質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第五八号
  令和二年三月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業の導入に伴う労働者の労働条件の変化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業の導入に伴う労働者の労働条件の変化に関する質問に対する答弁書

一について

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「PFI法」という。)第二十二条第一項第四号に規定する派遣職員の派遣先における労働条件等については、同項において、公共施設等運営権者は、公共施設等の管理者等と公共施設等運営権実施契約を締結しなければならないとされ、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律施行規則(平成二十三年内閣府令第六十五号)第五条において、公共施設等運営権実施契約の内容には、公共施設等運営権者と任命権者又はその委任を受けた者との間で、個別の派遣職員の当該公共施設等運営権者における報酬その他の勤務条件並びに当該公共施設等運営権者において従事すべき業務及び業務に従事すべき期間その他当該派遣職員をその業務に従事させることに関し必要な事項を定めた取決めを締結する旨を含むものとされている。また、当該取決めについて内閣府が作成した「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)に基づく取決書のひな形」において、当該取決め中に、勤務条件等の内容を定めるとともに、当該取決めの定めの変更には、公共施設等運営権者と任命権者又はその委任を受けた者との間の協議に加えて、当該派遣職員の同意を得る必要があること等を定めており、政府としては、公共施設等運営権者と任免権者又はその委任を受けた者との間で、当該取決めが遵守されるものと考えている。
 なお、当該派遣職員は、当該任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、公共施設等運営権者の職員となるため退職しているので、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の五第三項及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十五条第三項は適用されない。

二について

 お尋ねのPFI法第七十九条第一項に規定する地方派遣職員の派遣先における労働条件の変更、解雇・分限免職といった労働条件の変化等については、一についてでお答えした取決めにより決せられるものと考えている。

三及び四について

 お尋ねの「こうした分限免職」及び「地方公務員法第二十八条などを適用するということ」が、地方公務員法第二十八条に基づき職員を免職することをいうとすれば、地方公務員の分限免職についての過去の裁判例において、任免権者が被処分者の配置転換が比較的容易であるにもかかわらず、その努力を尽くさずに分限免職をした場合には権利の濫用となると判示されており、分限免職については、このような考え方も踏まえ、各地方公共団体において、同法の規定に基づき、適切に対処されるべきものであると考えており、「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」(平成三十年十月十八日民間資金等活用事業推進会議決定)には記載していないものである。なお、PFI法第七十九条第一項に規定する地方派遣職員の派遣先における解雇・分限免職については、二についてでお答えしたとおりである。

五について

 御指摘の「TUPE」については、様々な文脈で用いられるものであり、その具体的に意味するところが明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。