質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第三八号

内閣参質一九〇第三八号
  平成二十八年二月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員吉川沙織君提出軽減税率制度に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川沙織君提出軽減税率制度に関する再質問に対する答弁書

一について

 消費税の軽減税率制度の財源について、現時点で具体的な措置内容が念頭にあるわけではないが、今国会に提出した所得税法等の一部を改正する法律案(以下「税制改正法案」という。)附則第百七十条において、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保すること等としており、今後、歳入及び歳出両面にわたってしっかりと検討してまいりたい。
 いずれにせよ、先の答弁書(平成二十八年二月五日内閣参質一九〇第三一号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおり、軽減税率制度の導入について安定的な恒久財源を確保することにより、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げに要する財源として三・二兆円程度、社会保障の充実に要する財源として二・八兆円程度及び消費税率引上げに伴う社会保障四経費(制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用)の増加に要する財源として〇・八兆円程度を確保するとともに、後代への負担の付け回しを七・三兆円程度軽減することができるものと考えている。

二について

 消費税の軽減税率制度の導入に当たっては、税制改正法案附則第百七十条において、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保すること等としている。消費税の軽減税率制度の財源については、現時点で具体的な措置内容が念頭にあるわけではなく、今後、歳入及び歳出両面にわたって検討していくこととしていることから、お尋ねについてはお答えを差し控えたい。

三及び四について

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号。以下「税制抜本改革法」という。)第七条第一号イ及びロにおいては、低所得者に配慮する観点から、総合合算制度、給付付き税額控除及び複数税率(消費税の軽減税率制度をいう。)の導入について検討することとされている。
 消費税の軽減税率制度については、制度上、高所得者だけを除外することは困難であることから、前回答弁書二から四までについてでお答えしたとおり、高所得者にも恩恵が及ぶという側面はある。しかしながら、消費税の軽減税率制度については、総合合算制度及び給付付き税額控除とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費・利活用している商品の消費税負担を直接軽減することにより、消費者にとって、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとともに、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるといった利点があり、この点が特に重要であるとの判断により、消費税率が十パーセントに引き上げられる平成二十九年四月一日に導入することとしたところであり、「時期尚早」との御指摘は当たらないと考える。

五について

 消費税の軽減税率制度については、税制抜本改革法第七条第一号ロに基づく消費税率の引上げに伴う低所得者への配慮として導入するものとの趣旨を踏まえれば、消費税率が十パーセントに引き上げられる平成二十九年四月一日に導入することが適切であると考えている。