質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一三〇号
  令和三年六月二十九日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員伊藤孝恵君提出特別支援教育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員伊藤孝恵君提出特別支援教育に関する質問に対する答弁書

一について

 文部科学省が平成二十八年度に実施した「外国人児童生徒等における特別支援教育等の状況に関する調査」は、「調査結果については、全体集計の調査結果を文部科学省において対外的に公表・引用することがある。但し、各学校名及び各市町名については公表しない」ことを前提に行ったものであるため、御指摘の「自治体毎の詳細なデータ」を公表する予定はない。

二、十一及び十二について

 文部科学省が令和三年度に実施する「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」においては、全国の都道府県教育委員会及び市区町村教育委員会を対象に、公立学校の特別支援学級における日本語指導が必要な児童生徒の在籍状況、日本語指導が必要な児童生徒の中学校、高等学校等卒業後の進路状況等について調査する予定であり、当該調査の結果を踏まえて必要な対策を検討してまいりたい。

三について

 文部科学省においては、地方公共団体が行う各学校における日本語指導が必要な児童生徒の受入体制の整備について、平成二十五年度から、「帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業」(以下「支援事業」という。)による補助を行うとともに、外国人の子供の就学の促進等について、「外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握等について(通知)」(平成三十一年三月十五日付け三十文科教第五百八十二号文部科学省総合教育政策局長及び初等中等教育局長連名通知。以下「通知」という。)を発出し、「障害のある外国人の子供の就学先の決定に当たっては、教育委員会において、日本国籍を有する子供と同様に、(中略)障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人や保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から判断すること。その際、言語、教育制度や文化的背景が異なることに留意し、本人や保護者に丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要であること」等を示しているところである。

四について

 御指摘の「特別支援学級に外国籍の児童生徒在籍率が全児童生徒の在籍率より高い実態」が「特別支援学級で学ぶ日本人児童生徒」や「特別支援学級で学ぶ外国人児童生徒」に与える「影響」については、特別支援学級に在籍している各児童生徒の障害の種類や程度、日本語の能力が様々であるため、一概にお答えすることは困難である。また、後段のお尋ねについては、「その原因」の指すところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「母語による障がいの有無に関するスクリーニング検査及び日本語スキルチェック」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、障害のある外国人の子供の就学先の決定については、通知において、「障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人や保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から判断すること。その際、言語、教育制度や文化的背景が異なることに留意し、本人や保護者に丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要であること」を示しているところであり、その具体的な方法については、各市区町村教育委員会等において、適切に判断される必要があると考える。

六について

 御指摘の「外国人児童生徒への「就学前日本語指導」、「義務教育課程日本語指導」及び「学齢超過者への日本語指導」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、支援事業により、地方公共団体が行う、日本語指導が必要な小学校就学前の幼児やその保護者に対する支援に係る取組、小学校及び中学校段階における特別の教育課程を編成して実施する日本語指導に係る取組、日本語指導が必要な高校生等に対する包括的な教育支援に係る取組等について補助を行うとともに、通知において、「外国又は我が国において様々な事情から義務教育を修了しないまま学齢を経過した者については、各教育委員会の判断により、・・・公立の中学校での受け入れが可能であること」等を示しているところであり、引き続き、外国人児童生徒等へのきめ細かな支援の充実に努めてまいりたい。

七について

 政府としても、外国人児童生徒に対する支援の充実を図るべきと認識しており、外国人児童生徒の各学校での受入体制整備を図るための手引や、日本語指導と教科の指導を併せて実施するためのカリキュラムの開発に係る資料を作成し、都道府県教育委員会等に提供しているところである。

八から十までについて

 御指摘の「国主体の人材獲得施策」及び「国主体の待遇改善への取り組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、外国人児童生徒に対する指導については、当該外国人児童生徒の母語を解する人材を継続して活用できるような体制を整備することが重要であると認識している。文部科学省においては、「外国人材の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業」により、地方公共団体等が行う外国人児童生徒の保護者を含む外国人に対する日本語教育に係る取組について充実を図るとともに、支援事業により、地方公共団体が行う日本語指導ができる、又は外国人児童生徒の母語を解する支援員の派遣に係る取組について補助を行っているところである。