質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第八九号

内閣参質一九六第八九号
  平成三十年五月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出平成三十年四月三日に開会された参議院厚生労働委員会における加藤勝信厚生労働大臣の発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出平成三十年四月三日に開会された参議院厚生労働委員会における加藤勝信厚生労働大臣の発言に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「同条にいう処方せんの定義とその発行目的」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十二条に規定する処方箋は、医師が、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合に、薬名、分量、用法、用量等を記載し、患者又は現にその看護に当たっている者に対して交付するものである。

二について

 お尋ねの「発行から廃棄までの過程における所有権の所在」の意味するところが必ずしも明らかではないが、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第五十四条の規定においては、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第六十三条第三項各号に掲げる薬局から薬剤の支給を受けようとする者は、同項各号に掲げる病院又は診療所において、診療に従事する保険医(同法第六十四条に規定する保険医をいう。)又は医師若しくは歯科医師が交付した処方箋を当該薬局に提出しなければならないこととされており、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十六号)第六条の規定においては、保険薬局(同法第六十三条第三項第一号に規定する保険薬局をいう。)は、患者に対する療養の給付に関する処方箋及び調剤録をその完結の日から三年間保存しなければならないこととされている。

三から六まで及び八について

 御指摘の「処方せんの絶対的記載事項への疾患名の追加」等については、疾患名の告知を望まない患者にも自身の疾患名を明かすことにつながる等の課題があり、慎重に検討する必要があると考えている。なお、疾患名を記載した処方箋の交付を既に行っている病院等に対する実態調査を行うこととしており、この調査結果等を踏まえ、診療に従事する医師又は歯科医師と調剤に従事する薬剤師との間における患者の疾患名の共有の在り方等について必要な検討を行ってまいりたい。また、診療報酬上の評価については、一般的に、それぞれの医療行為等の有効性、安全性等を勘案し、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえ、適切に設定するものである。

七について

 薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)においては、薬剤師が、医師等に問合せを行うことを制限する規定はない。なお、同法第二十四条においては、「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない」とされている。また、御指摘の「正当な理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の四第三項の規定により、医療提供施設において診療に従事する医師及び歯科医師は、必要に応じ、医療を受ける者の診療に必要な限度において医療を受ける者の診療又は調剤に関する情報を他の医療提供施設において調剤に従事する薬剤師に提供等するよう努めなければならないこととされている。

九について

 七についてでお答えしたとおり、薬剤師法第二十四条においては、「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない」とされており、この規定に基づき、必要に応じて疾患名を確かめることは薬剤師の義務である。また、一般に、薬剤師が患者の情報を参考にすることは、より質の高い服薬指導の実施等に資するものと考えている。