質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一一六号

学校・教育機関の再開に伴う新型コロナウイルス感染症の感染拡大の阻止に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年五月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   学校・教育機関の再開に伴う新型コロナウイルス感染症の感染拡大の阻止に関する質問主意書

 令和二年五月十四日に変更された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(新型コロナウイルス感染症対策本部決定)において、現在休校が要請されている学校・教育機関について、「感染予防に最大限配慮した上で、段階的に学校教育活動を再開し、児童生徒等が学ぶことができる環境を作っていく。」と記載されている。
 休校が長期化していることもあり、子どもたちにはそれに伴うストレスが蓄積しており、学校の再開に合わせて、制約されていた友達との濃厚接触、密集等が生じる危険が否めない。学校に集まる子どもたちへの目配りと休校明けに備えた事前の対策が重要である。
 以上を前提に以下の通り、質問する。

一 現在、学校設置者に対して、児童生徒用及び教職員用のマスク、消毒液・非接触型体温計等の保健衛生用品の購入等に要する経費の支援が行われている(地方公共団体や学校法人については、購入費用の二分の一の国庫補助、国立大学法人については、購入費用の十分の十の国庫補助等)。
 ちなみに、新型コロナウイルス対応について高い評価のなされている台湾では、日本政府が休校を要請する二日前の二月二十五日に休校を終了し、学校を再開している。その際、六百四十五万枚のマスク(あくまで予備用。台湾ではすでに国民全員に平等にマスクを有料配給する仕組みができており、マスクを持っていない生徒は原則としていない。)、アルコール消毒液八・四万トン、額にかざす非接触式体温計二・五万個等の感染防止資材の配布を学校等の教育機関に向けて行ったとされている。
 現在、感染防止資材については、価格も高騰している上、在庫も少なく、資金面での支援を行うとはいえ、その調達についての負担を個別の教育機関に押しつけるのは酷である。
 我が国において、学校再開前に国の責任で、必要な分量の感染防止資材の調達並びに配布を学校・教育機関に向けて行うべきではないか。政府の見解と現在の状況を伺う。

二 令和二年五月一日付けで、文部科学省初等中等教育局長から、各都道府県教育委員会教育長等向けに、「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について」(二文科初第二二二号)という通知が発出されている。
 こちらに記された対策がそれぞれの学校・教育機関の中で、適切に実施・運用されているかということこそ重要である。この点に関する対応策という意義もあることも考え合わせ、学校や教育機関に医師を必要に応じて派遣し、感染予防指導や見回り、生徒や教員からの健康面での相談にも対応するといった措置も検討すべきではないか。

三 学校内での感染のリスクを少しでも下げるため、定期的な教室内の机や椅子、廊下などの消毒の実施を検討するべきではないか。

四 児童生徒等の健康管理について、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課が発出した「新型コロナウイルス感染症に対応した小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&Aの送付について(五月十三日時点)」との事務連絡では、「家庭と連携し、毎朝の検温や風邪症状の確認を行うとともに、家庭でそれらを確認できなかった児童生徒等については、登校時、教室に入る前に、保健室や職員室等に来室するように指導し、検温及び健康観察等を行ってください。」と記載されている。
 台湾では、毎朝登校時に学校の正門で生徒たちの検温を行い、発熱症状によっては即時病院へ行かせたり帰宅させたりする等の処置を行っているとされる。家庭における検温は、適切に実施されると政府は認識しているのか。

  右質問する。