質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第四七号

サイバーセキュリティーに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月六日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   サイバーセキュリティーに関する質問主意書

 昨今、情報通信システム等に対するサイバー攻撃が盛んに行われ、民間企業をはじめ、平成二十七年には日本年金機構が、また平成二十八年には防衛省がターゲットとされるなど、政府関係機関へのサイバー攻撃も行われてきたところである。また、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなどの世界規模の行事が今後日本で開催されるに当たり、我が国へのサイバー攻撃の一層の増加が考えられる。そのため、サイバーセキュリティーに関する議論はこれまで以上に積極的に行っていくべきであると考える。
 これを踏まえ、以下質問する。

一 現在、内閣サイバーセキュリティセンター、警察庁、総務省、外務省、経済産業省、防衛省が中心となって我が国のサイバーセキュリティー施策を実施しているものと承知しているが、これらの機関の協力関係について示されたい。また、これらの機関の所掌事務に係るサイバーセキュリティー施策をそれぞれ示されたい。

二 現在、策源地(敵基地)攻撃について一部で議論されているところ、政府は、一般論として、「武力攻撃の一環としてサイバー攻撃が行われた場合には、自衛権を発動して対処することは可能」との見解を示しているが、我が国が武力攻撃の一環としてサイバー攻撃を受けた場合、策源地である相手国のサーバー(第三国に存在するものを含む。)に対してサイバー攻撃を行い、我が国を防衛することは、憲法第九条の下で許される自衛権行使の範囲内であると考えられるか。範囲内であると考えられるのであれば、その理由をお示し願いたい。

三 前記二において、相手国のサーバーに対するサイバー攻撃が自衛権行使の範囲内であると考えられる場合、我が国に武力攻撃の一環としてサイバー攻撃を行った相手国又は当該サーバーのある第三国に特殊部隊を派遣して、当該相手国のサーバー(第三国に存在するものを含む。)を停止又は物理的に破壊することについても、憲法第九条の下で許される自衛権行使の範囲内であると考えられるか。範囲内であると考えられるのであれば、その理由をお示し願いたい。

四 「武力攻撃の一環としてサイバー攻撃が行われた」と判断する際には、当該サイバー攻撃による物理的被害の有無や、当該サイバー攻撃の対象が自衛隊の施設又は在日米軍の施設及び区域であるか否かが当該判断の基準となるのか、政府の見解を示されたい。

五 我が国は、武力攻撃の一環として行われたサイバー攻撃により具体的な被害を受けた後に自衛権を発動して当該サイバー攻撃に対処することとなるのか、あるいは、当該サイバー攻撃の実行の着手があったと法的に評価され得る状況になれば自衛権を発動して当該サイバー攻撃に対処することが可能となるのか、政府の見解を示されたい。

六 民間企業・政府関係機関を問わずサイバー攻撃を受けている現在、サイバーセキュリティーを強化するため民間企業や政府関係機関はサイバーセキュリティーの専門家やコンサルタント企業を利用しているが、これら専門家や当該企業のコンサルタントが故意に他国の我が国に対するサイバー攻撃に加担する可能性も否定しきれず、当該専門家やコンサルタントがトロイの木馬となるリスクが存在する。サイバーセキュリティーに関する専門家やコンサルタント企業の利用に当たっては、我が国へのサイバー攻撃に加担する可能性がないか、個々の専門家及びコンサルタントの信用性を担保する仕組みが必要だが、政府の認識如何。

  右質問する。