質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二七六号

内閣参質一八九第二七六号
  平成二十七年九月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出存立危機事態と集団安全保障との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出存立危機事態と集団安全保障との関係に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 我が国による「武力の行使」が憲法を始めとする我が国の法令に従い、かつ、国際法を遵守して行われることは当然であるが、その「武力の行使」が許される憲法上の根拠と国際法上の根拠とは区別して理解する必要がある。
 憲法上、我が国が「武力の行使」を行い得るのは、あくまでも「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件を満たす場合に限られるが、その国際法上の根拠としては、個別的自衛権若しくは集団的自衛権の行使又は国際連合安全保障理事会決議(以下「国連安保理決議」という。)に基づくいわゆる集団安全保障の措置がある。国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号。以下「憲章」という。)第五十一条は、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と規定しているが、国連安保理決議に基づくいわゆる集団安全保障の措置が採られた場合において、それ以後国際連合加盟国が個別的自衛権又は集団的自衛権を行使し得なくなるかについては、それぞれの場合の具体的状況によるものであり、憲章の解釈上必ず行使し得なくなるというものではないと考えている。したがって、お尋ねの「国連安保理決議に基づき集団安全保障措置が発動された場合」においても、我が国が「武力の行使」を行う場合の国際法上の根拠が個別的自衛権若しくは集団的自衛権の行使又は国連安保理決議に基づくいわゆる集団安全保障の措置のいずれになるのかは、個別具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である。
 存立危機事態において我が国が「武力の行使」を行う場合に、その国際法上の根拠は、まずは集団的自衛権の行使となる場合が通常であると考えられるが、国連安保理決議に基づくいわゆる集団安全保障の措置になることもあり得るところであり、その場合には、国際法上、武力攻撃を受けた国の要請又は同意は必要ない。