ故、少なくとも年に1回、及びWTO閣僚会議開催時にWTOに関する議員会議(以下「会議」)を共催する。会議は一般にも公開される公式な議会行事である。

第1条(目的)

1. 会議は、国際通商問題の分野において、意見、情報、経験を交換する場であると同時に、議会の役割に関連する問題における協調行動を促進し、議会の機能と役割を組織化する場である。
2. 会議は、あらゆる人々の利益となり、開発を強化し、貧困を軽減する自由かつ公平な貿易の促進に努める。
3. 会議は、以下の方法によりWTOに議会的側面を付与する。
(a) WTOの活動を監視すること、並びにWTOがマラケシュで設定した本来の目的を考慮し、その実効性及び公平性を促進すること
(b) WTOの手続の透明性を促進すること、及び政府、議会、市民社会間の対話を向上させること
(c) 国際通商問題に関する議会の能力を構築すること、WTO内の議論の方向性に影響力を行使すること

第2条(構成)

1. 会議の参加者は、以下のとおりとする。
・ WTOに加盟する主権国家の議会によって指名された代表団
・ WTOに代表を派遣していないIPU加盟国議会によって指名された代表団
・ 欧州議会、欧州評議会議員会議、英連邦議会同盟及び仏語圏議員会議によって指名された代表団
2. 会議のオブザーバーは、以下のとおりとする。
・ 国際通商問題に関連し、共催者によって共同で承認されたリストに基づき、特に運営委員会により招請された国際機関の代表者
・ WTOに加盟する主権国家の政府代表者
3. 会議は、国際通商問題に特に関心を持つ上記以外の者にも公開される。これらの者は議事進行に干渉しない範囲で、会議の活動に参加することができるが、発言権は有さない。これらの者には、氏名のみを記したセキュリティ・バッジが発行される。これらの者は、公式の招請状を受領することや行事へ公式に参加することはない。

第3条(議長の任務)

1. 会議の議長はIPU議長及び欧州議会議長、又はその代理が共同で務める。
2. 議長は、会議を開会し、休憩し、散会する。会議の議事を指揮し、規則の遵守を監督し、発言者を指名し、問題を表決に付し、表決の結果を宣告し、会議の閉会を宣言する。これらの事項に関する議長の決定は、最終的であって、討論を用いることなく受諾されるものとする。
3. 議長は必要に応じて運営委員会の助言を得て、この規則に定めのないすべての事項について決定する。

第4条(運営委員会及び事務局)

1. 運営委員会は、IPU及び欧州議会が共同でこれを設置する。
2. 運営委員会は、会議の組織に関するあらゆる事項に責任を負い、コンセンサスに基づき、決定を行うものとする。運営委員会による決定はすべて、適宜書面で配布され、各会合の終了までに承認されるものとする。
3. 会議及び運営委員会は、その活動に関し、IPU及び欧州議会の両事務局によって補佐される。

第5条(議事日程)

1. 会議は、運営委員会からの提案に基づき議事日程を決定する。議事日程案は、各全体会議の開会の少なくとも1か月前には参加者へ通知されるものとする。

第6条(発言権及び決定)

1. 参加者とオブザーバーは同等の発言権を有する。
2. 実質的内容に関する問題に優先する議事進行に関する動議の提出を希望する参加者には、他に優先して発言権が与えられるものとする。
3. 会議は、参加代表団のコンセンサスにより、すべての議決を行う。会議の決定は、議長による十分な通知がなされた後に行われるものとする。

第7条(会議の成果)

1. 会議の成果文書案は、1名又は複数の報告委員の補佐を受けて運営委員会が作成し、十分な時間的余裕をもって参加者へ通知されるものとする。
2. 成果文書案に対する修正案は、修正箇所を明示し、英語又は仏語で、第2条第1項で定義された代表団又は報告委員より提出されるものとする。修正は、修正を求める箇所に直接関係するものとする。修正案は、原案に対し、その範囲又は性格を変えることなく、追加、削除又は変更を求めるものに限る。修正案は、運営委員会が定めた期限までに提出するものとする。運営委員会は、修正案の採用に関する決定を行うものとする。

第8条(規則の採択及び改正)

1. 会議はその規則を採択し、改正するものとする。
2. 会議の規則を改正する提案は書面で起案され、次回会議の少なくとも3か月前までには事務局に提出されなければならない。当該提案について、事務局は直ちに運営委員会のメンバー及び会議の代表団に通知するものとする。改正案に対する修正の提案についても、事務局は次回会議の少なくとも1か月前までに同メンバーに通知するものとする。
3. 会議は、承認の可能性も含め、運営委員会の意見を聴取した後、規則を改正するための提案に関する決定を行うものとする。



WTOに関する議員会議・ブリュッセル会合
採択宣言
(2004年11月26日採択1)


1. WTOに関する議員会議の年次会合のために、ブリュッセルに参集した我々議会人は、ドーハ作業計画に関するWTO一般理事会の2004年7月決定を歓迎する。多角的貿易交渉を前進させるためのロードマップが合意されたことにより、7月パッケージは、カンクン閣僚会議の難局を最終的に打開するという希望を高めた。

2. 新たな動きによる後押しがあるものの、前向きな最終成果を確保するためには、多くの曖昧な点を交渉の中で更に明確にさせなければならない。現在議論されている諸問題に関し、重要な意見の相違がWTO加盟国の立場を特徴づけている。それゆえ、ドーハラウンドを成功裡に導くために、コミットメントを達成するための決意及び政治的意思がすべての加盟国に必要とされている。この点に関し、議会は重要な責任を分担している。

3. 我々は、あらゆる地域の人々に利益をもたらし、持続可能な開発を拡大し、貧困を削減する自由かつ公正な貿易を促進するという我々のコミットメントを再度表明する。我々は国民の正規の代表として、マラケシュ協定で定められたWTOの本来の目的に留意しつつ、引き続きWTOの諸活動を監視し、その実効性及び公正性を促進する。

4. WTO交渉の成功に向け、あらゆる段階において、全WTO加盟国がWTO交渉に関与しなければならない。また、その総合的な成果は、国内の政策目標と国際的な義務の忠実な遵守とを両立させうるものにすべきである。そのためには、輸出国と輸入国、先進国と途上国との間の公平かつ公正な関係を確保し、開発途上国、とりわけ後発開発途上国(LDCs)にとっての実質的な利益確保に特に重点を置き、全WTO加盟国及び加盟決定国にとって真の利益均衡が保たれるべきである。

5. 我々は、特に後発開発途上国を始めとする開発途上国にとっての市場アクセスを向上させるためのより低い工業製品関税、非農産品に対するよりよい市場アクセス、環境関連物品の取引に対する関税及び非関税障壁の削減又は必要に応じた撤廃、並びに貿易円滑化の重要性を強調する。これらの分野における明白な進展は、国際貿易体制がよりよく、かつより効果的に機能することを支援するために必要である。

6. 我々は、農業に関する7月決定を歓迎し、WTO加盟国に対し、以下の3分野における作業を継続することを要求する。
・ あらゆる形態の輸出補助金の撤廃
・ 貿易歪曲的な国内支持の実質的削減
・ 市場アクセス

7. 我々は、農業交渉において、輸出国と輸入国、生産国と消費国を問わず、直接の関心事項である複雑な領域が存在することをはっきりと認識している。その交渉は、多数のWTO加盟国の経済発展及び成長見通しに対する農業、並びに更に精緻化されなければならない正しい方向への実質的な一歩の決定的な重要性を反映している。2004年7月31日にWTO一般理事会で採択された農業におけるモダリティ確立のための枠組みは、この点に関して一部詳細を記述しているものの、多くの困難を伴う決定を、特定の期限を設けることなく将来の交渉に委ねることとなった。7月31日合意に記述されているように、「センシティブ品目」の考え方及び開発途上国による特別セーフガード措置の確立や特別品目の指定等、開発途上国の特別な関心事項の枠組みを定め、提供するための基本的な必要事項がある。分野別イニシアチブ、差別的輸出税及び地理的表示についても、更に議論する必要がある。

8. これらの分野における明白な進展は、国際貿易体制がよりよく、かつより効果的に機能することを支援するために必要である。我々はこの点に関し、いわゆる「平和条項」は失効し、WTO加盟国は、ルール違反の申立てを行う権利を行使する自由を有していることに留意する。我々は、交渉の現段階における更なる緊張状態及び妨害を招くことを避けつつも、輸出補助金の撤廃を促進することを目的として、申立てに対する措置が慎重に用いられるべきであることを確信する。

9. 我々は、WTO及び同加盟国に対し、交渉期間にまで言及し、枠組みの中で設定されている3分野の改革、すなわち市場アクセス、国内支持及び輸出競争に直接関係する農業分野における国家のコミットメントに関する情報を可能な限り広範囲に提供するよう強く要求する。この情報は、全加盟国、特に開発途上国に明白な背景を提供する。

10. 我々は、熱帯農産物、特に砂糖、バナナ及び綿花の輸出に依存している開発途上国の差し迫ったニーズを最重要視する。これらは各々、WTOでの議論の主題となっている。コーヒー、ココア、パイナップル、米その他単一栽培作物の輸出収入に依存している開発途上国の現状に対しても考慮がなされるべきである。GATTで最初に謳われ、現在でもWTOで謳われているように、開発途上国の特定の貿易、金融及び開発のニーズに強い注意が払われるべきである。

11. 地域的な貿易協定の交渉を含め、継続中の交渉の各段階において、貧困削減、食料安全保障及び持続可能な生活についての開発途上国の関心事項が最優先されなければならない。各国の多様な農業が共存しうるよう、食料安全保障、国土保全、農村地域の再生及び農村の雇用を含む農業の非貿易的関心事項並びに持続可能な林業・漁業の問題についてもまた、満足のいく方法で取り組まなければならない。

12. 飢餓と飢饉は、まだ多くの国々で最も貧しい人々に被害を与えている。栄養失調と飢餓の問題は、輸出競争に関する交渉においてより鋭い焦点になってもよい。我々は、この点に関し、一方で、食料品の大部分を生産・輸出する先進国の責任を強調し、他方で、開発途上国が大胆かつ積極的な農村開発政策を真剣に推進する必要性-実際には義務-を強調する。食料安全保障問題の解決策は、開発途上国における現地生産及び地域市場の支援に努めるべき先進国と、徐々に自国の食料需要を満たせるようにするため必要となる農産品の生産及びマーケティングの調整を行うべき開発途上国自身との間の補完関係を求めるところに存在するのかもしれない。規律とコミットメントが交渉されることとなる特別交渉は明白かつ柔軟でなければならず、また食料輸入国に対し自国の食料安全保障を保護・促進するのに必要な余地を提供するものでなければならない。食糧援助規約、FAOの余剰処理のための協議メカニズム及びFAO/WHO国際食品(コーデックス)規格を見つめ直すことも必要となる。

13. 我々は、この枠組みがLDCsに特別の注意を払っている点を歓迎する。我々は、先進国及びそうすべき立場にある開発途上国はLDCsに由来する品目に対し無税・無枠の市場アクセスを供与すべきという提案を支持する。

14. 我々は、綿花の貿易が枠組みの中で特筆され、WTOにより、このテーマに関する小委員会が創設され、「野心的な成果を迅速に達成する」ために任務を課せられたことを満足の意を持って留意する。我々は、これらの成果が時宜に即して開発途上国の農民に確実に届くようすべての当事国に要求する。

15. あらゆる経済活動におけるサービス分野の重要性の増大、及び自然人の移動や国境を越えるサービスの提供を含むサービス貿易の拡大にかんがみ、我々は、全体のペースが期待はずれなものにとどまっているサービス貿易に関する交渉を前進させるための多くの勧告を承認した、WTO一般理事会の決定を認識する。この件に関し、すべての関係国の関心事項を満たすため、WTO加盟国からの改訂オファーは、2005年半ばまでに提出されなければならない。

16. 同時に、サービス貿易の自由化、とりわけ、公衆衛生、教育、文化及び社会サービスのために提供されるサービスのように、人間の基本的な権利及び基本的かつ不可欠なニーズに関するサービスの自由化について注意が払われなければならない。これらのサービスの自由化は、富裕国によって押しつけられるべきものでもなく、輸出補助金に関する交渉において思い起こすべきものでもない。このアプローチは、サービス分野を競争にさらすことについての柔軟性及び幾つかの分野の包括的・部分的除外を許容したサービス貿易に関する一般協定(GATS)の基本方針と一致するものである。市場アクセスの実施のための期限をより長期に設定することによって、制度的取決めが不十分で、ルールの完成に向けた交渉が未だ終了していない開発途上国に必要な政策の余地を提供することになろう。我々はまた、あらゆる国が自国の文化の多様性を保護するとともに公共サービスを維持・発達させる権利を有していると確信する。

17. 我々は、知的所有権の貿易に関連する側面(TRIPS)の分野で進歩を遂げ、公正な競争形態を促進することにより、偽造及び著作権侵害に対する措置をとり続ける必要があることを強調する。我々は、TRIPSのルールを実施するために、開発途上国に対する技術援助の提供の重要性を強調する。生物多様性及び安価な必須医薬品へのアクセスに対し、特別の配慮が与えられるべきである。

18. 我々は、適切に提供される技術援助を通じて提供される貿易関連のキャパシティ・ビルディング(能力開発)が、引き続き現在の交渉の不可欠な要素であることを確信する。認識の向上は、一方ではすべてのWTO加盟国の交渉へのより積極的な参加に、また一方では、議会人を含む幅広い国内領域にまたがる関連問題についての理解の向上につながる。これにより、貿易交渉の成果がより認められやすいものとなる。

19. 我々は、この件に関し、2001年のドーハ閣僚会議でなされたコミットメントが援助国、WTO及びその他の多国間機関による更なる取組を通じてフォローアップされている最中であることに留意する。我々は、すべての加盟国に対し、WTOのルール及び規律の履行の準備、交渉、維持に必要不可欠な人的、制度的、経済的な能力を構築するために、更に努力するよう奨励する。この件に関し、議会のニーズ、とりわけ貿易協定について積極的に活動を行うパートナーとなるべき開発途上国の議会のニーズに特別な配慮が与えられるべきである。

20. 我々は、議会はWTO交渉に実質的な貢献をすることができると確信する。議会は、国民主権を体現しており、国際フォーラムにおける国民の意思の表現、及び国際協定に対する国民の支持の促進に正当に貢献することができる。我々は、各国議会及びその議員に対し、貿易交渉及びWTOについての国民の認識・理解を向上させる一助となるよう要求する。我々は、各国政府及び各国議会に対し、議会が国際貿易交渉及びそのフォローアップについての議会による監視を実効的に行うことを可能にするために、定期的な対話に参加するよう、強く要求する。

21. 我々は、WTOに関する議員会議の次期会合を、2005年12月13日から18日まで香港で開催される予定となっている第6回WTO閣僚会議の際に開催することを決定する。我々は、全WTO加盟国に対し、閣僚会議への公式代表団に議会人を含めることを要求する。また我々は、閣僚会議に参加する自国政府に対し、その最終宣言に以下のパラグラフを追加するよう要求する。 「WTOの透明性は、議会をその活動に密接に関与させることによって強化されるべきである。」

22. 我々は、IPU及び欧州議会に対し、この宣言がWTO事務局においてフォローアップされることを確保するため、運営委員会において必要な措置をとるよう指示する。

1ベネズエラ代表団は、宣言文全体、特にサービス貿易に触れている節に関して留保を表明した。