質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八五号

内閣参質一九六第一八五号
  平成三十年七月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故対応の着実な推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故対応の着実な推進に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の廃炉・汚染水対策について、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要がある研究開発については、財政措置を進めることとしている。
 人材育成については、三十年から四十年程度掛かると見込まれている福島第一原発の廃止措置等を実施していくため、中長期的な視点で計画的に取り組むこととしている。具体的には、高等教育機関での研究者・技術者の育成、産学官のネットワーク構築、難易度の高い研究における各機関の連携、各種フォーラムやシンポジウムを活用した研究成果の発信、現場経験の提供等について、引き続き関係機関の協力を得て取り組んでいくこととしている。

二について

 福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、東京電力、政府、原子力損害賠償・廃炉等支援機構、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構等の関係者が、各々の役割に基づき、連携を図り、必要な取組を進めていくことが重要である。政府としては、廃炉・汚染水対策チーム会合の事務局会議の場等も活用し、「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成二十九年九月二十六日廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議決定。以下「中長期ロードマップ」という。)に記載した各種対策が着実に実施されるよう進捗管理を行う。

三について

 福島第一原発の事故対応業務に従事する者の労働環境の改善は重要であり、これまで、東京電力、元請事業者及び関係請負人との間で、過去の労働災害に加え、被ばく低減対策の情報を共有するなど、適切な労働環境の実現に向けて東京電力等への指導等を行ってきたところである。
 政府としては、中長期ロードマップに記載されている、東京電力、元請事業者及び関係請負人によるリスクアセスメントの実施、東京電力等による体感型教育訓練施設の活用、現場の巡視、作業間の連絡調整の徹底等を図るとともに、「「東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン」の策定について」(平成二十七年八月二十六日付け基発〇八二六第一号厚生労働省労働基準局長通達)に基づき、東京電力等に対して指導を行うこと等により、引き続き、労働環境の改善を図っていく。

四について

 福島第一原発の廃炉・汚染水対策を進めるに当たっては、国民に対して、安全対策の取組、作業の進捗状況等を適切に伝えることが重要であり、これまで、政府としては、経済産業省のホームページ等を通じた情報公開、パンフレットの配布等による情報発信に取り組むとともに、モニタリングデータの全数公開や誤解や風評を招かないよう配慮した適切な情報発信について、東京電力への指導等を行ってきたところである。引き続き、必要な取組を進めていく。