質問主意書

第191回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二一号

社会保障と税の一体改革の現状に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年八月三日

石上 俊雄   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   社会保障と税の一体改革の現状に関する質問主意書

 昨年提出した、「社会保障と税の一体改革に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第二三二号)に対する答弁書(内閣参質一八九第二三二号)が閣議決定されてから、約一年が経過している。この間の社会保障と税の一体改革についての取組みを踏まえ、以下のとおり質問する。

一 医療保険制度改革について

1 医療保険制度改革の推進について
(1) 平成二十七年五月二十六日の参議院厚生労働委員会における、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議の「二、高齢者医療制度及び被用者保険について」の指摘事項を着実に推進、実現するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
(2) 医療保険制度改革にあたっては、後期高齢者支援金の負担方法への全面総報酬割導入のような、これまでの仕組みの中での制度間の負担の付け替えではなく、保険者機能の発揮に着目した医療保険制度改革を目指すべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 特例退職者医療制度について
 特例退職者医療制度は、七十四歳までの退職者も加入者とし、ヘルスケア事業や検診データの蓄積・活用などを通して在職中から一貫して保険者機能が発揮でき、健康増進や医療費適正化に貢献できる有用な制度であり、さらなるデータヘルスやICT化の推進により、その有用性は今後ますます高まっていく。しかしながら、特例退職者医療制度の加入資格「老齢厚生年金の受給資格者であること」により、年金支給開始年齢の引き上げに伴い定年退職後すぐには加入できない「制度のすき間」が生じている現状に鑑み、この特例退職者医療制度を切れ目のない制度へと改善するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 任意継続被保険者制度について
 任意継続被保険者制度は、「解雇等によりその資格を喪失した被保険者が、さらに他の事業主に雇用されること等により強制被保険者になるまでの期間、暫定的に健康保険の被保険者となる途を開き、その生活を保護するもの」ではあるが、前記一の2の特例退職者医療制度との関係において多くの定年退職者が加入している実態がある。任意継続被保険者制度の加入期間(現行二年間)の短縮は行うべきでないと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

二 ICT利活用による社会保障の充実について

1 総合合算制度の検討について
 マイナンバー制度の開始により、制度横断的な低所得者対策である「総合合算制度」の検討環境が整いつつある。総合合算制度の実現に向けた検討を進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 ICT利活用による効率的、効果的な地域包括ケアシステムの構築について
 遠隔医療の推進に向け、医師法の改正等の法整備を進める等、ICT利活用による効率的、効果的な地域包括ケアシステムの構築を図るべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

三 地域における制度実現について

 「子ども・子育て支援新制度」や「地域包括ケアシステム」については、各地域において地域住民のニーズや実情に即した効果的な施策が展開されているが、サービス水準の低下や地域間格差が起きないよう、①構築の進展度合い、②地域住民との対話の状況(市民参画)、③サービス利用状況等を検証するとともに、人材の育成や配置、制度構築にあたっての取組みプロセス事例の展開など、実施主体への支援を強化するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

  右質問する。