質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一五号

内閣参質一九六第二一五号
  平成三十年七月三十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出誰もがいきいきと働けるための環境整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出誰もがいきいきと働けるための環境整備に関する質問に対する答弁書

一について

 高年齢者の雇用の在り方については、「働き方改革実行計画」(平成二十九年三月二十八日働き方改革実現会議決定)において「六十五歳以降の継続雇用延長や六十五歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備を行っていく」こと等を決定しており、具体的な取組としては、継続雇用延長等を行う企業に対する六十五歳超雇用推進助成金の支給等により、企業への援助等を行っているところである。
 また、高年齢雇用継続給付の在り方については、今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、引き続き中長期的な観点から検討してまいりたい。

二について

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第八条第一項に規定する一般事業主行動計画の策定を中小企業において推進することについては、「女性活躍加速のための重点方針二〇一八」(平成三十年六月十二日すべての女性が輝く社会づくり本部決定)において「策定が義務付けられている事業主による策定がほぼ完了する中、社会全体に取組の裾野を広げていくべく、中小企業に対し自発的な計画の策定を働き掛け、説明会の開催や電話相談、個別訪問を実施することで、きめ細やかな支援を行う」等とされていることを踏まえ、検討してまいりたい。

三について

 お尋ねの「他のハラスメント対策」及び「ハラスメント全般に関する法制化」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

四の1について

 厚生労働省が平成三十年三月に公表した不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業(以下「本事業」という。)の報告書によれば、労働者が行政に望む支援として「不妊治療への国民・企業の理解を深める」という回答が最も多いこと、また、不妊治療をしていることを職場に伝えていない労働者が多い理由として「不妊治療をしていることを知られたくないから」という回答が最も多いことから、働きながら不妊治療を受ける労働者に対する企業の理解を促進するため、本事業において作成したリーフレット等を活用した周知啓発を行うことにより、企業における仕事と不妊治療の両立ができる職場環境の整備の促進を図ってまいりたい。

四の2について

 不妊に悩む方への特定治療支援事業においては、経済的負担の軽減の必要性の高い者を対象とするため一定の所得制限を設けている。当該事業の見直しについては、事業の施行状況や財政状況を勘案し、必要に応じて検討してまいりたい。

五の1の(1)及び(2)について

 政府としては、精神障害者の雇用の促進及び定着の支援に向けた環境整備は重要と考えており、障害者本人に対する職場でのコミュニケーション能力の向上のための支援等を行う職場適応援助者(以下「ジョブコーチ」という。)の育成、労働者である精神障害者や発達障害者を職場で支援する「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成等を推進しているところである。特に、ジョブコーチについては、その育成及び専門性の向上のため、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)等においてその養成研修の実施等に取り組んでいるところであるが、平成三十年度から平成三十四年度までにかけて、機構において、御指摘の「企業在籍型職場適応援助者」に対するものも含め、各年度のジョブコーチの養成数を倍増させることとするなど、支援体制の充実を図っているところである。

五の1の(3)について

 政府としては、障害者を含めた労働者に対し職業訓練等を行った企業に対して人材開発支援助成金により助成を行う等の取組を行っているところであり、引き続き、これらの取組を進めてまいりたい。

五の2について

 お尋ねの「必要に応じて随時認定可能とし」及び「雇用主が認めた場合は時間外の自己啓発研修等への通訳配置に対する助成を可能とするべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、十年間とされている御指摘の「手話通訳担当者等委嘱助成金」の支給期間を更に長期化することは、限られた財源の中で、様々な課題を抱える障害者雇用をより効果的に支援する必要があること等を勘案する必要があり、現時点では考えていない。