質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二〇号

内閣参質一九一第二〇号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出誰もがいきいきと働けるための環境整備の現状に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出誰もがいきいきと働けるための環境整備の現状に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府としては、高年齢者が働きやすい環境整備を図るため、高年齢者の知識や経験を活かし、技能伝承や若手指導等の役割を担う職務の開発等を行う事業主を支援していくことは重要と考えている。このため、厚生労働省及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が開催する「高年齢者雇用開発コンテスト」において、高年齢者が技能伝承の担い手として活躍する等高年齢者が働きやすい職場づくりの創意工夫を行っている事例に対して表彰を行い、その周知・広報を進めている。

一の2について

 政府としては、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成二十八年六月二日閣議決定)において、「将来的に継続雇用年齢や定年年齢の引上げを進めていくためには、そのための環境を整えていく必要がある」こと及び「六十五歳以降の継続雇用延長や六十五歳までの定年延長を行う企業等に対する支援を実施」することを決定している。その支援として具体的には、高年齢者雇用安定助成金の活用促進等を行うとともに、「未来への投資を実現する経済対策」(平成二十八年八月二日閣議決定)において六十五歳超雇用推進助成金(仮称)の創設を盛り込んだところである。

一の3について

 高年齢雇用継続給付は、六十歳から六十五歳までの継続雇用、再就職の促進を図るという目的で支給するものであるが、政府としては、その在り方について今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、中長期的な観点から検討してまいりたい。

二について

 不妊に悩む方への特定治療支援事業においては、経済的負担の軽減の必要性の高い者を対象とするため一定の所得制限を設けているが、平成十九年度に、妻の年齢が二十五歳から四十四歳までの世帯(夫婦のみの世帯又は夫婦と十八歳未満の未婚の子一人で構成する世帯に限る。)の九十パーセントが一定の不妊治療を受けようとする際に助成対象となるよう、当該所得制限の額を夫婦の前年の所得の合計額で六百五十万円から七百三十万円まで引き上げる見直しを行ったところである。
 また、「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」の報告書(平成二十五年八月二十三日)を踏まえ、助成対象者の年齢を四十三歳未満とし、通算助成回数を原則六回までとした上で、年間助成回数及び通算助成期間に係る制限は設けないとする見直しを行うこととし、平成二十六年度から平成二十八年度にかけて当該見直しを段階的に施行した。さらに、助成対象となる治療が平成二十八年一月二十日以降に終了した助成対象者については、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策―成長と分配の好循環の形成に向けて―」(平成二十七年十一月二十六日一億総活躍国民会議)を踏まえ、初回助成額を増額するとともに、男性不妊治療への助成の拡充を行ったところである。
 政府としては、今後とも、当該事業の更なる見直しについて、事業の施行状況や財政状況を勘案し、必要に応じて検討してまいりたい。

三の1について

 政府としては、平成二十八年度にパワー・ハラスメントに関する実態調査を実施し、平成二十四年度の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」実施後のパワー・ハラスメントの発生状況や企業の対策の進捗状況等の変化を把握する予定であり、その結果も踏まえて、パワー・ハラスメントの予防及び解決に向けた必要な取組を検討してまいりたい。

三の2について

 御指摘の改正により事業主に対して雇用管理上必要な措置の実施が義務付けられることとなる職場における妊娠、出産等に関するハラスメント及び育児休業等に関するハラスメントは、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント等その他のハラスメントと複合的に生じることも想定される。このため、平成二十八年八月二日に、事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成二十八年厚生労働省告示第三百十二号)を定めるとともに、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成二十一年厚生労働省告示第五百九号)の一部を改正し、こうした様々なハラスメントについて一元的に相談に応じることのできる体制の整備が望ましい旨を示したところである。政府としては、今後も、積極的にこれらの指針を周知してまいりたい。

四の1について

 御指摘の障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(平成二十七年厚生労働省告示第百十六号)及び雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成二十七年厚生労働省告示第百十七号)については、事業者に対する周知を積極的に推進することが重要であると考えており、都道府県労働局長、都道府県知事、指定都市市長及び中核市市長並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に対し、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成二十七年六月十六日付け職発○六一六第一号厚生労働省職業安定局長通知)等を発出するとともに、「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A」及び「合理的配慮指針事例集」を厚生労働省のホームページにおいて公表している。

四の2について

 御指摘の「雇用の場における障害者の意思決定支援に向けた環境整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、政府としては、障害者本人に対する業務遂行能力の向上のための支援や、その上司等を対象とした社内啓発等の活動を行う職場適応援助者(ジョブコーチ)について、その活動費の助成等を行っている。

四の3について

 精神障害者の雇用の促進に向けた環境整備は重要であると考えており、政府としては、障害者を試行的に雇用する事業主に対して奨励金の支給を行うとともに、求職者本人に対する相談支援や企業に対する精神障害者の雇用に関する意識啓発等を行う「精神障害者雇用トータルサポーター」の公共職業安定所への配置等を行い、その雇用環境の整備を図っているところである。