質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第一六号

成年年齢引下げに伴い必要となるアダルトビデオ出演強要問題への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年二月十七日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   成年年齢引下げに伴い必要となるアダルトビデオ出演強要問題への対応に関する質問主意書

 本年四月から、民法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十九号)が施行され、未成年者取消権の対象となる契約の当事者年齢が二十歳未満から十八歳未満に引き下げられる。

 十八歳、十九歳の者が締結するアダルトビデオへの出演契約等が未成年者取消権の対象から外れるため、今後、若年層の性暴力被害が増加することが深刻に懸念されるとの観点から、以下質問する。

一 衆議院における「成年年齢の十八歳への引き下げ等に関する質問主意書」(第百九十六回国会質問第四三八号)に対する答弁書(内閣衆質一九六第四三八号)において、政府は、未成年者飲酒禁止法(大正十一年法律第二十号)及び未成年者喫煙禁止法(明治三十三年法律第三十三号)においては、それぞれ二十歳未満の者による飲酒及び喫煙を禁止しているところ、民法(明治二十九年法律第八十九号)の成年年齢等とはその趣旨を異にするものであるため、前述の民法の一部改正により禁止年齢を引き下げることとはしなかった旨答弁している。

 内閣府男女共同参画局発行の「共同参画」(令和三年九月号)では、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であるとされている。

 アダルトビデオへの出演強要による被害に対して支援が必要となる者の年齢については、飲酒及び喫煙と同様に、民法の成年年齢等とは異なる観点から検討されるべきであり、引き続き二十歳未満の者が締結した契約を未成年者取消権の対象とする等の対応を講ずる必要があると考えるが、政府の見解を問う。

二 衆議院で提出された性暴力被害者の支援に関する法律案(第百九十六回国会衆第三五号)では、内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、警察庁その他の関係行政機関の職員をもって構成する性暴力被害者支援連絡会議を設置するとともに、内閣府に性暴力被害者支援審議会を置き、性暴力被害者支援基本計画を策定すること等が規定されている。

 政府は、「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議」を設置し、普及啓発やワンストップ支援センターでの相談受付等必要な対策を実施しているが、個別の施策での対応ではなく、前述の法案の考え方を踏まえつつ、アダルトビデオ出演強要による被害の未然防止も含め、政府全体としての包括的・総合的な対応を講ずるべきと考えるが、政府の認識を問う。

  右質問する。