質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇七号

内閣参質一九〇第一〇七号
  平成二十八年五月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員和田政宗君提出公務員の政治的行為の禁止・制限に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員和田政宗君提出公務員の政治的行為の禁止・制限に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百二条第一項の規定は、人事院規則一四―七(政治的行為)第一項の規定により、同項ただし書に規定する顧問、参与等の一部の職員を除き、休暇中の者をも含む全ての一般職に属する職員に適用されるものであり、職員団体の業務に従事しているか否かに関わるものではない。
 また、同規則第四項の規定により、同法又は同規則によって禁止又は制限される職員の政治的行為は、同規則第六項第十六号に定めるものを除いては、職員が勤務時間外において行う場合においても、適用される。

三から五までについて

 人事院規則一四―七第五項第六号については、「人事院規則一四―七(政治的行為)の運用方針について」(昭和二十四年十月二十一日付け法審発第二〇七八号人事院事務総長通知。以下「通知」という。)において、「「実施を妨害する」とは、その手段方法のいかんを問わず、有形無形の威力をもつて組織的、計画的又は継続的にその政策の目的の達成を妨げることをいう」としており、集会において拡声器を利用し、公に、有形無形の威力をもって組織的、計画的又は継続的に国の機関において決定した政策の目的の達成を妨げるための意見を述べることは「政治的行為」に該当し得るものである。
 御指摘の当該職員の発言については、当該職員の上司である内閣府沖縄総合事務局北部国道事務所長(以下「事務所長」という。)及び同事務所副所長が、当該職員は、内閣府沖縄総合事務局(以下「事務局」という。)が行っている道路不法占用に対する指導業務(以下「指導業務」という。)の負担が大きく、他の業務の実施に影響しかねない旨を述べたものであったと当該職員から聴き取り、これを受け、当該職員の懲戒権者に当たる内閣府沖縄総合事務局長が、当該職員の発言は、通知における「その政策の目的の達成を妨げる」ためのものには当たらないと判断したものである。

六から八までについて

 御指摘の厳重注意は、当該職員の行為は内閣府本府職員の訓告等に関する規程(平成十三年内閣府訓令第六十六号)に基づく措置が必要な非違行為とまでは認められないものの、指導業務は事務局の本来の業務ではないとの誤解を与えかねない軽率な行為であったと認められたことから、平成二十七年九月二日に、当該規程に基づかない監督上の措置として、事務所長が行ったものであり、当該厳重注意が行われた後、これまでの間、内閣府においては、当該職員が同様の行為を行った事実を確認していない。
 同府としては、御指摘を踏まえ再度事務局の対応状況について確認したところ、指導業務が道路の円滑な利用を確保するためのものであるにもかかわらず、当該職員は、指導業務の目的についての正当な理解を欠いたまま「本来の仕事ではない」などと集会において発言しており、このような当該職員の行為は、通知における「その政策の目的の達成を妨げること」につながりかねないおそれがあり、また、指導業務に対する国民の信頼を損ないかねないおそれがあると考えられることから、当該職員に対する措置の内容を含めた事務局の対応の妥当性について、関係法令等に照らし、検証しているところである。