質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第六七号

奈良県下のいずれの地域も緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の対象地域に指定されていないことに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年五月七日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   奈良県下のいずれの地域も緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の対象地域に指定されていないことに関する質問主意書

 令和三年三月三十一日から同年四月三十日までの奈良県下における人口十万人あたりの新型コロナウイルス感染者数は、全国四位である百八十二・六七人であり、これは四月二十五日から緊急事態宣言が発出されている京都府の百十四・一二人よりも多い。

 奈良県を緊急事態宣言ないしまん延防止等重点措置の対象地域に指定することについては、以下のように奈良県と県下の各自治体及び各種団体などで意見が食い違う状況である。

 令和三年四月七日、飲食業界の組合である奈良県飲食生活衛生同業組合は、営業時間短縮(時短)を要請するよう求める要望書を奈良県知事に提出した。同月二十日、立憲民主党奈良県連はまん延防止等重点措置の適用を国に求めるよう奈良県知事に要請した。自由民主党奈良県連・公明党奈良県本部も同月二十三日、奈良県に対し緊急事態宣言を国に求めるよう要請し、「県の対処方針では県民の命が守れない事態となりつつある」とした。奈良市長は同月二十二日、生駒市長・天理市長は同月二十三日に、緊急事態宣言の発出を奈良県知事に要望した。

 このように、奈良県下においては、与野党関係なく緊急事態宣言ないしまん延防止等重点措置の対象地域に指定すべきであると考えているし、県下主要都市の首長も同様である。しかし、奈良県知事は緊急事態宣言ないしまん延防止等重点措置の対象地域に指定するよう国に要望することには消極的である。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)に規定される政府対策本部長が、特措法第三十一条の四に基づくまん延防止等重点措置を公示する場合、都道府県知事は、あらかじめまん延防止等重点措置を実施すべき区域に指定されるよう要望する必要はあるか。それとも、政府対策本部長は、都道府県知事の意思とは無関係に、特措法第三十一条の四第一項各号の期間、区域、概要を指定できるか。

二 政府対策本部長が、特措法第三十二条に基づく緊急事態宣言を発出する場合、都道府県知事は、あらかじめ緊急事態宣言を実施すべき区域に指定されるよう要望する必要はあるか。それとも、都道府県知事の意思とは無関係に、特措法第三十二条第一項各号の期間、区域、概要を指定できるか。

三 奈良市長のTwitter上でのコメントによると、令和三年五月二日の奈良市内における新型コロナウイルス感染症の陽性者は最多となる四十四名を数え、大変厳しい状況であるとのことである。しかし、奈良市役所前の交通調査において、県外ナンバーが四十六パーセントを占めるなど、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の対象地域に指定されていないからか、「奈良は安全」という誤ったメッセージが広がっており、政府が目指す人流抑制が十分に達成されていない。政府は、令和三年四月二十五日、大阪府、京都府、兵庫県を緊急事態宣言の対象区域に指定した際、なぜ奈良県を緊急事態宣言ないしまん延防止等重点措置の対象地域に指定しなかったのか。また、政府は、令和三年五月五日現在においても、なぜ奈良県を緊急事態宣言ないしまん延防止等重点措置の対象地域に指定しなかったのか。政府の見解如何。

  右質問する。