質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第五四号

国際観光旅客税の使途に感染症対策を含めるべきことに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年三月二十九日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   国際観光旅客税の使途に感染症対策を含めるべきことに関する質問主意書

 政府は二〇二〇年に訪日外国人旅行者数を四千万人とする目標を掲げているが、訪日外国人旅行者が多くなればなるほど、国外から感染症が持ち込まれるリスクが高まる。中東呼吸器症候群(MERS)のような新興感染症が国内で広がった場合、訪日外国人旅行者数が減少する影響だけで経済損失が二・七兆円生じ、観光業などでの雇用が五十八万人失われるとの試算がある。
 外務省が税制改正要望において、国際連帯税(国際貢献税)の新設を平成二十二年度から平成三十年度まで九年も続けて要望している中、政府は国会に国際観光旅客税法案(第百九十六回国会閣法第二号)及び外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案(第百九十六回国会閣法第四号)を提出したので、以下、質問する。

一 「国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等について」(平成二十九年十二月二十二日観光立国推進閣僚会議決定。以下「基本方針」という。)では、国際観光旅客税の充当先の一つとして「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」が挙げられているが、ここにいう「環境の整備」に感染症対策も含めるべきではないか。

二 感染症の元を絶つため、国際観光旅客税の使途を国際的な感染症対策にも広げるべきではないか。

三 国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標三「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」では、「二〇三〇年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する」ことが掲げられている。我が国の「SDGs実施指針」における優先課題の一つである「健康・長寿の達成」では、具体的施策の例として「国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画の推進」が挙げられている。基本方針では、二〇一九年度以降の国際観光旅客税の使途は、外務省も参加する観光戦略実行推進タスクフォースで検討する旨定められているが、国際観光旅客税を国内だけでなく海外での取り組みにも充てられるよう検討するべきではないか。

  右質問する。