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第25回日本・EU議員会議派遣報告

 本代表団は、平成16年4月21日及び22日の2日間、フランス、ストラスブールの欧州議会において開催された第25回日本・EU議員会議参加及びアイルランド視察等のため、フランス及びアイルランドを訪問した。

 本代表団は、会議参加に当たり、衆議院代表団とともに、10名の衆参両院議員から成る日本国会代表団(団長:中山太郎衆議院議員、顧問:羽田孜衆議院議員、副団長:林芳正議員)を結成し、EU及び欧州議会の状況並びに会議の各議題に関して、外務省を始めとする関係省庁及び関係公館から説明を聞くなど、鋭意準備を行った。

 会議の行われた4月下旬は、欧州議会の各議員とも、本年6月の選挙を控え、本会議審議のため多忙を極めていた。日本国会代表団は、本会議の合間を縫って、欧州議会対日交流議員団(団長:アンダーソン議員)との間で、2セッションにわたって、国際政治・安全保障、経済・貿易関係及び日欧協力に関する各議題について討議を行った。また、コックス欧州議会議長、ポッテリング欧州人民党グループ代表及びバロン・クレスポ欧州社会党グループ代表とそれぞれ会見し、欧州情勢及び今後の日欧関係について意見交換を行った。このほか、日本国会代表団は、欧州議会本会議における議案審議を傍聴したほか、各種レセプションに出席し、欧州側議員と積極的に懇談した。

 また、会議終了後の4月22日午後から24日まで、本年6月までEUの議長国であるアイルランドの首都ダブリンを訪問し、政府要人等と会見したほか、主要施設を訪問・視察した。

1、会議の概要

 会議は、2つのセッションの各議題について、日欧双方の議員がそれぞれ冒頭発言を行い、続いて自由討議を行う形で進められた。会議場には、英語を始め欧州議会の11の公用語のほか日本語の通訳ブースが設けられ、本代表団の各議員は、日本語のほか適宜英語やフランス語を用いつつ、熱心に討議に参加した。また、会議に先立ち、日EU双方の団長及び副団長により、会議日程及び運営に関する入念な打合せが行われた。

(1)第1セッション(4月21日15時30分~18時45分、議長:アンダーソンEU側団長)

 (1)国際政治・安全保障に関する討議

 まず、EUの政治情勢について、アンダーソンEU側団長と羽田衆議院議員・顧問がそれぞれ冒頭発言を行った。続いて、中山、ヤルツェンボウスキー、ボッティヒャー、カウフマン、ソーレンセン、ドゥフースの各議員がそれぞれ発言した。EU側からは、EU拡大に伴う影響等について詳細な説明がなされた。

 次に、日本の政治状況に関して、林議員・副団長とゴルニッシュ議員がそれぞれ冒頭発言を行った。林議員の発言の概要は、次のとおりである。

 昨年11月の衆議院議員総選挙は小選挙区になって3回目であった。選挙の結果、与党にとっては現状維持であったのに対し、野党では、民主党が議席を伸ばし、他方、社民党と共産党は議席を減らすなど変化が見られた。これは、二大政党制への収斂の過程ではないか。衆議院の総選挙後政府予算案決定までの短時間に、政府の年金改革、三位一体の改革などに関し、大事なことが幾つか決まった。

 まず年金改革について、日本では高齢化が進んでいるが、年金掛金を納める人が減る一方で、年金をもらう人は増えている。現在、国会に年金改革のための政府案を出して議論しているが、野党民主党もその対案を出している。年金の在り方は、非常に難しい問題だけに、審議は難航している。

 また三位一体の改革は、いわば地方分権改革である。現在、政府・自民党は、地方交付税の見直し、国から地方への補助金削減、税源移譲について検討しているが、大都市圏と地方とでは経済規模が大きく異なることなどもあり、改革は容易に進まない状況にある。

 次に、イラクへの自衛隊派遣を巡って、我が国では国論を二分する大議論がなされた。当初は反対が賛成を若干上回っていたが、その後人質事件が起き、事件解決後は、自衛隊のイラク派遣への賛成が過半数に上っている。

 最後の点は、憲法改正である。自民党では来年の結党50年までに草案をまとめるべく努力しており、民主党や公明党もそれぞれ議論しようとしている。憲法改正は現実的な課題になってきてはいるが、まだ論点を整理するところまでしかいっていない。

 続いて、フォード議員と田中、後藤田の両衆議院議員が、それぞれ日本の政治状況について発言した。

 次に、世界の安全保障問題に関し、フォード議員と中山衆議院議員・団長が冒頭発言を行い、続いてボッティヒャー、ソーレンセン、ロウシング、羽田、舛添の各議員がそれぞれ発言した。ここでは、イラク及びテロ問題に焦点が当てられ、各議員からは、日本・EU間には色々な懸案や意見の対立があるものの、こうした問題解決のため、もっと協力し合う必要のあることが強調された。

 舛添議員の発言の概要は、次のとおりである。

 テロとの闘いにおいて、現在スペイン、ホンジュラス、ドミニカがイラクから軍隊を引き上げようとしていることは、大変残念である。仮に我が国がテロリストによって脅された場合、その要求に屈してイラクからの自衛隊撤退を決定すれば、テロリストは、思ったとおりのことができることを示すことになる。特に欧州議会の選挙の行われる6月は、参議院議員通常選挙の前でもあり、テロとの闘いを進める上で重要な月になるだろう。

 我々は、すべての政策をブッシュ米政権と同一にするわけではない。しかし、北朝鮮の現実の脅威に対しては、国連、EU、そして我が国自身にも抑止する力がなく、米国に頼らざるを得ないことは事実である。そのために、我が国は米国との協調を確保しなければならない。

 対北朝鮮外交では、対話と圧力の両方が必要である。確かに北東アジアの安全保障のためにはパイプライン敷設が必要ではあるが、他方で軍事力による抑止力も必要であることを強調したい。

 テロとの闘いを進めるためには、我が国とEU、米国がもっと協力し合い、国連関与の下でイラク人政府樹立のために努力することが重要である。

 (2)経済・貿易関係に関する討議

 まず、ハーバー議員と岩本議員が冒頭発言を行い、続いて後藤田、シュミッドの両議員がそれぞれ発言した。岩本議員の発言の概要は、次のとおりである。

 始めに、日本のODAについて発言する。日本は、長い間景気が低迷し、失業者も増えている。国内にはそのような状況の下で、海外に対して大盤振舞をして援助していいのかという意見もある。また、援助を受ける国によっては、経済援助を行うよりも、自立を促す方がいいという意見もある。この点に関して、EUの皆様のご助言を伺いたい。

 次に、来月、新たにEUに10か国が加盟するが、これらの国々のインフラ整備や産業面の支援のために、EU内で具体的にどのような政策を考えているのか、お示しいただきたい。

 EUの拡大に当たり根底にあるのは、人材育成の在り方である。今後、EU域内で人的交流や留学がますます盛んになると思うが、現在これに関してどのような問題があり、またどう対処しようとされているのか、伺いたい。

 最後に、情報産業が国際経済に及ぼす影響は計り知れないが、EUでは情報産業の活動に対する規制、ガイドラインがあるのかどうかについても伺いたい。

 また、ハーバー議員からは、現在、情報社会が進展しつつあるが、欧州議会代表として参加した昨年12月の「第1回情報社会世界サミット」は非常に重要な会議であった、今後、各国が情報社会の一層の進展のために協力し合うことが重要であり、2005年に開催される「第2回サミット」にも、是非、日本の議員の参加を促したいとの発言がなされた。

(2)第2セッション(4月22日9時45分~10時55分、議長:中山衆議院議員・日本国会代表団団長)
 (1)日欧協力に関する討議

 まず、科学技術及びエネルギー問題について、ロウシング議員と舛添議員がそれぞれ冒頭発言を行った後、岩本、ハーバー、フォードの各議員が発言した。討議では、日本とフランスがそれぞれ活発に誘致運動を行っている国際熱核融合実験炉(ITER)の立地問題が焦点となり、双方の議員の間で真剣かつ活発な議論が展開された。

 舛添議員の発言の概要は、次のとおりである。

 まず、熱核融合が人類にとって夢のエネルギーであり、人類が協力して取り組むべき課題であることを強調したい。現状では、日欧間の科学技術協力は十分ではなく、もっと進めるべきである。

 また、日欧は、原子力発電が非常に進んでいるが、他方で、原発反対運動も大変盛んである。そういう中で核融合のプロジェクトを進めていくことは、より地球環境にやさしいエネルギー開発を行うことにつながるものである。

 京都議定書で決められているが、CO2の削減のためにも原発を続けるべきであるとの立場で、過去20年間、日本の原子力政策に関わってきた。ITERのサイトは、世界最高峰の科学者を集めるため、生活環境が優れていなければならない。これまで、日本の候補地である六ヶ所村は原子力関連施設を集積してきており、研究施設とインフラは非常に整っているほか、港に面しているので、機材の運搬に適し、便利がいい。ITERの建設には50億ユーロ、またランニングコストは20年間で50億ユーロほどかかるが、日本政府は相応の負担をする用意がある。

 仮にITERを日本で建設することになった場合でも、すべてを独占することは考えていない。EUでは、フランスのほかにもドイツ、英国、スペインなど原子力の研究開発の進んだ国があるので、是非、こうした国々にITERの関連施設をちりばめて、日欧の協力を進めていくべきである。このようにして、世界最高の科学者たちが日本と欧州との間を行き来できるような環境を整えることが望ましい。今後とも、ITERプロジェクトについては、日本の利益や欧州の利益を考えるのではなく、人類全体の利益を考えて、どういう形での問題解決が望ましいのかという観点から、EUと対話を続けながら、問題解決に当たりたい。

 続いて、岩本議員が発言を行ったが、概要は次のとおりである。

 日本が誘致している六ヶ所サイトは、優れた土地の特性を持っている。安定した地層が十分な厚みと広がりを有して存在しており、平坦で広い用地を70へクタール無償提供する予定である。中国が懸念を示している地震の問題については、六ヶ所サイトは筑波などに比べて震度はきわめて小さく、我が国が有する高度の免震技術の採用により対応できる。

 また、六ヶ所サイトは、大きな港湾施設が近く、海上から到着する機器が迅速かつ安全に輸送可能であり、また、それにかかるコストも安く上がる。ITERの運転・解体に伴う放射性廃棄物については、青森県が責任を持って対応することとしており、六ヶ所サイトの優位性は揺るがないものと考える。

 さらに、六ヶ所村は、単に東京に比較的近いだけでなく、短時間で北海道に行け、夏はその大自然を満喫し、また冬もスキーなどを楽しむことができる。六ヶ所村のある青森の人々は、世界中から青森に来る科学者とその家族の方々を心から歓迎するので、皆様はその良さを実感するものと確信する。

 また、日本は、唯一の被爆国として、原子力エネルギーの平和利用の重要性を強く認識している。その日本にITERを立地することは、まさにこれを具現化することになり、意義のあることである。

 以上の発言に対し、ロウシング議員より、ITERのコストと日本の負担する額の正確な数字を欧州議会に提出願いたいとの要請が出された。これを受けて、会議終了後直ちに外務省を通じ、欧州議会に資料を提出した。また、ゴルニッシュ議員より、フランスのカダラッシュにITERを立地した場合の利点が述べられたほか、フォード議員からは、ITERの日本立地を支持するとの発言がなされた。

 次に、文化における日欧協力について、欧州委員会のウォルシュ氏より、2005年は「日・EU市民交流年」であり、交流年を成功させるべく様々な行事を行いたい旨説明がなされた。次いで、羽田議員とバノッティ議員がそれぞれ冒頭発言を行った。続いて、保利、ゴルニッシュ、ヤルツェンボウスキーの各議員がそれぞれ発言した。

 討議では、各議員より、日本とEUの国民レベルで相互理解を進める上での様々な文化交流及び留学生交流等を通じた教育交流の重要性が強調された。

 (2)経済・貿易関係に関する討議

 日本経済の問題について、まず田中衆議院議員より冒頭発言がなされた。報告の途中で、欧州議会本会議での採決時間が迫ってきたため、一旦討議を終了し、日本経済に関する議論は、本会議終了後の日本国会代表団団長主催昼食会の席で行うこととなった。

2、ダブリン訪問

 会議終了後、日本国会代表団は、アイルランドのダブリンを訪問した。ダブリンでは、バノッティ欧州議会議員団副団長及びオーウェン・アイルランド下院議員の案内により、アハーン首相、カイリー上院議長、ウッズ両院合同外交委員長及び委員、ドーガン産業開発庁長官等と会談したほか、アイルランド国会議事堂、ダブリン埠頭にあり、開発公社により開発の進められているドックランド地区、トリニティ・カレッジ及び世界遺産のニューグレンジ等を視察した。

 アハーン首相及びカイリー上院議長は、会談の中で、共にアイルランド及び5月から中東欧の10か国を加えて25か国に拡大するEUと日本との友好・協力関係の重要性について触れ、今後更にそれを強化していく必要性を強調した。また、アハーン首相は、EU議長国として、日本がこれまで中東欧地域の安定化のため行ってきた人的・経済的貢献に対し、謝意を表するとともに、6月の訪日を楽しみにしていると述べた。

 また、ウッズ委員長を始め両院合同外交委員会メンバーとの会談では、友好的な雰囲気の中で、両国の実情を踏まえつつ、政治、経済、文化など幅広い分野にわたって率直な意見交換が行われた。

 さらに、ドーガン産業開発庁長官は、好調を続けるアイルランド経済の現状とその背景及び今後の見通しについて詳しく説明し、今後更に多くの日本企業の投資を期待する旨述べた。

3、終わりに

 以上、本議員団は、ストラスブールでの日本・EU議員会議参加及びアイルランド訪問を通じて、EU及びアイルランドの実情及びこれらと日本との関係の重要性等について理解を深めるとともに、欧州議会を始めEU側との友好・親善及び協力関係の強化に寄与したことを付記して、報告を終える。