質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第七六号

平成二十八年熊本地震からの復旧・復興における仮設住宅間の住み替えへの対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年四月四日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   平成二十八年熊本地震からの復旧・復興における仮設住宅間の住み替えへの対応に関する質問主意書

 平成二十八年熊本地震(以下「熊本地震」という。)からの復旧・復興において、地方自治体が民間賃貸住宅を借り上げて提供している「みなし仮設住宅」に入居した被災者が、建設型仮設住宅や別のみなし仮設住宅への住み替えを希望しても認められない問題が生じている。地方自治体は、仮設住宅が応急的なもので一度供与したら変更できないとし、仮設住宅からの住み替えは恒久住宅であるべきとする災害救助法の原則を愚直に運用しているだけである。政府は地方自治体に対し、仮設住宅からの住み替え等について、被災者の実態に即した柔軟な対応を認めるよう、提言すべきであると考える。
 このような認識の下、質問する。

一 東日本大震災においては、みなし仮設住宅に入居した被災者から事情変更により住み替えを求める声が高まっていたこと等を踏まえ、特別な事情がある場合に限って、仮設住宅からの住み替えが認められたケースもある。熊本地震においても、健康上の理由、就学・就労の事情等によって、現に入居している仮設住宅の環境が合わなくなり、住み替えを認めてもらいたいという被災者からの声が後を絶たない。こうしたケースにおいて、政府は地方自治体に対し、建設型仮設住宅の空き部屋の活用を図り、住み替えを認めるように運用を改善すべきではないか。また、被災者が求めている住環境が、みなし仮設住宅でなければ確保できない場合も想定されることから、みなし仮設住宅への住み替えについても併せて認めるよう、幅広く被災者の事情を考慮し、柔軟に対応すべきではないか。

二 みなし仮設住宅は、建設型仮設住宅と比較して、早期の供与が可能であり、住環境も良好なものが多く、供与に要する費用を低額に抑えることができる利点がある。一方、災害救助法により、みなし仮設住宅には、入居人数、家賃の上限等、厳格な基準が適用されており、これに該当しないものは認められない。この基準は、災害救助法の原則が現物支給であることを背景としており、みなし仮設住宅の活用の幅を狭める一因となっているのではないか。現物支給だけでなく、家賃補助のような形で現金支給する仕組みも加えれば、例えば、家賃の上限を超過した額を被災者が自己負担することによって、被災者が事情に合った住宅に入居するなど、みなし仮設住宅の活用の選択幅が広がることとなる。政府は、このようにみなし仮設住宅に関する基準の緩和を図ることによって、被災者の住み替えの需要に対してより柔軟に対応することができるよう担保すべきではないか。

  右質問する。