質問主意書

第192回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三〇号

内閣参質一九二第三〇号
  平成二十八年十一月二十二日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員伊藤孝恵君提出マイナンバー活用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員伊藤孝恵君提出マイナンバー活用に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「就学援助の要件に該当する家庭への入学準備金」、「マイナンバーを活用することで申請時における行政手続の簡素化」、「入学前の時期」及び「マイナンバーを活用した自治体間でのデータ照会」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活保護制度における入学準備金(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十二条第一号に掲げる衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもののうち、小学校及び中学校等の入学準備のための費用をいう。以下同じ。)については、小学校及び中学校等へ入学する年度の開始前における給付が可能となっている。また、福祉事務所における統一的な事務処理方式を確立するために厚生省(現厚生労働省)が都道府県及び保護の実施機関(同法第十九条第四項に規定する保護の実施機関をいう。)である市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して示した同法の施行のために都道府県及び当該市町村において制定が必要と解される条例の準則である「生活保護法施行細則準則について」(平成十二年三月三十一日付け社援第八百七十一号厚生省社会・援護局長通知)別紙「生活保護法施行細則」準則(以下単に「準則」という。)において、被保護者(同法第六条第一項に規定する被保護者をいう。以下同じ。)がその居住地を他の福祉事務所長等の所管区域内に移転したときは、転出前の居住地を所管する福祉事務所長等は速やかに転出後の居住地を所管する福祉事務所長等にその旨を通知(以下「細則に基づく通知」という。)するよう示している。また細則に基づく通知には入学準備金の給付に係る情報(以下「給付情報」という。)を含む保護台帳等(準則様式第二号の保護台帳、準則様式第三号の保護決定調書、準則様式第五号のケース記録票その他の書類のうち保護の決定及び実施上必要と認められる必要最小限のものをいう。以下同じ。)の写しを添付するよう示しており、被保護者の転出後の居住地を所管する福祉事務所長等が給付情報を把握できることから、被保護者の転居に伴う御指摘の「二重支給や支給漏れの発生」を防止することが可能となっている。こうしたこと等を踏まえ、保護台帳等の写しを添付した細則に基づく通知を、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第十四項に規定する情報提供ネットワークシステム(以下単に「情報提供ネットワークシステム」という。)を利用した情報の授受により代替することは、現時点においては考えていない。
 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十九条に基づき市町村が実施する、経済的理由により就学困難と認められる義務教育諸学校の児童生徒の保護者に対する必要な援助(以下「就学援助」という。)のうち、要保護者(生活保護法第六条第二項に規定する要保護者をいう。以下同じ。)に対するものについては、小学校及び中学校等に入学する者が通常必要とする学用品費及び通学用品又はそれらの購入費(以下「新入学児童生徒学用品費等」という。)を含め、「平成二十八年度要保護児童生徒援助費補助金の事務処理について」(平成二十八年九月二十三日付け二十八文科初第六百三十九号文部科学省初等中等教育局長通知)において、文部科学省から各都道府県教育委員会に対し、転入学者の保護者が受給しようとする場合は転入前の市町村と連携を密にし重複受給とならないようにすることや、就学援助の実施漏れがないようにすること等を指導することにより御指摘の「二重支給や支給漏れ」が起きないようにしている。また、要保護者に対しては、新入学児童生徒学用品費等及びこれに相当する援助を市町村の判断により小学校及び中学校等へ入学する年度の開始前に支給することが可能となっている。ただし、現在の「要保護児童生徒援助費補助金及び特別支援教育就学奨励費補助金交付要綱」(昭和六十二年五月一日文部大臣裁定)は小学校及び中学校等の児童生徒の保護者に対する就学援助に係る経費を国による補助の対象としており、小学校等へ入学する年度の開始前に支給された援助に係る経費を当該補助の対象としていないことから、当該経費を国が補助することができるよう今後検討してまいりたい。市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者に対しては、新入学児童生徒学用品費等に相当する援助を市町村の判断により小学校及び中学校等へ入学する年度の開始前に支給することが可能となっている。政府としては、これらの援助の支給に関する情報を情報提供ネットワークシステムを利用した情報の授受の対象とすることも含め、より効率的に「二重支給や支給漏れの発生」を防止すること等ができるような方策について、市町村における事務の実施状況等を踏まえつつ、検討してまいりたい。