質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第三一号

内閣参質一九〇第三一号
  平成二十八年二月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員吉川沙織君提出軽減税率制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川沙織君提出軽減税率制度に関する質問に対する答弁書

一について

 消費税の軽減税率制度の導入に当たっては、「平成二十八年度税制改正の大綱」(平成二十七年十二月二十四日閣議決定)において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するため、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずること等としている。
 これによって、軽減税率制度の導入について安定的な恒久財源を確保することにより、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げに要する財源として三・二兆円程度、社会保障の充実に要する財源として二・八兆円程度及び消費税率引上げに伴う社会保障四経費(制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用)の増加に要する財源として〇・八兆円程度を確保するとともに、後代への負担の付け回しを七・三兆円程度軽減することができるものと考えている。

二から四までについて

 消費税の軽減税率制度については、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)第七条第一号ロに基づく消費税率の引上げに伴う低所得者への配慮として導入することとしており、高所得者にも恩恵が及ぶという側面はあるものの、同号イに基づき検討することとされた総合合算制度及び給付付き税額控除(以下「総合合算制度及び給付付き税額控除」という。)とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費・利活用している商品の消費税負担を直接軽減することにより、消費者にとって、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとともに、また、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるといった意義があるものと考えている。
 総合合算制度及び給付付き税額控除については、低所得者に焦点を絞った支援ができるとの利点がある一方、実際の買物のタイミングや購入額と関係なく、所得水準等に応じて決まった額が給付されるものであり、消費税負担が直接軽減されるものではなく、消費者にとって痛税感の緩和を実感できないこと、所得や資産の把握が難しいこと、総合合算制度及び給付付き税額控除の前提となる行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)による行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する制度が稼働したばかりであること等の問題があるものと考えている。