質問主意書

第194回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一九四第三号
  平成二十九年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員有田芳生君提出ストックホルム合意と法の下の平等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出ストックホルム合意と法の下の平等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「騙されて北朝鮮に渡った人」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号。以下「支援法」という。)第二条の規定により北朝鮮当局によって拉致された日本国民として認定された者(以下「認定拉致被害者」という。)十七名については、関係機関の捜査・調査の積み上げの結果、北朝鮮による拉致行為があったという確認に基づき認定されたものである。現在、当該十七名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者が存在しているとの認識の下、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進しているが、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていない。今後、捜査・調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことが確認された場合には、速やかに認定拉致被害者として認定することとしている。

二及び六について

 政府としては、御指摘のいわゆる「ストックホルム合意」に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている。

三について

 お尋ねの「平成二十八年度において同法第二条各号に該当する者たちに対して支出された政府予算の総額」の範囲が必ずしも明らかではないが、平成二十八年度において、支援法第五条の二の規定に基づき「永住被害者又は永住配偶者」である者のうち「六十歳以上である者」又は「六十歳未満である者であって六十歳以上の永住配偶者又は永住被害者の配偶者であるもの」に対して支給された老齢給付金の支出額は五百三十七万六千八百円である。
 お尋ねの「平成二十八年度において北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者(行方不明者)及びその家族に対して支出された政府予算の総額」の範囲が必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府が、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者であることをもって支出の対象としたことはない。

四について

 御指摘の「「その他北朝鮮当局による人権侵害問題」とはストックホルム合意に明記されている「いわゆる日本人配偶者」に係る問題であること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「何人生存している」かについては、直接確認する手段がないことから、政府としてお答えすることは困難である。また、政府としては、お尋ねの取組については、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、北朝鮮に対し、全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報するよう強く求めている。

五について

 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号)第六条第二項においては、「政府は、脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとする。」と規定しているところ、政府としては、我が国に帰国し、又は入国した脱北者が自立した生活を送ることができる環境を早期に整えることが肝要であると考えており、関係省庁の緊密な連携の下、定着支援のための施策を円滑かつ迅速に実施してきている。