質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二八号

内閣参質一八九第二二八号
  平成二十七年八月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出米軍等の部隊の武器等防護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出米軍等の部隊の武器等防護に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 現在、国会に提出している我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案による改正後の自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号。以下「新自衛隊法」という。)第九十五条の二第一項に規定する「アメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊その他これに類する組織」(以下「合衆国軍隊等」という。)の部隊であって自衛隊と連携して同項に規定する「我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)」(以下「我が国の防衛に資する活動」という。)に現に従事しているものの武器等は、当該我が国の防衛に資する活動において現に用いられているものであるから、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当するものと評価することができると考えられる。
 同項の警護を行うことのできる地理的範囲については定めていないが、同項の警護の対象となり得るのは、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している合衆国軍隊等の部隊の武器等に限られる。

三及び四について

 米国は、平成二十七年四月二十七日の「日米防衛協力のための指針」において、「平時からの協力措置」として、「自衛隊及び米軍は、訓練・演習中を含め、連携して日本の防衛に資する活動に現に従事している場合であって適切なときは、各々のアセット(装備品等)を相互に防護する」としている。また、イタリア共和国に所在する国際人道法研究所が米国、カナダ、英国等の実務家の参加を得て平成二十一年十一月に取りまとめた「交戦規定ハンドブック」等の文書においても、他国の部隊に対する武力攻撃に至らない侵害を現場において排除することは認められるとの考え方が示されていると承知している。
 新自衛隊法第九十五条の二の規定による武器の使用は、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している合衆国軍隊等の部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為であり、右に述べたところを踏まえると、国際法上認められるものと考えている。
 一方、集団的自衛権とは、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利をいうと解されているところ、新自衛隊法第九十五条の二の規定による武器の使用は、右に述べたとおり、武力攻撃に至らない侵害に対処するためのものであることから、集団的自衛権の行使には当たらないと考えている。