質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第四八号
  令和四年五月二十七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員吉川沙織君提出立法不作為等に係る訴訟への対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川沙織君提出立法不作為等に係る訴訟への対応に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「訴状等の写しその他の資料」としては、訴状、期日の呼出状及び書証の写し等がこれに該当する。

二について

 お尋ねの「令和元年度以降に提起された立法不作為等に係る訴訟の件数及びそのうち法務省が衆議院及び参議院に対して通報したものの件数」については、先の答弁書(令和三年十二月十七日内閣参質二〇七第二号)三及び四についてでお答えしたとおり、いずれも、通常の業務において集計していないため、網羅的に把握しておらず、また、集計に当たっては法務局又は地方法務局が保有する国を当事者又は参加人とする訴訟に関する記録について当該法務局又は地方法務局に調査を行わせ、その結果を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

三及び四について

 国を当事者又は参加人とする訴訟について事件を受理した場合には、訴訟の開始の場面であって、関係機関に対して訴訟が提起された事実を知らせる必要があることから、関係機関に対し、事件を受理した旨を通報することとしている。一方、当該訴訟について、判決が言い渡され、又は国が上訴した場合には、訴訟追行の過程において判決が言い渡され、又は国が上訴した事実を関係機関が既に知っているなど、関係機関に対して当該事実を知らせる必要がない場合があり得ることから、「必要があるとき」に、関係機関に対して当該事実を通報することとしている。お尋ねの「立法不作為等に係る訴訟」についても、衆議院及び参議院に対し、この取扱いに従い、事件を受理した旨等を通報しているところである。

五について

 二についてで述べたとおり、お尋ねの「立法不作為等に係る訴訟」の件数等を網羅的に把握しておらず、「必ず通報することとしたとき」に新たに行うこととなる通報事務が既存の業務に及ぼす影響を見極めることができないことから、お尋ねの「必ず通報することとしたとき、法務省その他関係機関の事務執行上、支障が生じることとなると考えられるか」及び「支障が生じることとなると考えられる場合、どのような支障であるか」についてお答えすることは困難であるが、法務省としては、三及び四についてで述べたとおり、衆議院及び参議院に対しても、他の関係機関と同様、必要があるときに、判決が言い渡され、又は国が上訴した事実を通報することとしており、この取扱いについて事務処理上問題があるとは考えていない。

六について

 お尋ねの「立法不作為等に係る訴訟」を含め、国を当事者又は参加人とする訴訟が国に不利益な裁判によって終了した場合には、上訴の提起に関する関係機関の意見を確認する必要があることから、関係機関に対し、上訴の提起に関する意見を求めることとしている。お尋ねの「訟務局訟務処理準則第二十八条第三項による」場合において法務省訟務局長が「必要があるとき」に上訴の提起に関する意見を求めることとしているのは、同省訟務局が法務局又は地方法務局と共同して処理を担当する事件については、関係機関に対し、既に、法務局長又は地方法務局長が「法務局及び地方法務局訟務処理細則」(平成六年十二月五日付け法務省訟総第八百二十号訟務局長通達。以下「処理細則」という。)第三十四条第七項の規定により、上訴の提起に関する意見を求めているところ、そのようなときには、重ねて当該意見を求める必要がないからであり、この取扱いについては、お尋ねの「衆議院及び参議院に対し意見を求めないこととする」場合についても同様である。

七について

 お尋ねの「法務省から衆議院及び参議院に対する情報提供等の充実強化を図る」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「立法不作為等に係る訴訟」を含め、国を当事者又は参加人とする訴訟については、訟務局訟務処理準則(平成六年十二月五日付け訟総第八百二十二号訟務局長通達)又は処理細則の規定により、事件を受理した旨の通報等を行ってきたところであり、今後も、個別具体的な事案に即して適切に対応してまいりたい。