質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一〇号
  令和三年二月九日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出プラスチック製買物袋有料化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出プラスチック製買物袋有料化に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「「プラスチック資源」を主立って取り上げた根拠」については、「循環型社会形成推進基本計画」(平成三十年六月十九日閣議決定)において、プラスチックは、「資源・廃棄物制約、海洋ごみ対策、地球温暖化対策等の幅広い課題に対応」して、施策を進めることが必要な素材とされているためである。
 また、お尋ねの「プラスチック資源以外に問題と考えている資源」については、同計画では、「環境への負荷、廃棄物の発生量の観点から課題のある素材」として、バイオマス、金属及び土石・建設材料が挙げられている。

二について

 お尋ねの「「生活環境や国民経済を脅かす」とした根拠」については、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」(令和元年五月三十一日海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議決定)において「海洋プラスチックごみによる地球規模での環境汚染による生態系、生活環境、漁業、観光等への悪影響が懸念され」るとされていること、「地球温暖化対策計画」(平成二十八年五月十三日閣議決定)において地球温暖化により「世界的にも平均気温の上昇、雪氷の融解、海面水位の上昇が観測されているほか、我が国においても平均気温の上昇、暴風、台風等による被害、農作物や生態系への影響等が観測されている」とされていること等を踏まえたものである。

三について

 お尋ねの世界全体の「プラスチックの生産量」に占める我が国の生産量及び世界全体の「プラスチックごみの廃棄量」に占める我が国の廃棄量の割合は、一般社団法人プラスチック循環利用協会が平成二十八年に公表した「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」及び国際連合環境計画が平成三十年に公表した「シングルユースプラスチック」における数値を用いて計算すれば、いずれも約三パーセントとなる。

四について

 お尋ねの「海洋プラスチックごみのうち」及び「海洋プラスチックごみ全体」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、環境省が平成二十二年度から令和元年度までにかけて我が国の海岸に漂着したごみについて調査し、そのうち人工物について平成二十三年度から令和元年度までの調査結果の分析を行い個数ベースで整理した結果によれば、プラスチック製の「ボトルのキャップ、ふた」の割合が最も高く、「レジ袋」を含む「ポリ袋」については、各地域で約二パーセントから約十パーセントまでの割合を占めていた。

五及び六について

 プラスチック資源を用いた製品のうち、「レジ袋」については、小売業に属する事業を行う者において、特に、その使用量が多く、かつ、代替手段の活用等による使用削減の余地が大きいことから、その過剰な使用の抑制等の使用の合理化を図る必要があると考えている。
 また、お尋ねの「適正な使用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令(平成十八年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第一号)第二条においては、プラスチック製の買物袋を有償で提供することにより、その排出の抑制を相当程度促進することとしている。

七について

 お尋ねの「日本のプラスチック問題においてはどのような点を重点課題とすべきなのか」については、「プラスチック資源循環戦略」(令和元年五月三十一日消費者庁・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省策定)において、「重点戦略」として「プラスチック資源循環」、「海洋プラスチック対策」、「国際展開」及び「基盤整備」を掲げている。
 また、お尋ねの「重点課題に対して、今回の「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」がどのように寄与すると考えるか」については、前述の「プラスチック資源循環」の中に「レジ袋の有料化義務化(無料配布禁止等)」が位置付けられており、御指摘の「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」を踏まえ、プラスチック製買物袋の有料化が適切に実施されることにより、ワンウェイのプラスチックのリデュース等の徹底を通じて「プラスチック資源循環」が推進されると考えている。