質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第六三号

動物の車内放置事案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月十日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   動物の車内放置事案に関する質問主意書

 犬や猫などの動物は、密な毛に覆われており、体温調節が苦手で暑さに弱いことから、特に気温の高い日には車内に放置しないよう注意が必要である。しかし、動物が車内に放置される事案が散見されている。

 例えば、令和四年六月七日、名古屋市のコインパーキングで、車内に放置されている二匹の犬が見つかり、目撃者が警察に通報した事案がある。当日の名古屋の最高気温は二十五・二度に達しており、車の中にも強い日差しが差し込んでいたとのことである。駆け付けた警察官は犬の様子を見守っていたが、飼い主が現れず、約四時間が経過した後に、やっと二匹の犬を保護したとされる。

 この事案以外にも、杉並区において駐車場に止めてある車両に犬が放置され、窓を割って助けようとする人と警察の間でトラブルになった事案も聞き及んでいる。

 どちらの事案も、警察は動物を「所有物」として積極的に保護しなかったものではないかと思われる。しかし、動物にも大切な命があり、車内に放置されているなど、その命が危険にさらされている場合には、一刻も早く救出すべきではないのか。

 そこで、動物の大切な命を守るため、以下質問する。

一 車内への動物の置き去りは、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号。以下「動物愛護管理法」という。)第二条の基本原則に反する行為であると考えるが、政府の見解を伺う。

二 動物愛護管理法第二条第一項の基本原則にもあるとおり、動物が命あるものであることに鑑み、動物を所有物として捉えるのではなく、虐待や放置等による命の危険が予見できる状況においては、警察が積極的かつ速やかに救出し、その命を守る必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

三 命の危険が予見できる動物の車内への放置には、迅速な対応が望まれるところである。現行法において、車内に放置され衰弱しているなど命の危険が差し迫っている動物を、所有者の許可なく、緊急的に保護することの可否について、政府の見解を伺う。また、その法的根拠も示されたい。

 さらに、緊急的に保護することが可能でない場合は、保護を可能とする法整備を速やかに行うことが必要であると考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。