質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

宮家の法的地位に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年一月二十日

熊谷 裕人


       参議院議長 山東 昭子 殿



   宮家の法的地位に関する質問主意書

 現在、秋篠宮家、常陸宮家、三笠宮家、高円宮家の四つの、いわゆる「宮家」があると承知している。
 いずれも創設は昭和以後で、高円宮家を除く三つの宮家は、いわゆる直宮家であり、当時の天皇の子女や兄弟が創設した宮家である。
 現存する四つの宮家を構成する者は、親王、親王妃、内親王、女王などであり、皇室典範第五条に「皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする」と規定されるところの皇族である。
 平成二十九年六月七日、菅官房長官は、参議院天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会で、「いわゆる宮家とは、独立して一家を成す皇族に対する一般的な呼称であり、宮家の名前である宮号は、天皇陛下のおぼしめしにより皇族に対して賜るものである」との見解を示し、そのあり方については、「国民のコンセンサスを得るために、十分な分析、検討、慎重な手続、こうしたことが必要である」と発言している。
 いわゆる宮家というものについては、多くの国民はその法的地位について十分理解しているとは言えず、皇室典範などの法令で規定されているものでもないと思われる。宮号についても「天皇陛下のおぼしめし」によるものであり、その宮号を賜った皇族が宮家を創設することが通例となっているため、現行の宮家の制度は法的根拠を持つものとは言えないものの、安定した皇位の継承にあたっては、宮家の法的地位について明確にしておくことは意義あるものと考える。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 いわゆる「宮家」には法的な根拠はなく、その法的地位は曖昧なものであり、もっぱら「天皇陛下のおぼしめし」により宮号を賜った皇族が創設しているのが現状であるとの理解でよいか。

二 前記一に関連して、現行法上、宮家は明確な法的地位を有していないと見るべきであり、法的には皇族の範囲が皇室典範で規定されているにとどまり、宮家の存在は皇室の慣習上の存在であるという理解でよいか。

三 現行法上、いわゆる「女性宮家」を創設するのであれば、宮家を規定する法令がそもそもないため、皇室典範第五条でいう内親王、女王などの女性皇族に対して「天皇陛下のおぼしめし」があれば、その創設は可能であるのではないか。

四 安定した皇位の継承を図るためにも、「宮家」の法的地位については、「天皇陛下のおぼしめし」によるもののままにするのではなく、天皇陛下に政治責任を生じさせる懸念を排除するためにも、立法措置を講ずるべきではないか。政府の見解如何。

  右質問する。