質問主意書

第192回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一九二第四号
  平成二十八年十月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出ゲノム編集技術の研究開発・規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出ゲノム編集技術の研究開発・規制に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(平成十五年条約第七号。以下「カルタヘナ議定書」という。)は、生体外における核酸加工の技術の利用によって得られる遺伝素材の新たな組合せを有する生物を規制の対象とし、当該生物の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保するものであり、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号。以下「カルタヘナ法」という。)は、細胞外において核酸を加工する技術であって主務省令で定めるものの利用により得られた核酸又はその複製物を有する生物を規制の対象とし、当該生物の使用等の規制に関する措置を講ずるものである。したがって、いずれも、利用する技術そのものを対象とするものではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。また、遺伝子組換え技術の利用により得られた生物が、カルタヘナ議定書及びカルタヘナ法の規制の対象となる生物であるか否かについては、個別具体的に判断すべきものであることから、一概にお答えすることは困難である。
 なお、カルタヘナ法の規制の対象となる生物であるか否かにかかわらず、当該生物の販売等の行為が、別途、他法令による規制の対象となる場合がある。
 また、遺伝子組換え生物等(カルタヘナ法第二条第二項に規定する遺伝子組換え生物等をいう。以下同じ。)については、環境省等において適宜情報収集を行っており、その把握に努めている。

三について

 御指摘の「安全性審査に関する研究」の意味するところが必ずしも明らかではないが、遺伝子組換え技術を利用して得られた食品等の安全性に関する研究等については、例えば、平成二十五年度から平成二十七年度までにかけて、国立医薬品食品衛生研究所の近藤一成氏を研究代表者とする「次世代バイオテクノロジー技術応用食品等の安全性確保に関する研究」が実施されているほか、平成二十四年に欧州食品安全機関から出された「ジンクフィンガーヌクレアーゼ三とその他の同様の機能をもつ部位特異的ヌクレアーゼを用いて開発した植物の安全性評価に関する科学的意見」があると承知している。

四について

 御指摘の「ゲノム編集技術に関する環境アセスメント手法」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、遺伝子組換え生物等については、当該遺伝子組換え生物等の第一種使用等(カルタヘナ法第二条第五項に規定する第一種使用等をいう。)をしようとする者は、その承認を受けるに際して、カルタヘナ法第四条第二項の規定に基づき、生物多様性影響評価書を提出しなければならないこととされている。

五について

 御指摘の「カルタヘナ議定書に準じるような国際協定」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 御指摘の「研究活動における上流関与、市民参加について、ゲノム編集技術の問題に利用可能な制度や予定されている活動など」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

七について

 御指摘の「ゲノム編集技術による知的所有権」及び「利用できる遺伝子配列」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 なお、遺伝子を組み換える方法の発明、遺伝子の発明及び遺伝子組換え技術の利用により得られた遺伝子を有する動植物の発明が、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)に規定する特許の要件を満たす場合には、これらの発明をした者は、これらの発明について特許を受けることができる。
 また、遺伝子組換え技術の利用により得られた遺伝子を有する植物が、種苗法(平成十年法律第八十三号)に規定する品種登録の要件を満たす場合には、同法第三条の規定に基づき当該植物品種の育成をした者又はその承継人は、品種登録を受けることができ、これにより、同法第十九条の規定に基づき育成者権が発生することとなる。

八について

 御指摘の「予防的取組方法及び予防原則の観点から、ゲノム編集技術の研究において、どのような配慮がなされるべきか指針を示すべき」の意味するところが明らかではないため、前段のお尋ねについてお答えすることは困難である。なお、「生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇」(平成二十四年九月二十八日閣議決定)においては、生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とした施策を展開する上で不可欠な共通の基本的視点の一つとして、「科学的認識と予防的かつ順応的な態度」を挙げているところである。
 また、御指摘の「京都大学などのグループ」は、トラフグの使用を特定の実験室内に限定し、実験室への人の立入りを管理し、当該トラフグの実験室からの不適切な持ち出しを禁止するなど、当該トラフグの拡散を防止するための措置をとった上で、研究を行っていると聞いている。