質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇五号

外国の領域における武力の行使に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年四月二十五日

白 眞勲   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   外国の領域における武力の行使に関する質問主意書

 安倍内閣総理大臣は平成二十七年九月十四日の参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(以下「平安特」という。)において、「存立危機事態におきましても一般に海外派兵は禁じられているわけでございますが、その中におきまして、ホルムズ海峡における機雷の敷設に対しましては、この敷設された機雷を、これを排除をしていくことは限定的、そしてかつ受動的であると、これは必要最小限度の範囲内にとどまると、このように理解をしているわけでありまして、念頭にあるのはこの件だけであります。」と答弁している(以下「総理答弁」という。)。
 一方で、横畠内閣法制局長官は、本年三月十八日の参議院予算委員会において「あくまでも我が国が武力の行使を可能となるのは、新三要件の下におきましても、我が国を防衛するための必要最小限度のものでございます。また、海外での武力の行使というものは我が国を防衛するための必要最小限度を一般的に超えるのだというふうに解している」と答弁している(以下「長官答弁」という。)。
 総理答弁では、「必要最小限度」にとどまるために、ホルムズ海峡での機雷掃海が海外での武力の行使の例外として認められるとされている一方、長官答弁では「必要最小限度を一般的に超える」ために海外での武力の行使はできないとされており、同じ「必要最小限度」という文言が用いられている。
 これらの答弁を踏まえて以下質問する。

一 総理答弁と長官答弁の「必要最小限度」が同じ意味で使われている場合

1 ホルムズ海峡での機雷掃海のような例外的な海外での武力の行使から、必要最小限度を一般的に超える海外での武力の行使に至るまで、同じ「必要最小限度」という要件によって、裁量的、数量的に判断されているのではないか。
2 総理答弁と長官答弁における「必要最小限度」という要件が裁量的、数量的な判断となっているのであれば、横畠内閣法制局長官が、平成二十七年七月二十八日の参議院平安特において「今般お示ししている新三要件とは、裁量的、数量的な切り分けではなくて、まさに規範として明確に一定の場合を切り分けた」と述べ、「必要最小限度」は裁量的、数量的な要件ではないとしていることと矛盾するのではないか。

二 総理答弁と長官答弁の「必要最小限度」が異なる意味で使われている場合、両者はそれぞれどのような意味であるのか。

三 総理答弁ではホルムズ海峡の機雷掃海について、「限定的、そしてかつ受動的である」という新三要件には明記されていない文言が使われている。この「限定的、そしてかつ受動的である」という文言は、総理答弁及び長官答弁に言うところの「必要最小限度」とはどのような関係にあるのか。「限定的、そしてかつ受動的である」ならば「必要最小限度」であると認められるということか。

  右質問する。