コスタリカ・カナダにおける憲法事情及び国連に関する実情調査 概要

 

(4)オスカル・フォンセカ選挙最高裁判所長官
(Oscar Fonseca)

9月4日(木)16:30〜17:20

(同席者)
ルイス・アントニオ・ソブラド選挙最高裁判所判事
オルガ・ニディア・ファジャス選挙最高裁判所判事

[略歴]
1.年齢   60歳

2.学歴   コスタリカ大学(法学及び公証学士)
        エレディア師範学校(小学校教諭)

3.職歴   1972〜81年   エレディア県、サンホセ市、コロン市(サンホセ県)等にて法律関係職を歴任
        1981〜91年   サンホセ高等裁判所判事
        1993年〜    選挙最高裁判所判事
        1998年〜    同裁判所長官(判事長)

[質疑応答]

(市川団長)
 民主政治の根本は、選挙が厳格公正に保たれることと思うが、貴国では、選挙最高裁判所を設置し、これに強い独立性と権限を与えていると伺った。日本にはない組織だが、選挙最高裁判所とはどのような機関か。

(フォンセカ長官)
 日本の議員団をお迎えし光栄である。

 選挙最高裁判所は、1949年以来設置されており、選挙に関するすべての事項を所管している。また、国民に好かれ尊重されている機関でもある。一般に、「第四の権力」と考えられているが、これは憲法に明記されているわけではない。選挙最高裁判所の役割については、憲法第9条にすべて記されている。

(市川団長)
 最高裁判所と選挙最高裁判所の機能の関係はどのようなものか。

(フォンセカ長官)
 憲法第100条に記されているが、最高裁判所は、構成員の3分の2の賛同によって選挙最高裁判所の判事を任命する。しかしながら、選挙最高裁判所は、最高裁判所に従属する機関ではなく、独立した機関である。

(市川団長)
 最高裁判所には憲法法廷があり、あらゆる憲法事項を扱う。選挙最高裁判所との役割分担はどうなっているのか。

(フォンセカ長官)
 最高裁判所第四法廷は憲法の審査を行う。選挙を含んだ法律を審査するのは第四法廷であり、それを無効にする権限がある。選挙最高裁判所にはこの権限はない。選挙最高裁判所は、憲法の選挙条項の解釈者として存在する。

(小泉議員)
 憲法制定と同時に設置された理由は何か。公正な選挙は民主主義の原点であり、選挙の不正を監視及び防止するためと思うが、それ以外にも理由はあるか。

(フォンセカ長官)
 買収及び汚職を監視する、まさにそのために、独立性が保障されている選挙最高裁判所がつくられた。

(ソブラド判事)
 付け加えると、議会が選挙の結果を無視したことから1948年に内戦が起こり、独立した選挙監視機関設置の必要性が高まった。それ以前は、行政が選挙を組織し、議会が監視していたが、その結果、選挙結果の無視という事態が発生したため、行政、立法以外の独立した機関として選挙最高裁判所ができた。

(小泉議員)
 日本の選挙管理委員会は管理だけだが、選挙最高裁判所は管理だけでなく、監視し、判断も下すのか。

(フォンセカ長官)
 違憲審査権はないが、選挙に関するすべてのプロセス、事実については判断を下す。唯一の例外として、刑事事件となれば最高裁判所が扱う。選挙最高裁判所の判断は最終のものであり、これを撤回するほかの機関はない。

(小泉議員)
 選挙最高裁判所に下級審はあるのか。

(ファジャス判事)
 選挙のすべてのプロセスを組織し、指揮し、実行し、コントロールし、解決する唯一の機関である。下級審はない。

(ソブラド判事)
 下級審はないが、選挙を扱う行政機関はある。選挙権登録所(Civil Register)と呼ばれているものがそれである。選挙権登録所は選挙人名簿を作成し、候補者の受付も行う。

 また、市町村の段階では選挙会議所が設けられている。こうした機関での決定は選挙最高裁判所に提出され、最終的に選挙最高裁判所が審査する。

(市川団長)
 日本では公職選挙法がある。当選者を決定する手続が法律で決まっており、その法律に基づき裁判所が判断するが、コスタリカでは選挙最高裁判所の判断が法律の役割を担うのか。

(フォンセカ長官)
 選挙最高裁判所の決定事項が最終判断であるが、選挙最高裁判所が法律を作るのではなく、既にある憲法及び法律を解釈する。憲法あるいは法律がこのようにいっている、ということを選挙最高裁判所は示すのである。

(大脇議員)
 選挙最高裁判所は、選挙の実施機関であり判断機関であるとのことだが、選挙自体の無効を宣言することはあるのか。

(フォンセカ長官)
 あり得る。

(小泉議員)
 前回のアメリカ大統領選挙はフロリダ州でもめ、結局、連邦最高裁が最終判断を下したが、コスタリカでこのようなことがあれば、選挙最高裁判所が行うのか。

(フォンセカ長官 )
 そのとおりである。

(ソブラド判事)
 選挙は4年ごとに行われるが、居住地で選挙する。まず、市町村でカウントされ、その票が選挙最高裁判所に持ち込まれ、選挙最高裁判所が1枚ずつもう一度カウントする。国が小さいからできるのであり、日本やアメリカでは難しいだろう。

(ファジャス判事)
 選挙最高裁判所は、通常3名の判事からなり、大統領選挙の際は1年前に1名追加、半年前にもう1名を追加し、5名の判事で審査にあたる。

(フォンセカ長官)
 選挙に関するものであればその庇護申請も受け付ける。

(小泉議員)
 憲法には、最高裁判所判事は弾劾されないと書いてあるが、選挙最高裁判所判事も同様か。

(フォンセカ長官)
 最高裁判所判事と同様、その特権がある。

 また、国会よりも選挙に関しては権限が上である。もう一つ特別の権能として、選挙期間中、選挙最高裁判所が選挙法案に反対したときは、国会は通すことができない。

(大脇議員)
 二つ質問がある。第一は、選挙に関する庇護申請の具体例はどのようなものか。第二は、憲法第103条に職権濫用を除いては上訴できないと規定されているが、この「職権濫用」とは何を指すのか。

(フォンセカ長官)
 まず庇護申請についてであるが、例えば、政党員が立候補したいといったときに政党が不許可とした場合、庇護申請により救済することができる。

 第二の憲法第103条についてであるが、法律に規定されていることに反した決定・判断を判事が下した場合には上訴できる、ということである。

(本田議員)
 議員定数について伺う。国会議員57名という定数は、人口バランスから妥当か。

(フォンセカ長官)
 定数に関しては、憲法あるいは法律が定めており、こちらが数字を決めることはない。

(市川団長)
 その法律がおかしいとはいえるのか。

(フォンセカ長官)
 解釈はできる。

(小泉議員)
 選挙最高裁判所判事の就任前の経歴はどのようなものか。

(ファジャス判事)
 私は、弁護士、コスタリカ大学教授であった。外交官をしたこともあった。

(ソブラド判事)
 私は検察官で、大学教授でもあった。

(フォンセカ長官)
 一番古いのは私だが、最高裁判所の刑事部門に30年いた。選挙最高裁判所には10年おり、うち5年間長官を務めている。計40年間判事を務めている。

(市川団長)
 大体が司法関係者か学者と理解してよいか。

(フォンセカ長官)
 そうである。政治家ではない。政党に属していた人はなるべく選ばないようにしている。



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