質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一五号

「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月五日

塩村 あやか


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」に関する質問主意書

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産登録に際しては、二〇一八年五月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)から世界遺産一覧表への記載延期勧告がなされた。その際IUCNからは、本来肉食性哺乳類がいない奄美大島で、ノネコが固有種であるアマミノクロウサギなどを捕食している実態を踏まえ、「ノネコ等外来種対策の推進」について指摘があり、政府はその対応として、奄美大島において二〇一八年度から二〇二七年度を計画期間とする「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」(以下「奄美大島ノネコ管理計画」という。)を策定し、ロードマップによって進捗状況を管理し、取組を行っている。

 このような取組の結果、二〇二一年に世界自然遺産への登録が実現したが、奄美大島ノネコ管理計画は引き続き実施されており、本年は十年計画の中間年でありロードマップにおいても「取組全体の進捗状況の評価、必要に応じた計画の見直し」を行うとされている。

 奄美大島の在来生態系保全とノネコ対策等を適切に実施するためには客観的なデータに基づく評価が必要であるとの認識から、以下質問する。

一 法律上のノネコの定義を示されたい。また、ノラネコとの違いも併せて示されたい。

 さらに、ノネコも動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)の対象となるのか、ならない場合その理由を示されたい。

二 奄美大島における飼いネコ、ノラネコ、ノネコの数をそれぞれ明らかにされたい。また、ノネコの発生源はノラネコ、外で飼われている飼いネコとされているが、ノラネコ、外で飼われている飼いネコがノネコと判断される基準は何か示されたい。

三 奄美大島において保護する必要のある希少種の種類、生息数を示されたい。

四 前記三の希少種の死亡数、死亡原因を示されたい。特に死亡原因については、ノネコによる捕殺、ロードキル、捕獲器によって死亡したもの等分類し示されたい。さらに、死亡原因の判断基準についても併せて示されたい。

五 奄美大島における飼いネコに対する不妊去勢手術数及び島内の飼いネコに占める割合並びに捕獲したノネコに対するTNR実施数及び割合をそれぞれ示されたい。また、不妊去勢手術やTNR推進に向けた取組と問題点、課題等について明らかにされたい。

六 捕獲したネコのうち首輪を装着しているなど飼いネコの可能性の高いものについては一週間公示し飼い主を確認し、確認できなかったものは県が引き取ることとされているが、公示方法、公示期間の妥当性についてどのように考えるか。また、捕獲したネコの保護及び譲渡に要した費用についても併せて示されたい。

七 希少種の保全上重要な地域に隣接した重点地区(A地区)における飼いネコのマイクロチップ装着率、不妊去勢手術率、室内飼育されているネコの数、ノラネコに対するTNR実施率について示されたい。

八 希少種対策としてノネコの個体の低密度化の取組は必要であると考えるが、今後は捕獲したノネコを安楽死させることなく、譲渡につなげる取組を強化することが必要であると考えるが政府の見解を示されたい。さらに、そのための予算の確保の状況についても示されたい。

  右質問する。