質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第九〇号

いじめ防止対策推進法の運用の徹底確保に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月二十六日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   いじめ防止対策推進法の運用の徹底確保に関する質問主意書

 いじめ防止対策推進法が制定されてから六年が経過するが、未だに、いじめ事案に対する学校いじめ対策委員会による組織的対応がなされないことによる自死事件等が生じていること、いじめが起きにくい・いじめを許さない学級や学校の環境づくりのための当該委員会の活動や学校いじめ防止プログラムの運用が適切になされていないこと、重大事態に際し適切な調査委員会の立ち上げや被害者に寄り添った対応がなされず二次被害等が生じていることは誠に遺憾である。
 特に、今後、全国の学校では夏休みを迎えるところ、かねてより、長期休業日が終了した学期始めの時期にあっては多くの児童生徒が自死や不登校等に至ってしまう危険が指摘されているところ、政府として早急にいじめ防止対策推進法及びいじめの防止等のための基本的な方針(平成二十九年三月十四日最終改定)等が求める対策について全国の教育委員会及び学校におけるその徹底した実施を確保することを図る必要があるものと考える。
 これを踏まえ、以下質問する。

一 文科省においては、平成二十七年に生じた岩手県矢巾町における中学生の自死事件を受けて、平成二十七年八月四日に「いじめ防止対策推進法に基づく組織的な対応及び児童生徒の自殺予防について(通知)」を発出したところであるが、その後今日に至るまで当該通知で求めている対策がなされていなかったことが重大事態の調査報告書で明らかになっている自死等の事件が多数あること等も踏まえ、当該通知で求めている「法に基づく組織的な対応に係る点検」について、この際、改めて全国の教育委員会及び学校に対してそれぞれの事項の点検及びそれに基づく着実な対策の実施を求めるべきではないか。

二 前記一について、当該通知における「法に基づく組織的な対応に係る点検」を実施する際には、生徒指導主事や生徒指導担当教諭等の教育委員会や学校におけるいじめ対策の実務責任者及び各学校の学校長において、いじめの防止等のための基本的な方針(平成二十九年三月十四日最終改定)を十分に読解し求められている対策を適切に理解した上で点検等を実施するとともに、教育委員会においては各学校における点検の結果を適切に評価し必要な改善を指導等する取り組みが必要でないか。なお、これら学校長等においては、当該基本的な方針の内容を殆ど理解していない例が散見されるところである。

三 前記一及び二について、「法に基づく組織的な対応に係る点検」として記載されている「いじめ対策組織が、いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりを実効的に行うために、その存在及び活動が児童生徒から認識され」ているか、学校いじめ対策委員会に所属する教職員や学校いじめ対策委員会の「年間を通した取組を通じ、全ての教職員」が「いじめを受けた児童生徒を徹底して守り通し事案を迅速かつ適切に解決する相談・通報の窓口と児童生徒から認識され」ているか等の点検については、教職員や学校の判断のみによるのではなく、児童生徒に対するアンケートやヒアリングの実施などによってその現状や対策の実効性を判断するような取り組みが必要ではないか。

四 前記二について、地方いじめ防止基本方針や学校いじめ防止基本方針の中には、いじめの防止等のための基本的な方針(平成二十九年三月十四日最終改定)の内容が反映されていないものが散見されるところ、早急に、各教育委員会及び各学校長の責任において適切な内容の基本方針に改定するべきではないか。

  右質問する。