質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第五七号

銀行法等束ね法案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年四月九日

吉川 沙織


       参議院議長 山東 昭子 殿



   銀行法等束ね法案に関する質問主意書

 複数の法律を改正等しようとするときにこれらを束ねて一本の法律案として国会に提出する「束ね法案」は、法律案を束ねることによって国会審議の形骸化を招来するとともに、国会議員の表決権を侵害しかねないものである。また、どの法律がどのように改正されるのか等が国民に分かりづらくなり、適切な情報公開とはならないおそれもある。

 束ね法案の有するこのような問題点について、私はこれまで国会質疑及び質問主意書において指摘を重ねてきたが、束ね方に問題のある法案が依然として国会に提出されることについては看過できない。

 そこで、政府が今国会に提出した「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案」(閣法第五二号。以下「銀行法等束ね法案」という。)等について、以下質問する。

一 今国会に提出する閣法の本数を少なくするよう、政府部内で指示・調整を行った事実はあるか明らかにされたい。

二 銀行法等束ね法案の提出の理由にある「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化」とは何か明らかにされたい。

三 「金融の機能の強化及び安定の確保」を図る施策とは、一般に、どのような要素を備えていれば、あるいは、どのような内容であれば、これに該当すると考えられるのか、見解を明らかにされたい。

四 金融機能の強化のための特別措置に関する法律(以下「金融機能強化法」という。)の制定以降に行われた銀行法、金融商品取引法及び金融機能強化法の改正(いわゆる附則改正を除く。)について、それぞれ、「金融の機能の強化及び安定の確保」を図ることを直接的又は間接的な目的とはしない改正が行われた例があるか明らかにされたい。その例がある場合には、その改正が行われた国会の回次、改正法案の題名、改正の目的及び改正内容の概要を示されたい。

五 金融機能強化法の制定以降、銀行法、金融商品取引法及び金融機能強化法の各改正法案を束ねて一本の法律案として国会に提出した例があるか明らかにされたい。その例がある場合には、その法律案を提出した国会の回次、法律案の題名、改正の目的及び改正内容の概要を示されたい。

六 銀行法等束ね法案は、(1)デジタル化や地方創生への貢献など、(2)グローバルな拠点再配置の加速への対応、(3)経営基盤の強化の三項目の改正内容から成る旨の説明がなされていると承知している。金融庁の審議会・研究会等において、新型コロナウイルス感染症が指定感染症に指定された令和二年二月一日以前から、この三項目の改正内容につながる検討を行っていたか明らかにされたい。検討を行っていた場合、その審議会・研究会等の名称と検討内容を示されたい。

七 前記六の三項目について、その改正内容の実現のため、それぞれ何本の法律を改正することとしているのか、項目ごとに明らかにされたい。

八 前記六の三項目を一つの法律で同時一体的に改正しなければならない法制的な牽連性があるか明らかにされたい。法制的な牽連性がある場合、その内容を示されたい。

九 束ね法案の立案作業においては、複数の法律案の立案作業を同時並行で行わなければならず、改正内容も幅広く、合議等を必要とする組織体が多岐にわたることも少なくない。このため、束ね法案の立案作業は、一般に、束ねる法律案の本数が多ければ多いほど、従事する職員に負荷がかかることになり、また、日程の余裕が失われることになると考えるが、見解を明らかにされたい。

  右質問する。