質問主意書

第191回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

我が国が直面するエネルギー問題への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年八月三日

石上 俊雄   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   我が国が直面するエネルギー問題への対応に関する質問主意書

 昨年提出した、「エネルギー需給・環境問題への対応に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第二〇五号)に対する答弁書(内閣参質一八九第二〇五号)が閣議決定されてから、約一年が経過している。この間の我が国が直面するエネルギー問題への対応を踏まえ、以下のとおり質問する。

一 原子力発電について

1 安全性確保を最優先し、地元の理解を得つつ、安全基準を満たした原子力発電所の運転を再開させ、企業・国民のエネルギー・コスト上昇、電力の安定供給への懸念を払拭するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 現在取り組んでいる安全審査を着実に進めるとともに、これまでの経験を踏まえ、今後の審査については、手順や評価方法のより一層の効率化を進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 今後稼働四十年を超過する原子力発電所が一定のペースで発生する現状の中、廃炉に際しては、一基あたり平均四千トンもの放射性廃棄物が発生する見込みであり、特に炉内構造物等に関する処分基準の作成を急ぐべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
4 いわゆる高レベル放射性廃棄物処分について、滞っている候補地選定プロセスを少しでも動かすために、国がより積極的に関与することが重要である。また、数万年単位の「最終処分」を一挙に完遂することを目指すというより、当初の数十年から数百年は「再取出し可能性(=リトリーバビリティ)」を担保しながら段階的に処分事業を進め、地域住民の信頼と理解を得ながら事業完成に至ることもあり得ると考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
5 廃炉の地元経済に対するインパクトについて、地元自治体・住民と協議しながら、例えば既存送電網を活かしたエネルギー産業の誘致等の対策を事前に講じていくべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
6 原子力発電所の運転や廃炉工程における安全性を高めるための技術開発や人材育成を今後も継続的に進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

二 再生可能エネルギーの普及促進について

1 固定価格買取制度について、今後とも国民負担を考慮しつつ、継続的に点検・見直しを行うべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 地熱発電・風力発電について、環境アセスメントの迅速化を進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 再生可能エネルギーを使用した水素製造とその活用による、発電・送電面における再生可能エネルギー普及のボトルネックの解消を進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

三 省エネルギーの普及促進について

1 これまでの実証実験の成果を踏まえ、スマートコミュニティの社会実装に向けて具体的な取組みを展開するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 家庭や事業場への蓄電池やエネファーム等の自家発電システム、トップランナーモーター等の高効率・省エネ機器の導入支援を行うべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

四 電力小売全面自由化への対応について

1 市場に参加する全事業者がエネルギー提供者として安定供給等の公益的責任を果たす仕組みとするべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 電力卸売市場において発電事業者が売電価格をリアルタイムで公開する仕組みを整えるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 電力小売事業者のサービスの内容が消費者に分かりやすい表示となるよう、ガイドラインの作成等、消費者保護に努めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

  右質問する。