質問主意書

第191回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

我が国製造業を担う人材の確保・育成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年八月三日

石上 俊雄   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   我が国製造業を担う人材の確保・育成に関する質問主意書

 昨年提出した、「イノベーション創出のための研究開発等環境整備に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第二一五号)に対する答弁書(内閣参質一八九第二一五号)が閣議決定されてから、約一年が経過している。この間の我が国製造業を担う人材の確保・育成に関する取組みを踏まえ、以下のとおり質問する。

一 「モノづくり」から「モノ・コトづくり」に対応した人材育成について

 これからの我が国の産業活性化には、「モノづくり」だけでなく「モノ・コトづくり」が必要とされ、既存の技術やシステムを新たに組み合わせたサービスの創造や、そもそも全く新しい着想からの実用化を促進する環境が重要となっている。具体的には、IoT・ビッグデータ・人工知能・ロボティックス等の利活用がより一層深化・進展し、産業構造がいわゆる「アナログ型・ハードウェアリッチ型」から「デジタル型・ソフトウェアリッチ型」へと大規模に変化し、ソフトウェアの重要性が今まで以上に増大しているのである。
 このパラダイムシフトのまっただ中、技術者は自らの専門領域に閉じこもるのではなく、隣接分野や異業種・異分野の技能・知識を自ら積極的に求めていく姿勢が様々な場面で強く求められている。国としても、我が国製造業の国際競争力強化の観点から、ハードとソフトの両面に通じる人材育成を推進し、また、他分野・異分野の技術者や専門家等とも広範に交流ができる機会や場の整備を支援するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

二 熟練者から若手への技能伝承について

 我が国の製造現場では大半の場合、若手が少なく、中堅が分厚いという従業員の年齢構成の歪み問題を抱えており、高度な熟練技能・技術の保有者から若手への技能伝承は、企業の大小にかかわらず、喫緊の課題となっている。実際には、こうした「匠の技」を自動化せざるを得ない状況も多く発生しているのと同時に、この自動化を行う人材すら現場では不足しているというのが実情である。この構造的問題を打破し、技能職人材の高度化を図る観点からも、工業高等学校や工業高等専門学校等の若手育成に向けた環境整備に対する支援を強化するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

  右質問する。