質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三九号

東京外かく環状道路事業、リニア中央新幹線事業及び大深度地下使用法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月二十日

山添 拓


       参議院議長 山東 昭子 殿



   東京外かく環状道路事業、リニア中央新幹線事業及び大深度地下使用法に関する質問主意書

 東京外かく環状道路(以下「外環道」という。)の大深度地下での掘進工事により、東京都調布市で陥没・空洞事故が起きてから一年余りとなる。家屋や地盤、住民の健康への被害は最近も続き、事業者からまともな説明や対応もなされない中、住民は不安をつのらせている。事業に関連して、調布市では、情報開示請求者の個人情報が漏えいするという事件も起きている。

 外環道と同じく大深度地下を使用して工事が行われるリニア中央新幹線事業では、大深度地下区間の第一首都圏トンネル北品川工区で「調査掘進」が開始された。外環道の陥没・空洞事故の被害状況の把握や地盤補修、補償などの対応がきわめて不十分な中、掘進を開始したことに厳しい批判の声があがっている。

 外環道事業やリニア新幹線事業は中止すべきである。また、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(以下「大深度地下使用法」という。)は、国民の財産権を侵害するものであり廃止すべきである。

 そこで以下、質問する。

一 東京外環道事業について

1 N値五十に達せず、大深度地下使用の要件を欠いており、認可を取り消すべきことについて

 大深度地下とは、支持地盤が地下三十メートルより浅い場合は地下四十メートル以深、支持地盤が地下三十メートル以深の場合は支持地盤上面から十メートル以深とされる(大深度地下使用法第二条第一項及び同法施行令第一条及び第二条第三項)。したがって、大深度地下の範囲は、支持地盤の位置を特定することで特定される。

 「大深度地下使用技術指針・同解説」(国土交通省都市局都市政策課大深度地下利用企画室)によれば、支持地盤は、「原則として、当該地盤のN値が五十以上であることにより判断してよい」としている。N値とは、標準貫入試験によって得られる地盤の強度の指数である。

 外環道事業について、事業者である国土交通大臣、東日本高速道路株式会社(以下「NEXCO東日本」という。)及び中日本高速道路株式会社(以下「NEXCO中日本」という。)は、「N値五十以上が五メートル以上連続し、かつ地質的に均質な単層の地盤を支持地盤として特定した」としている(大深度地下使用法に基づく使用認可申請書添付書類)。

 国土交通省関東地方整備局、NEXCO東日本関東支社及びNEXCO中日本東京支社が設置した「東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会」(以下「有識者委員会」という。)の報告書(二〇二一年三月)によると、調布市の陥没・空洞事故の現場では、事故後にボーリング調査を実施した十三か所のうち四か所で、地下空洞上部の一つを除きN値五十に達したところはない。

(1) 大深度地下の使用の認可は、「事業が対象地域における大深度地下で施行されるものであること」が要件とされ(大深度地下使用法第十六条第二号)、使用認可申請書には「事業区域が大深度地下にあることを証する書類」を添付しなければならないとされる(同法第十四条第一項、第二項第四号)。

 一般に、N値が五十に達せず、支持地盤がなく、したがって大深度地下の範囲が特定されているとは言えない地域について大深度地下の使用認可申請書が提出された場合、国土交通大臣は、大深度地下の使用を認可することはあるのか。

(2) 調布市の陥没・空洞事故が起きた地域で、ボーリング調査の結果N値五十に達しなかった地域は、現時点において、「事業が対象地域における大深度地下で施行されるものであること」(大深度地下使用法第十六条第二号)との要件を充たしていると言えるか。充たしているとすればその根拠は何か。

(3) 調布市の陥没・空洞事故が起きた地域で、ボーリング調査の結果N値五十に達しなかった地域は、外環道事業により支持地盤を失うに至っている。現時点において、同地域で建物を建設する際などに支障を生じうる。住民の財産権を侵害した状態であるとの認識があるか。

2 新たな地盤の緩みについて

 NEXCO東日本などは、調布市の陥没・空洞事故における地盤の緩みはトンネル直上のみで生じ、隣接地では発生していないとしてきた。一方、二〇二一年九月に地盤工学の専門家と住民が独自に調査し、トンネル直上以外でも地盤の緩みや空隙が生じていることが指摘されている。

 同年十二月十四日、NEXCO東日本は、「調布市域(入間川東側エリア)における追加調査結果」を公表し、「トンネル掘進に伴う振動によって地盤を弱めたという事実は確認されませんでした」、「周辺地域と比較しても地盤強度に違いは見られず」などとした。

(1) 陥没・空洞事故が起きた地域では、シールド工事が停止された後も、建物や地盤の変状が生じている。こうした事象が確認されたのは何軒か。件数及び内容を示されたい。

(2) 前記一の2の(1)で指摘したトンネル直上以外の地域での建物や地盤の変状の原因やメカニズムについて、どのように考えているか。

(3) NEXCO東日本及びNEXCO中日本が実施した追加調査は、比較のための調査地点一か所を含め三か所である。しかし、陥没・空洞事故が起きた地域では広範囲で地盤の変状や家屋被害、振動被害などが起きている。「住民の皆様のご不安の払拭のため」(地盤調査についてのNEXCO東日本及びNEXCO中日本チラシ)と言うのであれば、被害や影響が生じている範囲全域で調査を行い、ボーリング調査の箇所数も抜本的に増やすべきではないか。

 また、専門家と住民の独自調査では近接地での過去のデータとの比較を行っている。地盤強度の変化を把握する上では、過去のデータとの比較も行うべきではないか。

(4) 被害住民でつくる「外環被害住民連絡会・調布」は、二〇二一年十一月九日付で、国土交通大臣、NEXCO東日本社長、NEXCO中日本社長ら五者に対し、「一方的な追加ボーリングではなく住民の意向に沿った地盤調査の緊急要求」を提出し、地盤調査要求地点を理由とともに示し、調査を求めている。また、「住民が信頼できる専門家の関与」を求めている。

 住民の意見を聞き、こうした要望に応えるべきではないか。住民からは、ボーリング調査の際の騒音や振動を懸念する声もあがっている。こうした点からも住民との話し合いが必要ではないか。

(5) NEXCO東日本及びNEXCO中日本は、地盤調査を行う際、車両通行止め期間や作業時間、調査・交通規制位置などを記した一枚のチラシで住民に知らせているに過ぎず、調査箇所の選定理由や調査目的・内容、作業日程、調査状況の報告などについて詳しい説明は住民に対して行われていない。

 国土交通大臣は、「住民の皆様の不安をできる限り早期に取り除き、引き続き、東日本高速道路会社の原因究明及び住民の皆様方への丁寧な説明、寄り添った説明について最大限協力してまいりたい、こう考えております」と答弁している(二〇二一年二月十日衆議院予算委員会)。至急改善し、住民に対し丁寧で、寄り添った説明を行うべきではないか。

(6) ボーリング等の追加調査は、陥没・空洞事故や地盤被害を生じさせたNEXCO東日本のみならず、事故が起きた「本線トンネル(南行)東名北工事」と近接・並行して掘進工事が行われる「本線トンネル(北行)東名北工事」の発注者であるNEXCO中日本も実施主体とされ、二か所で深層ボーリング調査が行われている。

 住民から、「本線トンネル(北行)東名北工事」の掘進のための準備的な調査ではないかとの懸念の声が上がっている。NEXCO中日本が地盤調査を行う理由は何か。また、調査費用は誰が負担するのか。

3 追加的な事業費の見通しについて

 外環道のシールドトンネル工事は陥没・空洞事故を受け、一旦中止されている。家屋などの被害補償、緩んだ地盤の補修に加え、工事が中止されていることによる追加的な費用が生じ、事業費が大幅に増額されることが懸念される。

(1) 今後、事業費の増額がいかなる工事のいかなる費目について生じる見通しか。現時点で想定される事項を列挙されたい。また、現時点での見通し額及びその負担者についても示されたい。

(2) シールドトンネル工事を一旦中止することについて、国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本は、工事受注者との間でどのような手続きを行っているか。何らかの指示文書を発出しているのであれば、文書名、発出日及び内容の概略を示されたい。また、こうした手続きや文書において、工事の中止期間をいつまでとしているかについても明らかにされたい。

(3) 工事受注者は、工事を一旦中止することに関して、工事の保全や管理についての計画書や増加する費用の概算について、発注者である国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本に提示しているか。工事ごとにその有無及び内容を示されたい。

(4) 二〇二〇年七月三十日及び九月三日開催の国土交通省関東地方整備局事業評価監視委員会は、外環道事業について費用便益分析を行い、事業全体で総費用二兆六百六十一億円、総便益二兆八百十億円で、費用便益比は一・〇一と算出していた。

 この後に、調布市での陥没・空洞事故が生じ、影響は今も続いているほか、工法が定まっていない地中拡幅部などを含め、費用は今後も増加する。費用便益比が一を割ることが推定されるが、どのような認識か。

4 個人情報漏えいについて

 調布市では、外環道事業をめぐり、情報公開請求者の個人情報の漏えいが起きている。

(1) 調布市は、請求者の個人情報が含まれた情報公開請求書を、国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本に対し、二〇二一年六月から十月末まで計九回、メールで送信したとしている。

 国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本が各メールを受信した日時及び部署を示されたい。また、各メールとそれに含まれる情報を共有した他の部署があれば、当該部署名を示されたい。

(2) 九回のメールを受信した際、それぞれどのように対応したか。

ア 国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本は、九回のメールについて、調布市にどのように回答したのか。方法及び内容をそれぞれ示されたい。

イ 調布市は、「送付先である関係機関に対しては、市で確認を行い、「本資料は内容を確認後、適正に廃棄した」との回答を得ています」としている(調布市「個人情報の漏えいに関するお詫びと御報告」二〇二一年十一月十日)。

 国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本において「内容を確認後、適正に廃棄した」のは事実か。事実であれば、それはいつ、どのようなことを行ったのか、具体的に示されたい。また、それらは誰の判断で、何を根拠や基準に行ったものか。

ウ 国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本において、受信した九回のメールの全部又は一部を転記した文書を作成したことはあるか。

エ 国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本は、九回のメールを受信した際、請求者の個人情報が含まれていることを認識していたか。請求者の個人情報が漏えいしたもので不適切であるとの認識はあったか。また、そうした認識に基づいて調布市に何らかの指摘をしたことはあるのか。

(3) 外環道事業に関して、二〇二一年六月からの計九回以外に、情報公開請求者名などの個人情報の漏えいに当たる情報を受け取ったことはあるか。

(4) 調布市都市整備部街づくり事業課から国土交通省東京外環国道事務所、NEXCO東日本及びNEXCO中日本に送信されたメールには、「市民から外環に関する情報開示請求がありましたので情報提供いたします」、「前回同様、取扱厳重注意でお願いいたします」と記されていた。

 調布市からの「情報提供」において、二〇二一年六月以前から、情報請求者名を含む情報開示請求に関する情報の提供を受けていたことをうかがわせる記載である。そのような事実はあるか。

(5) 調布市情報公開条例は、公開請求に関わる市政情報に第三者に関する情報が記録されているときは、その第三者に「公開請求に係る市政情報の表示その他実施機関が定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる」(同条例第十四条第一項)とし、その場合は「調布市長が管理する市政情報の公開等に関する規則」に基づき、「市長は、条例第十四条第一項又は第二項の規定により市以外のもの又は第三者に意見書を提出する機会を与える場合は、意見照会書(第七号様式)により通知するものとする」とされている。

国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本は、今回の件に関して調布市長から意見照会書による通知を受け取ったことはあるか。あるのであれば受け取った日付を明らかにされたい。

(6) 国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本の側から、調布市に対し、情報公開請求者の氏名、住所などの個人情報や、情報公開請求書の提供を求めたことはあるか。

(7) 調布市における、外環道事業をめぐる情報公開請求者の個人情報の漏えいが明らかになったことを受け、国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本において、事実関係の確認や再発防止の対策など、対処したことがあれば示されたい。

二 リニア中央新幹線事業について

1 「調査掘進」が工事開始に向けた初期掘進であることについて

東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)は、二〇二一年十月十四日から、中央新幹線第一首都圏トンネル新設(北品川工区)工事において、「調査掘進」を開始したとしている。

(1) 現在の進捗状況を明らかにされたい。

(2) JR東海作成の「中央新幹線第一首都圏トンネル新設(北品川工区)シールド掘進工事説明会(調査掘進等)資料」(二〇二一年八月二十七日、同月二十九日及び九月一日)によると、JR東海は「調査掘進」について、「施工管理の強化策を試行してシールドマシンを動かし、周辺への影響と対策の有効性を確認」、「マシンの後に繋ぐ一連の設備を収めるのに必要な範囲で実施」するとし、この工程では運転操作室、添加剤や裏込め注入剤を積んだ台車、セグメント搬送装置、ベルトコンベア設備等の設備・装置を設置する作業も行うとされる。

 土木学会の「トンネル標準示方書「シールド工法編」・同解説」は「掘進は、初期掘進、本掘進、到達掘進に区分され、初期掘進から本掘進に移行する際に段取り替えを行うのが一般的である」、「一般に初期掘進とは、シールドが立坑を発進してから、シールドの運転に必要な後続設備がトンネル坑内に入るまでをいう」としている。同書は、国土交通省都市局都市政策課大深度地下利用企画室の「大深度地下使用技術指針・同解説」で「各事業における代表的な基準、指針等」として紹介されており、国土交通省の「シールドトンネル施工技術検討会」の「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン(素案)」で、「ガイドラインに記載のない事項は「土木学会 トンネル標準示方書「シールド工法編」・同解説」などの技術図書を参照されたい」としているものでもある。

 以上を前提とすると、JR東海が進めている「調査掘進」は、土木学会の「トンネル標準示方書「シールド工法編」・同解説」がいう初期掘進に相当するものと考えられるが、認識を示されたい。

(3) JR東海が進めている「調査掘進」の結果によって、本格掘進を行わない場合は想定されるのか。想定しているとすればどのような場合か。

2 家屋調査について

 JR東海は、これまで行わないとしてきた家屋調査について、「シールドトンネル端部から約四十メートルの範囲内にある建物等を対象に家屋調査を実施」するとしている。

(1) 家屋調査を実施する理由は何か。

(2) 家屋調査の対象家屋は何軒か、都県・区市町村ごとに示されたい。また、現在までの進捗を明らかにされたい。

(3) 調布市の外環道工事による陥没・空洞事故では、トンネル端部から四十メートルを超える地点でも被害が生じ、NEXCO東日本はトンネル端部から八十メートルを超える箇所をも「補償対象区域」としている。

 JR東海が「トンネル端部から約四十メートルの範囲内にある建物等を対象」とするのは狭すぎるのではないか。

3 ボーリング調査などの事前の地盤調査について

(1) 大深度地下区間での地盤の事前調査について、ボーリング数、そのうちルート直上で行ったボーリング数、また、ルート直上でのボーリングのうち大深度地下のトンネル下端まで達している数を都県・区市町村ごとに示されたい。大深度地下のトンネル下端まで達しているボーリングについては、その場所も示されたい。

(2) JR東海は、外環道工事による陥没・空洞事故を受けて、追加でボーリング調査等を行う計画を有しているか。

4 住民への説明について

 東京都内におけるJR東海の住民への説明会は、「シールドトンネルにおける安全・安心等の取組みに関する説明会」が、第一首都圏トンネル(北品川工区)について二〇二一年六月八日に品川区内で、第一首都圏トンネル(小野路工区)について同年九月十八日及び二十六日に町田市で開かれ、「シールド掘進工事説明会(調査掘進等)」が第一首都圏トンネル(北品川工区)について同年八月二十七日、二十九日及び九月一日に品川区内で開かれた。

 これらについて参加者からは「質疑応答の時間が不十分である」、「質問に対し丁寧な回答がされない」、「新型コロナ感染症対策の緊急事態宣言が出されているもとで、品川区、世田谷区、大田区の住民を一か所に集めて説明会を開くのは配慮に欠けているのではないか」、「説明会の「お知らせ」が届いたのは直前で、日程のやりくりができない」などの声があがっている。

 また、JR東海の第一首都圏トンネル(北品川工区)での「シールド掘進工事説明会(調査掘進等)」についての住民への「お知らせ」は、「このたび、弊社用地等において」、「シールドマシンを動かす「調査掘進」を実施する予定です」としている。しかし、「調査掘進」は約三百メートルの区間で行うとされ、JR東海の用地をはるかに超える。「お知らせ」の記述は、住民に対し「調査掘進」の内容について正確に伝わるものとなっていない。

(1) JR東海は、住民に対し、丁寧かつ誠実に説明するべきだと考えるが、認識を伺う。

(2) 国土交通省は、住民に対する説明を丁寧かつ誠実に行うようJR東海を指導すべきと考えるが、そのような指導ないし助言を行ったことはあるか。あるとすればそれはいつか。JR東海からどのような回答を得ているか。

三 大深度地下の使用について

1 「地上への影響は生じない」との説明について

 国土交通省が設置した「シールドトンネル施工技術検討会」は、二〇二一年十一月三十日の第四回検討会で、「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン(素案)」を示している。

 同素案では、「掘進が地盤の変状を発生させる可能性があることを常に意識しつつ、実際の施工において異常の兆候の把握と対策に努めることが必要である」、「地盤を対象とするシールドトンネル工事では、調査や条件の把握に限界があり、不測の事態が生ずることを避けられない場合がある。このため、住宅地等の市街化された地域における大断面のシールドトンネル工事では、事故発生時の速やかな周知や住民等の避難について、自治体や警察、消防などの関係機関と事前に相談しておくことが望ましい」などとしている。

 外環道事業で国土交通省、NEXCO東日本及びNEXCO中日本は、「本線トンネル工事はシールド工法を採用しており、地上への影響は生じないと考えております」(国土交通省関東地方整備局東京外かく環状道路事務所、NEXCO東日本関東支社東京外環工事事務所、NEXCO中日本東京支社東京工事事務所「東京外かく環状道路(関越~東名)よくあるご質問」)などと説明してきた。

 ところが、調布市で陥没・空洞事故が起き、それ以前から河川への気泡の噴出、振動・騒音など地上への影響が相次いでいた。

 「地上への影響は生じない」などとする国土交通省の認識やそれに基づく説明を改め、NEXCO東日本及びNEXCO中日本には、改めるよう指導すべきではないか。

2 リニア中央新幹線事業における説明について

 JR東海は、リニア中央新幹線事業について、「強固な支持地盤上面より更に深い大深度地下部分を、数多くの実績があるシールド工法で施工するため、地盤沈下が発生することはないと考えています」(二〇一四年四月の「中央新幹線(東京都・名古屋市間)大深度地下の公共的使用に係る事業概要書に関する説明会」での「説明会における主なご質問」)とし、最近でも「かねてより、大深度地下でのシールドトンネルの掘削工事は、大深度地下が固くよく締まった地盤で構成されていることから、適切な施工管理を行えば、地上の土地利用に支障は生じないものと考えております」(「都市部シールドトンネル工事についての主なご質問」二〇二一年十月二十七日更新)としている。

 しかし、すでに述べたとおり、外環道事業において陥没・空洞事故が生じ、地表に影響が生じうることは明らかである。

 「地盤沈下が発生することはない」、「地上の土地利用に支障は生じない」などとする認識や説明について改めるよう、JR東海を指導すべきではないか。

3 大深度地下使用法を廃止すべきことについて

 大深度地下使用法に基づく大深度地下の使用は、地権者の同意を得ることも補償を行うこともなく行われる。それは地上への影響が生じないことが前提である。

 外環道事業において、陥没・空洞事故が起き、それ以前から河川への気泡の噴出、振動・騒音など地上への影響が相次いだ。国土交通省「シールドトンネル施工技術検討会」も、「地盤を対象とするシールドトンネル工事では、調査や条件の把握に限界があり、不測の事態が生ずることを避けられない場合がある」とするに至った。地上への影響が生じないという前提は崩れている。

 大深度地下使用法は、憲法が保障した国民の財産権を侵害するものであり、廃止すべきではないか。

  右質問する。