質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質一九一第一九号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出全ての労働者の均等・均衡処遇の実現に向けた更なる取組みに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出全ての労働者の均等・均衡処遇の実現に向けた更なる取組みに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘については、政府としては、最低賃金の実効性の確保は重要であると考えている。このため、毎年度、賃金水準が低いなど最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)違反の可能性があると考えられる使用者を対象として、最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導を実施してきたところであり、今後とも、その実効性の確保に取り組んでまいりたい。

二の1及び3について

 御指摘の「派遣・請負料金の設定及び派遣・請負会社選定」については、政府としては、派遣元事業主と派遣先との個々の契約や請負事業主と発注者との個々の契約で決められるべきものと考えている。なお、派遣元事業主については、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第三十一条の二第一項の規定により、派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、雇用した場合における賃金の額の見込みその他の当該労働者の待遇に関する事項等を説明しなければならないこととされているとともに、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十七号)において、派遣労働者及び派遣先が良質な派遣元事業主を適切に選択できるよう、労働者派遣の実績等に関する情報を事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法により提供することとしているところであり、引き続き、必要な指導を行ってまいりたい。
 また、御指摘の「公的な能力認定制度の整備」については、政府としては、労働者の有する技能の程度を検定し、公証するための制度が重要であると考えている。このため、職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)に基づき、技能検定制度を実施しており、平成二十六年度末時点において延べ約五百七十四万人が合格している。
 さらに、御指摘の「優良な派遣元事業主の育成」については、政府としては、派遣労働者及び派遣先による派遣元事業主の選択等を通じた優良な派遣元事業主の育成は重要であると考えている。このため、優良な派遣元事業主を認定するための制度として、優良派遣事業者認定制度を実施しており、平成二十七年度末時点において、百三十七の事業主を認定している。

二の2について

 御指摘の「「製造請負優良適正事業者認定制度」などの推進・普及」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、製造業の請負事業主及び発注者における請負事業の適正化の促進並びに請負労働者の雇用管理の改善を図ることが重要であると考えている。このため、製造請負優良適正事業者認定制度により、平成二十七年度末時点において、五十一の事業主を認定しているところであり、今後とも、同制度の普及に努めてまいりたい。

二の4について

 御指摘については、政府としては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第七十三号)は、派遣労働者のより一層の雇用の安定、保護等を図るものであり、その内容の周知徹底は重要であると考えている。このため、都道府県労働局における相談窓口の設置や、事業主に対する説明会の開催や指導等を通じて、引き続き、制度の周知徹底を図ってまいりたい。

二の5について

 御指摘については、政府としては、派遣労働者や請負労働者に対するものを含め、企業の人材育成を支援し労働者のキャリア形成の促進を図ることが重要であると考えている。このため、企業がこれら労働者に対して行う職業訓練への支援を行っている。なお、派遣労働者については、労働者派遣の特殊性に鑑み、労働者派遣法第四十条第二項の規定により、派遣先は、派遣元事業主からの求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の業務遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、派遣労働者に対してもその教育訓練を実施するよう配慮しなければならないこととされているところである。

二の6について

 御指摘の「派遣労働者の受入時における協議」の意味するところが必ずしも明らかではないが、派遣可能期間を延長しようとするときの過半数労働組合等(労働者派遣法第四十条の二第四項に規定する過半数労働組合等をいう。)に対する意見聴取(同項の規定に基づく意見の聴取をいう。以下同じ。)が適切かつ確実に実施されるよう、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和六十一年労働省令第二十号)及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十八号)において、同項に規定する過半数を代表する者の選出の方法や意見聴取に当たっての派遣先からの情報提供等について規定しているところである。