国際会議 欧州評議会議員会議・経済協力開発機構(OECD):参議院
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欧州評議会議員会議・第14回経済協力開発機構(OECD)活動拡大討議派遣報告

 本代表団は、2005年10月4日及び5日の2日間、フランス共和国、ストラスブールで行われた欧州評議会議員会議・第14回経済協力開発機構(以下、「OECD」という。)活動拡大討議出席のため、同国を訪問した。

1.はじめに

 本代表団は、9月27日、東京において会議の議題に関し外務省及び内閣府から説明を受けた。また、派遣地のパリ及びストラスブールにおいては、北島OECD代表部大使及び庄司在ストラスブール総領事からそれぞれ全般的な説明を受けたほか、「OECDと世界経済」に関する決議案に対し、3本の修正案を提出するなど鋭意準備を行った。なお、今次会議の派遣に当たっては、衆議院からは代表団が派遣されなかったため、日本国会からは参議院代表団の単独派遣となった。

2.本代表団の活動の概要

  本代表団は、会議期間中、拡大経済・開発委員会及び本会議におけるOECD活動拡大討議への出席のほか、デイヴィス欧州評議会事務総長主催朝食会への出席、リンデン欧州評議会議員会議議長及びジョンストンOECD事務総長への表敬訪問、キリロフ経済・開発委員会委員長主催夕食会への出席、リンデン欧州評議会議員会議議長主催昼食会への出席(世耕団長のみ)、政治委員会非加盟国関係小委員会との昼食懇談会への出席(蓮舫、風間両議員)等、多岐にわたる活動を行った。
 本代表団の活動概要は、「欧州評議会議員会議・第14回OECD活動拡大討議概要」に譲り、ここでは参加参議院議員の活動を中心に、概要を報告する。
(1)拡大経済・開発委員会(10月4日午前)
 冒頭、キリロフ委員長より決議案を議題とする宣告が行われ、続いて報告委員であるブレトス議員(ギリシャ)より、決議案の概要について説明がなされた。その後、キリロフ委員長が決議案全体に対して意見を求めたところ、5名の各国代表議員から総括的な意見が述べられた。引き続いて、決議案の逐条審議に入った。決議案の逐条審議では、事前に日本、ロシア、移民・難民・人口委員会、環境・農業・地域問題委員会、文化・科学・教育委員会及び経済・開発委員会委員長からそれぞれ修正案が提出されていたために、委員会ではこれらの修正案を中心に、審議が進められた。
 日本から提出された3件の修正案に関する審議は、おおむね次のとおりである。
 (a)第3パラグラフ(WTOドーハ開発アジェンダ)
 風間議員より、次のとおり提案理由説明がなされた。
 第3パラグラフでは、新興国や途上国経済の利益、国連ミレニアム開発目標の達成のために、ドーハ開発アジェンダ(DDA)を成功裏に終結させる重要性について言及されている。DDAの重要性については、本年5月のOECD閣僚理事会において、DDAを成功裏に終えることが、世界規模の成長、雇用、開発、貧困削減のための強力な推進力となるという認識が共有されたことからも明白なように、OECD加盟国間で意見が一致している。しかし、本項目ではDDAの成果を世界経済における雇用の側面からしか捉えていない。新興国や途上国経済の利益、国連ミレニアム開発目標を達成する観点からすれば、DDAの成功は、雇用の問題だけでなく、貧困削減、社会条件の改善、生活水準の向上にも影響を与えるものと考えられる。したがって、最終文の「世界経済における雇用の新たな方向性を見出すための努力の反映でもあるドーハ開発アジェンダ」という記述を「世界経済において、貧困を削減し、社会条件を改善し及び生活水準を向上するための努力の反映でもあるドーハ開発アジェンダ」とすることを提案する。
 本修正案は異議なく採択された。また、移民・難民・人口委員会からの修正案等も採択された。
 (b)第4パラグラフ(米国の経常赤字)
 世耕団長より、次のとおり提案理由説明がなされた。
 第4パラグラフでは、米国の経常収支の赤字と為替レート調整の必要性について言及されている。OECDの報告によると、為替レートの調整が、米国の経常収支の赤字を改善する効果は限定的であり、米国の経常収支の赤字を削減するためには、まず米国の輸出入構造の調整や財政赤字の削減が重要であることが指摘されている。また、アジアの途上国などにおいて、より柔軟な為替制度を採用することは、重要な政策課題である。同時に、説明覚書の記述と整合的になるよう、米国その他の国々が適時適切なマクロ経済政策を行うことが重要であることや、世界の国々が為替制度の柔軟化に努めることも重要な課題であり、そうした文言を決議に盛り込むべきである。
 これに対し、「黒字国の貯蓄削減といった具体的政策まで踏み込むべきではない」との意見が出されたため、調整の結果、修正案の前半は字句修正を行い、後半は新たなパラグラフとして独立させてはどうかとの再修正提案が示された。本修正案は、再修正提案を反映した上で異議なく採択された。
 (c)第9パラグラフ(世界経済の不均衡)
 蓮舫議員より、次のとおり提案理由説明がなされた。
 第9パラグラフでは、米国の財政赤字、ユーロ経済圏の間で広がる乖離などが世界経済における懸念材料であると指摘した上で、拡大議員会議としてOECDに対し、ヘッジファンドやデリバティブ(金融派生商品)について一層の調査を行い、必要に応じ、OECD加盟国及び国際社会全体としての共通の行動のための政策を提案するよう要請している。しかし、後段の記述は唐突な印象があり、世界経済の不均衡の解消のためにヘッジファンドやデリバティブの研究をすることは、意義があることとは思われない。世界経済の不均衡解消に向けてOECDが取り組むべきことは、OECD加盟国及び非加盟国に対して、適切なマクロ経済政策、構造政策を採用するよう働きかける努力を継続し、強化していくことである。世界経済の不均衡解消に関連して、あえてヘッジファンドやデリバティブに関連した研究を行おうとするのであれば、ヘッジファンドやデリバティブを含む世界の資金循環が、世界経済に与える影響を分析することが考えられるが、こうした分析を行うに際しては、データの制約が大きいことに留意する必要がある。したがって、後段の記述は削除すべきである。
 これに対して、ヘッジファンドやデリバティブの動きは世界経済の不均衡の結果であって原因ではないので、原文を修正することには賛成との意見が出される一方、ヘッジファンドを研究することは重要であり、国際金融市場の動きを調査する必要性はあるとの意見が出された。調整の結果、後段について後半部分の政策提言に関する記述は削除してはどうかとの再修正提案が示された。本修正案は、再修正提案を反映した上で異議なく採択された。
 決議案本体に関して逐条審議が終了した後、キリロフ委員長より提案のあった、再修正や投票要件等に関する変更を内容とするOECD活動拡大討議議事規則を改正する附属書を決議案に追加する修正案について異議がないことを確認した上で、決議案全体の採択を投票に付した。その結果、修正された決議案は、賛成24、反対1、棄権0の賛成多数をもって採択された。
(2)OECD活動拡大討議(本会議:10月5日午後)
 冒頭、リンデン議長より議事についての説明と、日本等の欧州域外のOECD加盟国の参加を歓迎する旨の発言がなされた。次に、ブレトス報告委員から報告書「OECDと世界経済」について説明が行われ、社会・保健・家族問題委員会、移民・難民・人口委員会、文化・科学・教育委員会、環境・農業・地域問題委員会から意見が述べられた。
 続いてジョンストンOECD事務総長が演説し、原油価格の高騰は、しばらく続くであろうが、強いユーロが原油のドル建てによる衝撃を和らげてきたことや、メキシコ湾岸で発生したハリケーンによってリスク問題が顕在化したが、OECD諸国ではリスク対処の機能が十分備わっていない点を指摘した。また、OECDの拡大アウトリーチ活動の重要性が認識され、アラブの国々では中東・北アフリカ(MENA)向けプログラムが運営されているとの発言を行った。さらに、最近のOECDは中国に焦点を当てており、中国のガバナンス及び経済審査に関する報告書をまとめ、貧困などの構造問題を明らかにするとともに、中国の規制改革に関する調査を実施し、中国の環境問題に関する調査にも取り組もうとしていることを示し、これらの調査が、中国市場が生産的・効率的に機能することを確保して、中国を支援する上で重要であることなどについて言及が行われた。
 続いて、欧州評議会議員会議加盟国議員及びOECD加盟国議会代表議員の計10名による演説が行われた。各国代表議員の演説を受けて、ジョンストンOECD事務総長から多くの発言に対する謝意が示されるとともに、経済犯罪の存在を認識した上で、経済犯罪が、貿易・投資・諸国間の関係を歪曲することから、その最小化に努めなければならないことや、経済の進展なしに社会の進展はあり得ないという認識が重要であることなどが述べられた。また、高齢人口の問題も年金・移民の問題と同様に重大な問題であるとの認識を示した。
 ジョンストンOECD事務総長の発言に続き、本代表団の世耕団長が、11番目に演説を行い、世界経済の現状、日本経済の現状と課題及び今後の世界経済と日本等について演説を行った。
 引き続いて、欧州評議会議員会議加盟国議員及びOECD加盟国議会代表議員の計8名の演説の後、ブレトス報告委員とパパドプロス経済・開発委員会副委員長より、それぞれこれまでの討議に対する謝意が述べられた。
 最後に、委員会から上程された決議案が採択に付され、本代表団の各議員も採決に加わった。採決の結果、決議案は賛成多数で採択された(別添参照)。
(3)表敬訪問等
 (a)デイヴィス欧州評議会事務総長主催朝食会(10月5日午前)
 冒頭、世耕団長より、朝食会への招待に対し謝意が述べられた。デイヴィス事務総長からは、本代表団の訪問を歓迎するとともに、超党派による代表団の編成でストラスブールでの会議に参加し、素晴らしい業績を挙げていただき感謝している旨の発言があった。あわせて、デイヴィス事務総長より、欧州評議会としては日本代表団の来訪を大変重視しており、日本代表団に現在よりも長い期間にわたってストラスブールに滞在してもらえれば、欧州の議員たちとの交流を深め、関心を有するテーマに関する会合も設定することができる、また参加する日本代表団の構成について、カナダやメキシコの代表団の例も参考にしながら、経験の浅い議員と経験の長い議員とを組み合わせることを考えてはどうかとの要請が行われた。
 これに対して世耕団長は、文書により要請していただきたいとの発言を行い、デイヴィス事務総長は、日本代表団の規模を大きくして滞在期間を長くすることを在ストラスブール総領事館を通じて正式に要請したいとの考えを示した。
その後、IT分野の問題について世耕団長が、欧州と中国経済との関係について蓮舫議員が、自然災害の問題について風間議員が意見を述べたほか、オブザーバー国における死刑廃止問題等が話し合われた。
(b)リンデン欧州評議会議員会議議長表敬(10月5日午前)
 冒頭、世耕団長より、貴重な時間を割いて面会していただいたことに対し謝意が述べられた。リンデン議長からは、本代表団の訪問を歓迎するとともに、欧州評議会議員会議は、アジアの議員交流団体との関係では、アジア国会平和連合(AAPP)と密接な関係を持っているが、AAPPからは、アジア議員会議設立の支援要請を受けるなど、議員間交流の模範でありたいとの考えが示された。これに対して世耕団長は、欧州評議会議員会議が、議員間交流のモデルを示してくれていることに敬意を表しながらも、欧州評議会議員会議は一つの団体とだけ付き合うのではなく、広く門戸を開いていただくよう要望するとの意見が述べられた。
 続いて、死刑廃止問題について、リンデン議長から、欧州評議会のオブザーバー資格と死刑廃止は密接な関係を持っており、死刑制度を存続させている日本のオブザーバー資格を問題視する意見が欧州評議会議員会議の中にあるとの発言があった。これに対して世耕団長は、国民の80%が死刑制度の存続に賛成している、日本は死刑制度の運用を極めて慎重に行っている、死刑制度廃止は終身刑制度の導入とセットで議論しなければならないとの考えを示し、風間議員は被害者の人権を考慮しながら死刑廃止問題は考えていかなければならない旨の発言を行った。
このほか、日本の財政状況や経済対策等についても意見交換が行われた。
 (c)ジョンストンOECD事務総長表敬(10月5日午前)
 冒頭、世耕団長より、拡大経済・開発委員会において日本の修正案が採択されたことへの言及が行われた。
 ジョンストン事務総長は、小泉内閣の構造改革について質問を行い、これに対して世耕団長は、郵政民営化をテーマに衆議院総選挙が行われた結果、与党が大きく勝利したことや、郵政民営化法案成立後の課題として、国家公務員の人件費削減、一般会計と特別会計から成る複雑な国の予算システム改革等に小泉内閣が取り組んでいくとの説明を行った。風間議員は、財政改革に関連して特別会計の見直しが議論されているとの発言を行った。
 その他、2006年5月をもってジョンストン事務総長の任期が満了することから、その後任候補として日本はエコノミストの竹内佐和子氏を推薦していることや、クールビズの取組等について意見交換を行った。

3.終わりに

 本代表団は、ストラスブールの欧州評議会議員会議でのOECD活動拡大討議参加の帰路、パリにあるOECD本部で行われた中国の経済政策課題に関するハイレベル議会セミナーに出席するなど、積極的な活動を行った。最後に、本代表団のために種々の便宜を図っていただいた関係各在外公館の各位に対し、心より御礼申し上げ、本報告を終える。

【別添】

決議第1467号「OECDと世界経済」
(2005年10月5日採択)

1.OECD(経済協力開発機構)及び欧州評議会の加盟国議会代表団から構成される拡大議員会議は、同経済開発委員会が作成した報告書及びその他の各種委員会からの意見書に基づき、世界経済に関連する最近のOECD活動について検討した。

2.拡大議員会議は、特に中国、インド、ブラジル、ロシア連邦及び多くの新興経済国と同様に米国が成長を続けていることにより、世界経済が全般的に堅調に成長していることを歓迎する。これらの国々の全てが、世界経済の成長にとって一層主要な原動力となっており、拡大議員会議は、OECDが加盟国ではグローバルなものとなっていないにしても、その影響力が及ぶ範囲をグローバルなものにしている、OECDとこれらの国々との協力の強化を歓迎する。

3.拡大議員会議は、OECD地域におけるインフレは、生産性の向上と、競争の拡大、さらには世界貿易の急速な増大がもたらすモノ及びサービスの充実した供給を反映してか、今までのところうまく抑制されてきていることに満足をもって言及する。特に新興国及び途上国経済の利益、国連ミレニアム開発目標の達成のためには、ルールに則った、予見可能かつ無差別的な開かれた貿易及び金融体制を一層発展させるとともに、貧困削減に尽力している国々に対して開発援助を行うことが重要である。これは、とりわけWTO(世界貿易機関)の下で、世界経済における貧困削減、社会生活の改善及び生活水準向上のための努力の反映でもあるドーハ開発アジェンダを成功裏に終結させることを通じて達成することができる。拡大議員会議は、WTOとともにOECDに対し、特定のニーズがある国々への技術投資を奨励するため、世界貿易の指針となる新しい原則を定めるよう求める。

4.しかしながら、数多くの厄介な事態により、雲行きは怪しい。巨額で絶えず増え続ける現在の米国の経常収支の赤字は長期的には持続不可能であり、世界中の貯蓄が米国の低い国内貯蓄の埋め合わせに浪費されるため、市場による痛みを伴う調整を招くことになるかもしれない。これに関連して、米国その他の国々が適時適切なマクロ経済政策を行うことが重要である。

5.また、拡大議員会議は、自国通貨の価値を他国に比べて意図的に低く抑えている国々ができるだけ早くそうした政策を中止することを期待するとともに、今後は、世界の国々がより柔軟な為替レート制度を採用することによって、不均衡が緩やかに是正されるべきだと考える。

6.イタリア及びドイツは景気後退の危機にあり、ユーロ圏12か国は経済的に収斂するどころかむしろ拡散しつつあり、ユーロ圏における弱含みの成長はもう1つの懸念材料である。拡大議員会議は、OECDに同調し、欧州中央銀行(ECB)には今、経済活動を活性化させるために政策誘導金利を引き下げる余地が十分に残っていると信じる。同時に拡大議員会議は、欧州通貨統合(EMU)に参加する関係各国が、2000年のリスボン戦略の精神で経済改革を加速するよう求める。欧州憲法条約に関する幾つかの国民投票の結果を理由として、改革の意思を弱体化させないということが重要である。なぜなら、それは既に困難な経済状態を悪化させ、成長を危険にさらすことになるだけだからである。

7.特に米国や新興経済国、とりわけ中国における、急速な需要の高まりに起因する原油価格の高騰及び変動は、世界経済の成長に更なるリスクをもたらしている。拡大議員会議は、OECD加盟国に対し、化石燃料、特に石油及び石炭への依存を減らしてエネルギー効率を高め、とりわけ放射性核廃棄物の処理及び貯蔵といった未解決の問題に取り組みつつ、原子力を含むエネルギー源の多様化に、一層の努力をするとともに、再生可能エネルギー源及び技術を一層整備するよう求める。また、拡大議員会議は、OECD加盟国に対し、中東及びペルシャ湾地域の平和及び政治的安定を推進する努力を強化するよう推奨する。これに関連して、拡大議員会議は、OECD及び国連開発計画(UNDP)の支援で、中東及び北アフリカ諸国(MENA)が開始した、開発のためのガバナンスと投資に関するイニシアティブを歓迎する。

8.拡大議員会議は、OECDが、特にロシアのWTO加盟プロセスへの支援を含め、ロシア・プログラムに則り、ロシアと広範囲な協力を行うことを歓迎する。拡大議員会議は、とりわけロシアが、必要な国内の構造改革及び経済の自由化に着手し、経済基盤を石油及び天然ガスから広げることにより、投資家の信頼を確固たるものとすれば、近い将来にはロシアのWTO加盟が完了しうると期待する。

9.中国経済の開放と成長による影響から、拡大議員会議は、チャイナ・ガバナンス・プロジェクトの開始と同様、2005年に完了したOECDによる初の対中経済審査を歓迎し、これらのプログラムの更なる発展を奨励する。

10.最近の米国の財政赤字、ユーロ経済圏の間で拡大している乖離及び世界の多くの最貧国がますます立ち遅れつつあるといった偏見を抱かせる事実に例示されるような、世界経済における顕著な不均衡もまた、懸念材料である。これに関連して、拡大議員会議は、OECDに対し、ヘッジファンド並びにスワップ、オプション及び債務担保証券といったデリバティブ(金融派生商品)について一層の調査を行うよう要請する。

11.拡大議員会議は、10か国が新規加盟した2004年のEU拡大が、急速な経済的及び制度的発展並びに拡大EU内における統合の進展に示されているように、1年を経て成功していることを喜ばしく思う。拡大議員会議は、東欧その他の国々に関しても実施されているSIGMA(ガバナンスと管理の改善支援)のようなプログラムを通じ、この過程にOECDが貢献していることを認識している。

12.この点において、世界の地域間の適切なバランスの確保に然るべき注意を注ぎながら、OECDの基準を満たす世界の全ての国々をできるだけ早く取り込むような、OECD自身の更なる拡大に一層の考慮が払われることが重要である。OECDの拡大は、現在の加盟国では、世界の新たな経済実態及び増大する富の配分において劇的な変化を反映しなくなっていることを考慮すると、更に重要である。新興経済国とのOECDの協力プログラムは、賞賛に値するものの、例えば、ミレニアム開発目標の達成など、世界の貧困国を最もうまく支援する方法を含めた富裕国が直面する課題への取組において、もはや十分ではないであろう。

13.拡大議員会議は、教育、科学研究、社会的一体性、グッドガバナンス(良い統治)及び民主的安定といった要素が、個別国家の経済パフォーマンス及び世界経済全体にますます影響を与えていることに留意するとともに、OECD加盟国に対し、これらの要素に細心の注意を払うよう勧告する。この点において、拡大議員会議は、これらの分野においてOECD及び欧州評議会により達成された多角的な作業及び基準設定を歓迎するとともに、これらの機関に対し、この点での協力及び協調を強化するよう要求する。

14.拡大議員会議は、OECDに対し、高等教育や学生の全潜在能力を引き出すことを可能にする研究が、例えば、社会的一体性や公正だけではなく、知識社会、生涯教育、グローバル化、国内及び地域経済、地域社会との関連で一層多様化するニーズや需要に対応する上で果たす役割について検証するOECD加盟国比較実情調査を行うよう推奨する。

15.拡大議員会議は、OECD及び欧州評議会に対し、教育政策の分野において、共通に認めた優先分野に関する行動を協調させるよう要求する。

16.拡大議員会議は、OECDに対し、農業の非経済的側面を考慮するよう求める。農業が、その主な役割である生産面だけでなく、農村地域の経済・社会生活、景観の保存及び維持、並びに水、空気及び土地といった生命に不可欠な要素の保護にも貢献していることが考慮されるべきである。この条件に基づいてのみ、都市と農村地域のバランスが維持されるであろう。

17.拡大議員会議は、OECDが引き続き、持続可能な開発に取り組む権限を行使することを強く支持するとともに、21世紀最初の10年における環境持続性を達成するためのOECDの環境戦略の目的の実施が、最優先事項として取り扱われるべきであると考慮する。特に、京都議定書の実施とともに、ポスト京都、すなわち2012年後の期間における温室効果ガスの削減のために緊急に行動することが必要である。

18.最後に、OECD活動に関する拡大議員会議は、この報告書の附属書に含まれているとおり、1992年に採択されたOECD活動拡大討議議事規則を修正することを決定する。

附属書
OECD活動拡大討議議事規則の修正

1.OECD活動拡大討議議事規則は、1992年に採択され、1994年に改正された。同議事規則は、2005年版欧州評議会議員会議議事規則150~158ページに掲載されている。

2.その後、欧州評議会議員会議議事規則については、今や46の加盟国及びオブザーバー国を数える欧州評議会の拡大などの環境の変化を反映し、修正が加えられてきた。

3.以上を踏まえ、OECD活動拡大討議議事規則は、以下のとおり修正される。

 -第3条第1項中、「議長」の後に「若しくは副議長」を加える。
 -第3条第1項中、第2文を削除する。
 -第5条第5項中、第3文については、発言時間を議員会議に揃えるため、「7分」を「3分」に置き換える。その結果、委員会を代表して発言する者は、3分間発言することができる。  -第6条第3項中、末尾に、「再修正は、討議の始まる本会議と同じ会期中の1つ前の本会議散会の少なくとも1時間前に提出されなければならない。」を加える。(これは、議員会議議事規則と同様の規定)
 -第6条第5項中、「3分」を「1分」に置き換える。
 -第8条第2項中、「10名」を「30名」に、「3つの議会の代表団」を「5つの議会の代表団」にそれぞれ置き換える。
 -第9条第6項中、「3分」を「1分」に置き換える。

 英語版でのみ、議員会議議事規則154ページにある第6条第3項の最終文末に、「討議前日の午後7時までに」との語句を追加する。