質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三七五号

内閣参質一八九第三七五号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出憲法第九条の定める交戦権の否認と集団的自衛権行使との矛盾に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出憲法第九条の定める交戦権の否認と集団的自衛権行使との矛盾に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 憲法第九条第二項に規定する交戦権の否認については、衆議院議員稲葉誠一君提出自衛隊の海外派兵・日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書(昭和五十五年十月二十八日内閣衆質九三第六号)三についての5において、「憲法第九条第二項は、「国の交戦権は、これを認めない。」と規定しているが、ここにいう交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であつて、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶のだ捕等を行うことを含むものであると解している。他方、我が国は、自衛権の行使に当たつては、我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することが当然認められているのであつて、その行使は、交戦権の行使とは別のものである。」と述べたとおりである。
 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しし、平成二十七年九月十九日に成立した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第七十六号。以下「改正法」という。)による改正後の自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条第一項及び第八十八条並びに改正法による改正後の武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第二条第二号及び第四号、第三条第三項及び第四項並びに第九条第二項第一号ロに明記されている「武力の行使」の三要件を満たす「武力の行使」は、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置であって、我が国を防衛するための必要最小限度の実力の行使にとどまるものであるから、その行使は、先に述べたとおり交戦権の行使とは別のものであって、憲法第九条第二項の交戦権否認の規定に抵触するものではない。