質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三九号

菅前内閣の臨時会召集が憲法第五十三条に違反すること等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月十三日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   菅前内閣の臨時会召集が憲法第五十三条に違反すること等に関する質問主意書

 岸田総理は、令和三年十月十二日の参議院本会議において、臨時会召集要求への対応及び予算委員会の開催について、「内閣の権能は、憲法上、臨時会の召集を決定することであり、こうしたことも踏まえ、菅前内閣においては、国会のことでもあるので与党とも相談しながら臨時会召集要求への対応を検討し、政府として十月四日に臨時国会を召集する旨、閣議決定したものと承知をしております。その上で、召集された臨時国会の会期や議事については国会においてお決めになるものと承知をしております。いずれにしましても、今国会においては、所信表明演説を行った上で、代表質問の機会を通じて政権の考え方を国民の皆さんにしっかり説明させていただいているところであります。」

一 岸田内閣は、憲法第五十三条の「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」との規定について、内閣には臨時会を召集決定する憲法上の法的義務があると考えているのか。

二 岸田内閣は、憲法第五十三条について、「臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない」との解釈を維持しているのか。

三 「菅前内閣においては、国会のことでもあるので与党とも相談しながら臨時会召集要求への対応を検討し、政府として十月四日に臨時国会を召集する旨、閣議決定したものと承知をしております。」との岸田総理の答弁について、前内閣は臨時会の召集の時期等について与党とどのような事項を「相談」していたのか、具体的に示されたい。

四 前記三について、この岸田総理の答弁は、内閣は臨時会が開会されると総選挙が不利になる等の与党の政治的都合を慮る等して臨時国会の召集時期等を決めることが憲法上許容されているという趣旨なのか。この答弁の趣旨を前記二の政府解釈との関係も示しつつ、具体的に示されたい。

五 「臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない」との憲法第五十三条に係る政府解釈について、前内閣は、本年七月十六日の野党議員による臨時国会召集要求書の提出にも関わらず臨時会を本年十月四日に召集したところ、この約八十日もの間に一体どのような「臨時会で審議すべき事項」をどのように「勘案し」ていたのか。また、それがどのような理由によって「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内」であると考えているのか。具体的に示されたい。

六 立憲民主党を始めとする野党四党に所属する国会議員は、新型コロナウイルス感染症対策の国民の英知を結集した審議等のために本年七月十六日に臨時国会召集要求書を提出していたにも関わらず、前内閣が臨時会を本年十月四日に召集したことは、憲法第五十三条に違反する行為ではないか。

七 前内閣が、最大の感染者数、重症者数などを生じた第五波の最中にあっても臨時会を召集せず、予算委員会の開催や十分な審議時間が得られる臨時会による国会審議もないままに新型コロナウイルス感染症により多くの国民の生命、尊厳を傷付けた行為は万死に値する暴挙ではないか。

八 予算委員会の開催を行わない本臨時会が、本年七月十六日の臨時国会召集要求書の趣旨に適う臨時会であると政府は考えているのか。

九 岸田内閣において、立憲民主党を始めとする野党四党に所属する国会議員によって新型コロナウイルス感染症対策の国民の英知を結集した審議等のために本年七月十六日に臨時国会召集要求書を提出されていたにも関わらず、予算委員会や厚生労働委員会などの審議を一切行わずに、本臨時会を十月十四日の解散行為によって閉会とすることは、当該臨時会召集要求の趣旨を損ねる憲法第五十三条に違反する行為であるのではないか。

  右質問する。