質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四三号

コンセッション事業の特徴と課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十月二十九日

吉田 忠智   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   コンセッション事業の特徴と課題に関する質問主意書

 日本の様々な行政サービスにおいて、すでにコンセッション方式によるPFI事業(以下「コンセッション事業」という。)が導入されているところ、昨年の水道法の改正を契機に、全国の自治行政のあり方が大きく変わろうとしている。コンセッション事業の特徴と課題について質問する。

一 コンセッション事業に関する基本的な知識の周知が、関係住民のみならず行政側、すなわち自治体の職員である公務員にも徹底されているとは言えない。コンセッション方式と委託等のこれまでの官民連携手法との違いも理解されていないなど、住民説明会や職員研修などが極めて不足していると思われる。改善すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 PFI事業のように、創造力を用いて企画立案を行い、収益性を追求しながら公共サービスを提供するという業務を、公務員はほとんど経験していない。こうした業務についての具体的な経験と知識を公務員が積み上げなければ、コンセッション事業を導入しても結局は民間企業に「丸投げする」、あるいは、「お任せする」しかないということになり、自治行政のあり方が歪められないか。政府の見解を示されたい。

三 コンセッション事業は、二十年から三十年という長いスパンで行う契約による事業であるという、かつてない特徴とそれゆえの課題を有している。
 これまでのように、公務員が十年以上同じ職場で「長く勤務する」ということと、コンセッション事業を二十年から三十年という長いスパンで実施するということとは、表面的には似ているが、性格や内容は全く異なる。関係住民にとっても、こうした長いスパンで行われるコンセッション事業において、住民の意思表示や自治への参加などが確保されるのか不明である。
 こうしたコンセッション事業の特徴とそれゆえの課題について、あらためて政府による住民に対する丁寧な説明や公務員向けのマニュアルの作成が必要ではないか。

  右質問する。