質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四二号

国土交通省による建設業の基幹統計書換え問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月二十一日

田島 麻衣子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国土交通省による建設業の基幹統計書換え問題に関する質問主意書

 国の基幹統計である建設工事受注動態統計のデータを、国土交通省が無断で書き換えていた問題が明らかになった。国の統計は政策判断の基礎であり、こうした不適正な集計が、国民の公的統計への信頼や、EBPMの実施に及ぼす影響は大きい。

 右の問題意識に基づき、以下質問する。

一 建設工事受注動態統計の調査票の書換えは、いつから、誰の指示で始まったか。

二 建設工事受注動態統計の調査票の書換えはなぜ行われたか。

三 一般的に、国の統計の調査票の書換えは、刑法上の文書偽造の罪又は統計法上の罪に当たることはあるか。

四 建設工事受注動態統計の調査票で、受注実績が計上された月の書換えは、前記三に挙げた罪の構成要件に該当することはあるか。

五 国土交通省は、会計検査院の指摘で二〇二〇年一月分以降は都道府県に合算をやめさせた後も、二〇二一年三月分まで合算を続けていた。斉藤国土交通大臣は、二〇二一年十二月十六日の参議院予算委員会で、不適正な集計を続けたことは、「統計学上前年度との比較も大きな意味がある」旨答弁した。誤った数字の比較であっても大きな意味がある、という答弁の根拠となる統計学の文献を示されたい。

六 二〇一一年及び二〇一五年に、建設業者より提出期限に遅れて提出された調査票の受注額は、全体の受注額に対してそれぞれ何割であったか。

七 今回の書換えによるGDPへの影響額はいくらか。

八 二〇二一年十二月十六日の参議院予算委員会で、山際経済再生担当大臣は、今回の書換えのGDP統計への影響は「現時点では軽微と考えている」旨答弁した。書換えの影響を軽微と考える根拠は何か。

九 前記七及び八に関連して、GDPへの影響額が現時点では分からない場合、誰がいつ明らかにするか。

十 安倍元総理は、二〇一九年十月八日の衆議院本会議で「これまでのアベノミクスの取組の結果、名目GDPが一割以上成長し過去最高となった」旨答弁した。岸田総理は、内閣として、将来、この答弁を修正又は撤回することはあるか。

十一 建設工事受注動態調査の書換え前の調査票のコピーを、現時点で保管している都道府県の数はいくつか。

十二 国は何年前まで、建設工事受注動態調査の正しい数字を遡って再計算できるか。

十三 国は行政のデジタル化を掲げながらも、この建設工事受注動態調査が未だに紙で行われて来た理由を示されたい。あわせて、現在五十三種類ある基幹統計のうち現在もデジタル化されていない統計の数を明らかにされたい。

  右質問する。