質問主意書

第206回国会(特別会)

質問主意書

質問第一〇号

選挙公営制度における適正な公費負担に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十一月十日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   選挙公営制度における適正な公費負担に関する質問主意書

 公職選挙法では、選挙運動の機会の均等を図り候補者の資産状況による当落への影響を防ぎ、お金のかからない選挙を実現するため、選挙公営制度が設けられている。選挙運動用自動車の使用並びに選挙運動用ビラ及び選挙運動用ポスターの作成に係る経費については、その実施については選挙管理委員会が関与しないものの、公職選挙法において、国政選挙については供託金が没収となった候補者を除き公費で負担する旨が定められている。また、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙については、国政選挙に関する規定に準じて、条例で定めることにより公費負担ができる旨が定められている。しかしながら、この制度について、不適切な請求に係る住民監査請求や行政訴訟、公費負担の返還や議員辞職などの問題も全国的に見られている。

 右を踏まえ、次の事項について質問する。

一 選挙運動用自動車の借入れに係る費用の公費負担について、対象となるのは選挙運動期間に選挙運動用自動車として使用するのに要した費用である。また、車両本体に取り付けてある音響機器等の借入れなどの費用については対象とならない。選挙運動用自動車の借入れについて、過大請求があったとして公費が返還された事例では、音響機器の借入れ及び設置費用を含めていたことや車両整備などのために事前に借りた期間分も借入れ料に合算したことが事由として挙げられている。

 この問題について、候補者が業者との契約を選挙管理委員会に届け出る際に、公費負担の対象となる車両の借入れ料のほかに、当該契約に含まれる費用のうち、車両本体以外に係る経費が明らかとなる契約内容の明細を添付することを義務付ければ、過大請求は防げると考える。選挙運動用自動車の借入れに係る公費負担について、候補者の選挙管理委員会への契約届出に明細を添付することを義務付けるよう、公職選挙法施行規則を改正する必要はないか、政府の見解を問う。

二 選挙運動用ポスターについて

1 選挙運動用ポスターについては、受注業者の「公費上限額は手作業で制作していた昔の基準が残っているため、今の相場よりかなり高い」とのコメント(令和元年十二月三十日付「熊本日日新聞(朝刊)」)をはじめ、公費負担の上限額が高いという業界の共通認識が報道されている。公職選挙法施行令第百十条の四に定められている選挙運動用ポスターの作成単価の上限額は、何を基準としてどのように算定しているのか。

2 選挙運動用ポスターの作成単価の上限額は、これまで物価上昇や消費税増税を理由に引き上げられてきたと承知している。しかし、「印刷単価は画像ソフトや技術の向上で、この二十年で三分の一以下になった」(令和元年七月三十日付「中国新聞デジタル」)と報道されている。より適正な選挙公営を行うため、選挙運動用ポスターの作成単価の上限額について、実勢価格を反映した額に改めるべきであると考えるが、政府の見解を問う。

3 選挙運動用ポスターの作成に係る費用の公費負担の適正化には、選挙運動用自動車の燃料代の公費負担に関する見直しが参考となる。これは、平成二十年に公職選挙法施行規則を改正し、燃料供給業者が国や自治体に支払いを請求する際に、自動車のナンバーが記載された給油伝票の写しの添付を義務付けることにより、不適切な請求を難しくしたものである。さらに、愛知県豊橋市や福島県いわき市で、企画料やデザイン料等契約の詳細な内訳を示す明細の提出を義務付けた事例を踏まえ、選挙運動用ポスターの公費負担のあり方や経費の確認の仕組みについて検討し、関係書類の記載事項等の様式変更や証拠書類の添付を求めるなど、行政側も明細の確認が可能な仕組みとすることが適切と考えるが、政府の見解を問う。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。