質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇四号

薬剤師法第十九条の「医師、歯科医師、獣医師による調剤」を認めるただし書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年五月七日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   薬剤師法第十九条の「医師、歯科医師、獣医師による調剤」を認めるただし書に関する質問主意書

 公益社団法人日本薬剤師会が発表している「保険調剤の動向」によれば、平成二十八年度の保険診療にかかる処方せん受取率(医薬分業率)は、全国平均で七十一・七パーセントであり、医薬分業率が八十パーセントを超える都道府県が八道県にも及んでいることを考えるに、「医師が処方し薬剤師が調剤する」という医薬分業の形式が、我が国においても一定程度定着をみていると理解される。他方、群馬県、愛媛県、徳島県、京都府、和歌山県、福井県の六府県については、医薬分業率が六十パーセントに達しておらず、医薬分業が遅々として進んでおらず、医師等が自ら調剤し、医薬品を交付するという日本古来のやり方を踏襲している地域が残っているのも事実であると認識するものである。こうした状況に鑑みつつ以下に政府の見解を求めることとする。

一 医薬分業率が六十パーセントに満たない府県が依然として残っているが、この理由について政府が調査・分析などをしているのであれば、当該府県において医薬分業の進捗が伸び悩む理由について政府の見解を明らかにされたい。

二 医薬分業の進捗が進まない地域が存在する原因についての分析と解決するための不断の努力は継続するべきものと考えるが、他方で、医薬分業率が全国平均で七十パーセントを超えており、また、八十パーセントを超える地域も増加している事実を考えるに、薬剤師法第十九条の「医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない」というただし書(以下「ただし書」という。)は、近い将来には、その役割を終えるものと推測される。
 二〇〇六年度より薬剤師養成課程の修業年限が六年に延長され、加藤勝信厚生労働大臣のこれまでの御発言を顧みる限りでは、薬剤師の専門性は向上していると政府も理解していると思われる。また、二〇〇三年度以降、薬学部の増設が相次いでいることから、薬剤師資格保有者は順調に増加していると考えるのが一般的である。薬剤師の質及び安定供給という観点からも、ただし書を旧態依然として規定しておく意味があるのか甚だ懐疑的である。政府に問うが、何故に、ただし書が必要であったのかにつき歴史的経緯を明らかにされたい。また、来年度に予定される「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の改正に向けた議論も含め、ただし書の妥当性についての検討を近い将来政府内で始める準備があるのか明らかにされたい。

  右質問する。